新字体

編集

朕実業学校令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム



明治三十二年二月六日

文部大臣 伯爵樺山資紀


勅令第二十九号

実業学校令

第一条 実業学校ハ工業農業商業等ノ実業ニ従事スル者ニ須要ナル教育ヲ為スヲ以テ目的トス

第二条 実業学校ノ種類ハ工業学校農業学校商業学校商船学校及実業補習学校トス

蚕業学校山林学校獣医学校及水産学校等ハ農業学校ト看做ス

徒弟学校ハ工業学校ノ種類トス

第三条 北海道及府県ニ於テハ実業学校ヲ設置スルコトヲ得但シ道庁府県立実業補習学校ハ他ノ道庁府県立実業学校ニ附設スル場合ニ限ル

文部大臣ハ土地ノ情況ニ応シ必要ナル実業学校ノ設置ヲ府県ニ命スルコトヲ得

第四条 前条ノ実業学校ノ経費ハ北海道及沖縄県ヲ除ク外府県ノ負担トス

第五条 郡市町村北海道及沖縄県ノ区ヲ含ム又ハ町村学校組合ハ土地ノ情況ニ依リ須要ニシテ其ノ区域内小学教育ノ施設上妨ナキ場合ニ限リ実業学校ヲ設置スルコトヲ得

第六条 私人ハ本令ノ規定ニ依リ実業学校ヲ設置スルコトヲ得

第七条 工業学校農業学校商業学校商船学校ノ設置廃止ハ文部大臣ノ認可ヲ受ケ実業補習学校ノ設置廃止ハ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ

実業学校ノ設置廃止ニ関スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム

第八条 実業学校ノ学科及其ノ程度ニ関スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム

第九条 実業学校ノ教科書ハ公立学校ニ在リテハ学校長ニ於テ私立学校ニ在リテハ設立者ニ於テ地方長官ノ認可ヲ経テ之ヲ定ム

第十条 実業学校教員ノ資格ニ関スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム

第十一条 公立実業学校職員ノ俸給旅費其ノ他諸給与ニ関スル規則ハ文部大臣ノ認可ヲ経テ地方長官之ヲ定ム

第十二条 公立実業補習学校ノ職員ノ名称待遇ハ公立小学校ノ例ニ依ル

第十三条 実業学校ノ編制及設備ニ関スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム

第十四条 実業学校ニ於テハ授業料ヲ徴収スルコトヲ得

第十五条 本令施行ノ為ニ必要ナル規則ハ文部大臣之ヲ定ム

附則

第十六条 本令ハ明治三十二年四月一日ヨリ施行ス

第十七条 本令ハ官立学校ニ適用セス

第十八条 他ノ法令中ニ技芸学校トアルハ本令施行ノ日ヨリ当然実業学校ト看做ス

第十九条 明治二十三年勅令第二百十五号小学校令中徒弟学校及実業補習学校ニ関スル規定ハ本令施行ノ日ヨリ其ノ効力ヲ失フ


関連項目

編集

外部リンク

編集
 

この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。