大赦令 (明治22年勅令第12号)
原文
編集朕󠄁憲󠄁法ヲ發布スルニ當リ此盛典ヲ表シ惠澤ヲ施サンカ爲ニ特ニ命シテ左ノ條項ニ依リ大赦ヲ行ハシム
御名御璽
- 明治二十二年二月十一日
內閣總理大臣 | 伯爵󠄂 | 黑田淸隆 |
樞密院議長 | 伯爵󠄂 | 伊藤博󠄁文󠄁 |
外務大臣 | 伯爵󠄂 | 大隈重信 |
海軍大臣 | 伯爵󠄂 | 西鄕從道󠄁 |
農商務大臣 | 伯爵󠄂 | 井上 馨 |
司法大臣 | 伯爵󠄂 | 山田顯義 |
大藏大臣兼內務大臣 | 伯爵󠄂 | 松󠄁方正義 |
陸軍大臣 | 伯爵󠄂 | 大山 巖 |
文󠄁部大臣 | 子爵󠄂 | 森 有禮 |
遞信大臣 | 子爵󠄂 | 榎本武揚 |
勅令第十二號
- 第一條
- 本令發布以前󠄁ニ於テ左ノ罪ヲ犯シタル者ハ之ヲ赦免ス
- 一 刑法第百十七條第百十九條ノ罪
- 二 刑法第百二十一條第百二十三條第百二十五條第百二十六條第百二十七條ノ罪
- 三 刑法第百二十九條第百三十條第百三十一條第百三十二條第百三十三條第百三十四條ノ罪
- 四 刑法第百三十六條第百三十七條第百三十八條ノ罪
- 五 刑法第百四十一條ノ罪
- 六 陸軍刑法第五十條第五十三條第五十四條第五十五條第五十六條第五十七條第五十八條第五十九條第六十條第六十一條第六十二條第六十三條第六十四條ノ罪
- 七 陸軍刑法第六十六條第六十七條ノ罪
- 八 陸軍刑法第六十九條第七十條第七十一條ノ罪
- 九 陸軍刑法第九十三條第九十四條ノ罪
- 十 陸軍刑法第百九條第百十條ノ罪
- 十一 海軍刑法第五十六條第五十九條第六十條第六十一條第六十二條第六十三條第六十四條第六十五條第六十六條第六十七條第六十八條第六十九條第七十條第七十一條ノ罪
- 十二 海軍刑法第八十六條第八十七條ノ罪
- 十三 海軍刑法第百條第百一條ノ罪
- 十四 海軍刑法第百十條第百十一條ノ罪
- 十五 海軍刑法第百二十六條ノ罪
- 十六 保安條例ノ罪
- 十七 集會條例ノ罪
- 十八 治安ヲ妨害スルノ目的ヲ以テ爆發物取締罰則ヲ犯ス罪
- 十九 新聞紙條例第二十一條第二十二條ニ違󠄂ヒ第三十條第三十一條ニ該ル罪及ヒ第三十二條ヲ犯ス罪但第三十條ニ該ル者ノ內風俗ヲ壞亂スルカ爲メ發賣頒󠄁布ヲ禁セラレタル新聞紙ヲ發賣頒󠄁布シタル者ハ赦免セス
- 政治ニ關スル意思ヲ以テ同條例第一條第三條ニ違󠄂ヒ第二十七條ニ該ル罪及ヒ第十六條第十七條第十八條ニ違󠄂ヒ第二十九條ニ該ル罪
- 二十 出版條例第十六條第十七條第十八條ニ違󠄂ヒ第二十七條ニ該ル罪及ヒ第二十四條ヲ犯ス罪但第二十七條ニ該ル者ノ內風俗ヲ壞亂スルカ爲メ發賣頒󠄁布ヲ禁セラレタル文󠄁書圖畫ヲ發賣頒󠄁布シタル者ハ赦免セス
- 政治ニ關スル意思ヲ以テ同條例第三條ニ違󠄂ヒ第二十一條ニ該ル罪第六條第七條ニ違󠄂ヒ第二十二條第二十三條ニ該ル罪及ヒ第十五條第十九條第二十條ニ違󠄂ヒ第二十七條ニ該ル罪
- 第二條
- 舊法ニ依リ處斷セラレタル罪ト雖モ其性質前󠄁條ニ記載シタル罪ト同一ナル者ハ之ヲ赦免ス
- 第三條
- 數罪俱發例ニ依リ處斷セラレタル者最重ノ罪赦免ヲ得タル場合ト雖モ他ノ罪ニ其効ヲ及ホサス
- 第四條
- 赦免ヲ得ルト雖モ既ニ徵收シタル罰金科料及ヒ没收シタル物件ハ還󠄁付セス
- 第五條
- 陸軍大臣海軍大臣司法大臣ハ本令ノ施行ニ關シ必要ノ指揮ヲ爲ス可シ
新字体・平仮名版
編集朕憲法を発布するに当り此盛典を表し恵沢を施さんが為に特に命じて左の条項に依り大赦を行はしむ
御名御璽
明治二十二年二月十一日
内閣総理大臣 | 伯爵 | 黒田清隆 |
枢密院議長 | 伯爵 | 伊藤博文 |
外務大臣 | 伯爵 | 大隈重信 |
海軍大臣 | 伯爵 | 西郷従道 |
農商務大臣 | 伯爵 | 井上 馨 |
司法大臣 | 伯爵 | 山田顕義 |
大蔵大臣兼内務大臣 | 伯爵 | 松方正義 |
陸軍大臣 | 伯爵 | 大山 巌 |
文部大臣 | 子爵 | 森 有礼 |
逓信大臣 | 子爵 | 榎本武揚 |
勅令第十二号
- 第一条
- 本令発布以前に於て左の罪を犯したる者は之を赦免す
- 一 刑法第百十七条第百十九条の罪
- 二 刑法第百二十一条第百二十三条第百二十五条第百二十六条第百二十七条の罪
- 三 刑法第百二十九条第百三十条第百三十一条第百三十二条第百三十三条第百三十四条の罪
- 四 刑法第百三十六条第百三十七条第百三十八条の罪
- 五 刑法第百四十一条の罪
- 六 陸軍刑法第五十条第五十三条第五十四条第五十五条第五十六条第五十七条第五十八条第五十九条第六十条第六十一条第六十二条第六十三条第六十四条の罪
- 七 陸軍刑法第六十六条第六十七条の罪
- 八 陸軍刑法第六十九条第七十条第七十一条の罪
- 九 陸軍刑法第九十三条第九十四条の罪
- 十 陸軍刑法第百九条第百十条の罪
- 十一 海軍刑法第五十六条第五十九条第六十条第六十一条第六十二条第六十三条第六十四条第六十五条第六十六条第六十七条第六十八条第六十九条第七十条第七十一条の罪
- 十二 海軍刑法第八十六条第八十七条の罪
- 十三 海軍刑法第百条第百一条の罪
- 十四 海軍刑法第百十条第百十一条の罪
- 十五 海軍刑法第百二十六条の罪
- 十六 保安条例の罪
- 十七 集会条例の罪
- 十八 治安を妨害するの目的を以て爆発物取締罰則を犯す罪
- 十九 新聞紙条例第二十一条第二十二条に違ひ第三十条第三十一条に該る罪及び第三十二条を犯す罪但第三十条に該る者の内風俗を壊乱するが為め発売頒布を禁ぜられたる新聞紙を発売頒布したる者は赦免せず
- 政治に関する意思を以て同条例第一条第三条に違ひ第二十七条に該る罪及び第十六条第十七条第十八条に違ひ第二十九条に該る罪
- 二十 出版条例第十六条第十七条第十八条に違ひ第二十七条に該る罪及び第二十四条を犯す罪但第二十七条に該る者の内風俗を壊乱するが為め発売頒布を禁ぜられたる文書図画を発売頒布したる者は赦免せず
- 政治に関する意思を以て同条例第三条に違ひ第二十一条に該る罪第六条第七条に違ひ第二十二条第二十三条に該る罪及び第十五条第十九条第二十条に違ひ第二十七条に該る罪
- 第二条
- 旧法に依り処断せられたる罪と雖も其性質前条に記載したる罪と同一なる者は之を赦免す
- 第三条
- 数罪倶発例に依り処断せられたる者最重の罪赦免を得たる場合と雖も他の罪に其効を及ぼさず
- 第四条
- 赦免を得ると雖も既に徴収したる罰金科料及び没収したる物件は還付せず
- 第五条
- 陸軍大臣海軍大臣司法大臣は本令の施行に関し必要の指揮を為す可し