宮內官任用令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム

御名御璽

明治四十年十月三十一日

宮內大臣伯爵田中光顯

皇室令第十四號(官報 十一月一日)

宮內官任用令

第一條 宮內勅任官ハ本令其ノ他ノ皇室令ニ特別ノ規定アルモノヲ除クノ外左ノ資格ノ一ヲ有スルノ中ヨリ之ヲ任用ス

滿二年以上高等官三等ノ宮內官又ハ文官ノ職ニ在ル及在リタル但シ特別ノ任用規程ニ依リ在職スル及在職シタル官技術官ノ在職年數ヲ除ク
滿一年以上宮內勅任官又ハ勅任文官ノ職ニ在リタル但シ特別ノ任用規程ニ依リ在職シタル官技術官ノ在職年數ヲ除ク
勅任官又ハ勅任文官特別ノ規程ニ依リ任用セラレタル竝敎官技術官ヲ除クノ職ニ在リタルニシテ第二條ノ資格ノ一ヲ有スル

第二條 宮內奏任官ハ本令其ノ他ノ皇室令ニ特別ノ規定アルモノヲ除クノ外左ノ資格ノ一ヲ有スルノ中ヨリ之ヲ任用ス

文官高等試驗ヲ經テ其ノ合格證書ヲ有スル
帝國大學法科大學又ハ學習院舊大學科ノ卒業證書ヲ有スル
滿二年以上宮內奏任官又ハ奏任文官ノ職ニ在リタル但シ特別ノ任用規程ニ依リ在職シタル竝{{官技術官ノ在職年數ヲ除ク

第三條 {{宮內判任官ハ本令其ノ他ノ皇室令ニ特別ノ規定アルモノヲ除クノ外左ノ資格ノ一ヲ有スルノ中ヨリ之ヲ任用ス

文官普通試驗ヲ經テ其ノ合格證書ヲ有スル
文官高等試驗ヲ經テ其ノ合格證書ヲ有スル
學習院中等學科中學校又ハ宮內大臣ニ於テ之ト同等若ハ同等以上ト認メタル學校ノ卒業證書ヲ有スル
專門學校令ニ依リ法律學政治學行政學又ハ經濟學ヲ敎授スル私立學校ニ於テ三箇年ノ課程ヲ履修シ其ノ卒業證書ヲ有スル
滿二年以上宮內官又ハ文官ノ職ニ在リタル但シ特別ノ任用規程ニ依リ在職シタル官技術官ノ在職年數ヲ除ク

第四條 左ニケタル宮內官宮內官考査委員ノ銓衡ニ依リ之ヲ任用スルコトヲ得

宮內省翻譯官

侍從及次侍從

式部官及式部職掌典部樂部職員

圖書寮編修官

侍醫寮職員

主膳長及主膳

主殿寮警察部職員

車馬監調馬師馬醫師及馬醫

主獵官

東宮侍從

東宮侍講

皇族附職員

御歌所職員

博物館部長及部次長

官及技術官

第五條 前四條ノ規定ハ親任式ヲ以テ任スル{{宮內官宮中顧問官侍從長侍從職幹事式部長官式部次長掌典長掌典次長侍醫頭大臣祕書官長皇太后宮大夫東宮大夫東宮侍從長別當御歌所長宮內大臣祕書{{官內大臣祕書官皇后宮職女官及東宮職女官ニ之ヲ適用セス

第六條 帝國大學農科大學林學科又ハ舊東京農林學校林學部本科ノ卒業證書ヲ有シ其ノ修ムル所ノ學術ヲ以テ滿三年以上高等官ノ職ニ在ル又ハ在リタルハ帝室林野管理局主事ニ任用スルコトヲ得

第七條 滿五年以上雇員トシテ宮內各部局ニ續シタル宮內官考査委員ノ銓衡ヲ經テ其ノ部局ニ在スヘキ判任官ニ任用スルコトヲ得

第八條 宮內官戒令又ハ文官戒令ニ依リ官ノ處分ヲ受ケタルハ其ノ官職ヲ失ヒタル日ヨリ二年間宮內官ニ任用スルコトヲ得ス

第九條 宮內官考査委員ハ宮內勅任官三人宮內奏任官三人ヲ以テ組織シ宮內大臣ノ奏請ニ依リ之ヲ命ス

附則

第十條 本令ハ明治四十一年一月一日ヨリ之ヲ施行ス

第十一條 奏任待遇又ハ判任待遇ノ職ニ在ルニシテ本官缺員ノ爲現ニ其ノ本官ノ職務ヲ執ルハ本令施行ノ際ニ限リ各其ノ本官ニ任用スルコトヲ得

第十二條 本令施行前宮內省判任官任用試驗規則ニ依リ試驗ヲ經テ其ノ合格證書ヲ有スル宮內判任官ニ任用スルコトヲ得

この著作物は、日本国の著作権法第10条1項ないし3項により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。(なお、この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により、発行当時においても、著作権の目的となっていませんでした。)


この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。