古社寺保存法施行ニ關スル件 (公布時)


朕古社寺保存法施行ニ關スル件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム

   

明治三十年十二月十三日

內務大臣 伯爵󠄄樺山資紀󠄅

勅令第四百四十六號

第一條 古社寺保存法第七條ニ依リ國寳ヲ博物館ニ出陳セシメタルトキハ當該博物館ニ國寳監守ヲ置ク

國寳監守ハ命ヲ內務大臣ニ承ケ出陳國寳ノ監守ニ關スル一切ノ責ニ任ス

第二條 官立博物館ノ國寳監守ハ當該博物館ノ奏任待遇󠄄以上ノ館員ヲ以テ之ニ充ツ

公立博物館ノ國寳監守ハ當該博物館長ヲ以テ之ニ充ツ

第三條 國寳監守ハ身元保證金ヲ納󠄃ムヘシ

第四條 國寳監守故意怠慢ニ由リ共ノ監守スル國寳ヲ亡󠄃失若ハ毀損シタルト キハ辨償ノ責ニ任スヘシ

第五條 古社寺保存法第八條ニ依リ支給スヘキ補給金ハ國寳一箇ニ就キ一箇年二回以上五十圓以下トシ內務大臣ハ出陳ヲ命スル都度之ヲ定ム但シ國寳ニシテ特ニ貴重ナルモノアルトキハ內務大臣ハ古社寺保存會ニ諮詢シ五十圓以上百圓以下ヲ支給スルコトヲ得

第六條 出陳ニ要󠄃スル苻造󠄄運󠄃搬費等ハ總テ當該博物館ニ於󠄁テ支辨スヘキモノトス出陳ノ義務ヲ解除シタルトキ返󠄄送󠄃ニ要󠄃スル荷造󠄄運搬費等亦同シ

第七條 古社寺保存法第十五條ニ依リ損害󠄆賠償ヲ要󠄃スルトキハ內務大臣ハ賠償金額ヲ豫定シ古社寺保存會ノ議ニ附ス

前項ニ依リ古社寺保存會ニ於󠄁テ議決シタル金額內務大臣ノ豫定金額ニ相違󠄅シタルトキハ內務大臣ノ豫定額ト古社寺保存會ノ議決額トヲ合セ之ヲ二除シタル額ヲ以テ賠償ノ實額トス

第八條 本令ニ定ムルモノノ外古社寺保存法施行ニ要󠄃スル細則ハ內務大臣之ヲ定ム

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