外國人土地法

外国人土地法から転送)

朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル外國人土地法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム

御名御璽
攝政名


大正十四年三月三十一日
内閣總理大 臣  子爵 加藤  高明
外 務 大 臣  男爵 幣原 喜重郎
内 務 大 臣     若槻 禮次郎
司 法 大 臣     小川  平吉

第一條 帝國臣民又ハ帝國法人ニ対シ土地ニ関スル権利ノ享有ニ付禁止ヲ為シ又ハ条件若ハ制限ヲ附スル国ニ属スル外國人又ハ外國法人ニ対シテハ勅令ヲ以テ帝國ニ於ケル土地ニ関スル権利ノ享有ニ付同一若ハ類似ノ禁止ヲ為シ又ハ同一若ハ類似ノ条件若ハ制限ヲ附スルコトヲ得

第二條 帝國法人又ハ外國法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半数以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決権ノ過半数カ前条ノ外國人又ハ外國法人ニ属スルモノニ対シテハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ其ノ外國人又ハ外國法人ト同一ノ國ニ屬スルモノト看做シ前条ノ規定ヲ適用ス

前項ノ資本ノ額又ハ議決権ノ数ノ計算ハ勅令ノ定ムル所ニ依ル

第三條 外國ノ一部ニシテ土地ニ関シ特別ノ立法権ヲ有スルモノハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ國ト看做ス

第四條 國防上必要ナル地区ニ於テハ勅令ヲ以テ外國人又ハ外國法人ノ土地ニ関スル権利ノ取得ニ付禁止ヲ為シ又ハ条件若ハ制限ヲ附スルコトヲ得

前項ノ地区ハ勅令ヲ以テ之ヲ指定ス

第五條 帝國法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半数以上又ハ資本ノ半額以上若ハ議決権ノ過半数カ外國人又ハ外國法人ニ属スルモノニ対シテハ前条ノ規定ヲ適用ス

前項ノ資本ノ額又ハ議決権ノ数ノ計算ニ付テハ第二条第二項ノ規定ヲ準用ス

第六條 土地ニ関スル権利ヲ有スル者カ本法ニ依リ其ノ権利ヲ享有スルコトヲ得サルニ至リタル場合ニ於テハ一年内ニ之ヲ譲渡スコトヲ要ス

前項ノ規定ニ依ル権利ノ譲渡ナカリシ場合ニ於テ其ノ権利ノ処分ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
前二項ノ規定ハ土地ニ関スル権利ヲ有スル者ノ相続人其ノ他ノ包括承継人カ本法ニ依リ其ノ権利ヲ取得スルコトヲ得サル場合ニ之ヲ準用ス但シ第一項ニ規定スル期間ハ之ヲ三年トス
第一項及前項ニ規定スル期間ハ通シテ三年ヲ超ユルコトヲ得ス

第七條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

第八條 本法ノ施行ニ伴フ不動産登記法ニ関スル特例ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

第九條 明治六年第十八号布告及明治四十三年法律第五十一号ハ之ヲ廃止ス

第十條 明治三十二年法律第六十七號中「土地ノ抵当當権者ナル外國人カ」ヲ「抵當権者カ抵當権ノ目的タル権利ヲ享有スルコトヲ得サル場合ニ於テ」ニ、「抵當不動産」ヲ「抵當権ノ目的タル権利」ニ改ム

第十一條 民法第九百九十條中「日本人ニ非サレハ享有スルコトヲ得サル権利ヲ有スル場合」ヲ「國籍ノ喪失ニ因リテ其有スル権利ヲ享有スルコトヲ得サルニ至リタル場合」ニ改メ「日本人ニ」ヲ削ル

この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公󠄁文󠄁書
  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
  3. 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。