← 虚冬愛妻の詩
夜 →
大塚徹・あき詩集 流木作者:大塚徹昭和7年1932年
涯しない 海霧の 濡れて漂うこころの磯辺。 流木の――わが妻よ。 かい抱けば 身にも沁む 海藻の匂い 抛(なげう)てば 眼刺す 夜光の虫か 流木の――わが妻よ。 俺も海鳥 岩暗く 濡れて漂うこころの磯辺。
〈昭和七年、愛誦〉