古今和歌集/巻十九
巻十九:雑体
01001
[詞書]短歌:題しらす
よみ人しらす
あはむとおもへは
あふことの-まれなるいろに-おもひそめ-わかみはつねに-あまくもの-はるるときなく-ふしのねの-もえつつとはに-おもへとも-あふことかたし-なにしかも-ひとをうらみむ-わたつみの-おきをふかめて-おもひてし-おもひをいまは-いたつらに-なりぬへらなり-ゆくみつの-たゆるときなく-かくなわに-おもひみたれて-ふるゆきの-けなはけぬへく-おもへとも-えふのみなれは-なほやます-おもひはふかし-あしひきの-やましたみつの-こかくれて-たきつこころを-たれにかも-あひかたらはむ-いろにいては-ひとしりぬへみ-すみそめの-ゆふへになれは-ひとりゐて-あはれあはれと-なけきあまり-せむすへなみに-にはにいてて-たちやすらへは-しろたへの-ころものそてに-おくつゆの-けなはけぬへく-おもへとも-なほなけかれぬ-はるかすみ-よそにもひとに-あはむとおもへは
01002
[詞書]短歌:ふるうたたてまつりし時のもくろくのそのなかうた
つらゆき
もりやしぬらむ
ちはやふる-かみのみよより-くれたけの-よよにもたえす-あまひこの-おとはのやまの-はるかすみ-おもひみたれて-さみたれの-そらもととろに-さよふけて-やまほとときす-なくことに-たれもねさめて-からにしき-たつたのやまの-もみちはを-みてのみしのふ-かみなつき-しくれしくれて-ふゆのよの-にはもはたれに-ふるゆきの-なほきえかへり-としことに-ときにつけつつ-あはれてふ-ことをいひつつ-きみをのみ-ちよにといはふ-よのひとの-おもひするかの-ふしのねの-もゆるおもひも-あかすして-わかるるなみた-ふちころも-おれるこころも-やちくさの-ことのはことに-すめらきの-おほせかしこみ-まきまきの-うちにつくすと-いせのうみの-うらのしほかひ-ひろひあつめ-とれりとすれと-たまのをの-みしかきこころ-おもひあへす-なほあらたまの-としをへて-おほみやにのみ-ひさかたの-ひるよるわかす-つかふとて-かへりみもせぬ-わかやとの-しのふくさおふる-いたまあらみ-ふるはるさめの-もりやしぬらむ
01003
[詞書]短歌:ふるうたにくはへてたてまつれるなかうた
壬生忠岑
わかえつつ見む
くれたけの-よよのふること-なかりせは-いかほのぬまの-いかにして-おもふこころを-のはへまし-あはれむかしへ-ありきてふ-ひとまろこそは-うれしけれ-みはしもなから-ことのはを-あまつそらまて-きこえあけ-すゑのよよまて-あととなし-いまもおほせの-くたれるは-ちりにつけとや-ちりのみに-つもれることを-とはるらむ-これをおもへは-けたものの-くもにほえけむ-ここちして-ちちのなさけも-おもほえす-ひとつこころそ-ほこらしき-かくはあれとも-てるひかり-ちかきまもりの-みなりしを-たれかはあきの-くるかたに-あさむきいてて-みかきもり-とのへもるみの-みかきより-をさをさしくも-おもほえす-ここのかさねの-なかにては-あらしのかせも-きかさりき-いまはのやまし-ちかけれは-はるはかすみに-たなひかれ-なつはうつせみ-なきくらし-あきはしくれに-そてをかし-ふゆはしもにそ-せめらるる-かかるわひしき-みなからに-つもれるとしを-しるせれは-いつつのむつに-なりにけり-これにそはれる-わたくしの-おいのかすさへ-やよけれは-みはいやしくて-としたかき-ことのくるしさ-かくしつつ-なからのはしの-なからへて-なにはのうらに-たつなみの-なみのしわにや-おほほれむ-さすかにいのち-をしけれは-こしのくになる-しらやまの-かしらはしろく-なりぬとも-おとはのたきの-おとにきく-おいすしなすの-くすりかも-きみかやちよを-わかえつつみむ
01004
[詞書]短歌:ふるうたにくはへてたてまつれるなかうた(反歌)
壬生忠岑
君か世にあふさか山のいはし水こかくれたりと思ひけるかな
きみかよに-あふさかやまの-いはしみつ-こかくれたりと-おもひけるかな
01005
[詞書]冬のなかうた
凡河内躬恒
すくしつるかな
ちはやふる-かみなつきとや-けさよりは-くもりもあへす-はつしくれ-もみちとともに-ふるさとの-よしののやまの-やまあらしも-さむくひことに-なりゆけは-たまのをとけて-こきちらし-あられみたれて-しもこほり-いやかたまれる-にはのおもに-むらむらみゆる-ふゆくさの-うへにふりしく-しらゆきの-つもりつもりて-あらたまの-としをあまたも-すくしつるかな
01006
[詞書]七条のきさきうせたまひにけるのちによみける
伊勢
よそにこそ見め
おきつなみ-あれのみまさる-みやのうちは-としへてすみし-いせのあまも-ふねなかしたる-ここちして-よらむかたなく-かなしきに-なみたのいろの-くれなゐは-われらかなかの-しくれにて-あきのもみちと-ひとひとは-おのかちりちり-わかれなは-たのむかけなく-なりはてて-とまるものとは-はなすすき-きみなきにはに-むれたちて-そらをまかねは-はつかりの-なきわたりつつ-よそにこそみめ
01007
[詞書]旋頭歌:題しらす
よみ人しらす
うちわたすをち方人に物まうすわれそのそこにしろくさけるはなにの花そも
うちわたす-をちかたひとに-ものまうすわれ-そのそこに-しろくさけるは-なにのはなそも
01008
[詞書]旋頭歌:返し
よみ人しらす
君されはのへにまつさく見れとあかぬ花まひなしにたたなのるへき花のななれや
はるされは-のへにまつさく-みれとあかぬはな-まひなしに-たたなのるへき-はなのななれや
01009
[詞書]旋頭歌:題しらす
よみ人しらす
はつせ河ふるかはのへにふたもとあるすき年をへて又もあひ見むふたもとあるすき
はつせかは-ふるかはのへに-ふたもとあるすき-としをへて-またもあひみむ-ふたもとあるすき
01010
[詞書]旋頭歌:題しらす
つらゆき
きみかさすみかさの山のもみちはのいろ神な月しくれのあめのそめるなりけり
きみかさす-みかさのやまの-もみちはのいろ-かみなつき-しくれのあめの-そめるなりけり
01011
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
梅花見にこそきつれ鶯の人く人くといとひしもをる
うめのはな-みにこそきつれ-うくひすの-ひとくひとくと-いとひしもをる
01012
[詞書]誹諧歌:題しらす
素性法師
山吹の花色衣ぬしやたれとへとこたへすくちなしにして
やまふきの-はないろころも-ぬしやたれ-とへとこたへす-くちなしにして
01013
[詞書]誹諧歌:題しらす
藤原敏行朝臣
いくはくの田をつくれはか郭公してのたをさをあさなあさなよふ
いくはくの-たをつくれはか-ほとときす-してのたをさを-あさなあさなよふ
01014
[詞書]誹諧歌:七月六日たなはたの心をよみける
藤原かねすけの朝臣
いつしかとまたく心をはきにあけてあまのかはらをけふやわたらむ
いつしかと-またくこころを-はきにあけて-あまのかはらを-けふやわたらむ
01015
[詞書]題しらす
凡河内みつね
むつこともまたつきなくにあけぬめりいつらは秋のなかしてふよは
むつことも-またつきなくに-あけぬめり-いつらはあきの-なかしてふよは
01016
[詞書]題しらす
僧正へんせう
秋ののになまめきたてるをみなへしあなかしかまし花もひと時
あきののに-なまめきたてる-をみなへし-あなかしかまし-はなもひととき
01017
[詞書]題しらす
よみ人しらす
あきくれはのへにたはるる女郎花いつれの人かつまて見るへき
あきくれは-のへにたはるる-をみなへし-いつれのひとか-つまてみるへき
01018
[詞書]題しらす
よみ人しらす
秋きりのはれてくもれはをみなへし花のすかたそ見えかくれする
あききりの-はれてくもれは-をみなへし-はなのすかたそ-みえかくれする
01019
[詞書]題しらす
よみ人しらす
花と見てをらむとすれはをみなへしうたたあるさまの名にこそ有りけれ
はなとみて-をらむとすれは-をみなへし-うたたあるさまの-なにこそありけれ
01020
[詞書]誹諧歌:寛平御時きさいの宮の歌合のうた
在原むねやな
秋風にほころひぬらしふちはかまつつりさせてふ蟋蟀なく
あきかせに-ほころひぬらし-ふちはかま-つつりさせてふ-きりきりすなく
01021
[詞書]誹諧歌:あすはるたたむとしける日、となりの家のかたより風の雪をふきこしけるを見て、そのとなりへよみてつかはしける
清原ふかやふ
冬なから春の隣のちかけれはなかかきよりそ花はちりける
ふゆなから-はるのとなりの-ちかけれは-なかかきよりそ-はなはちりける
01022
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
いそのかみふりにしこひの神さひてたたるに我はいそねかねつる
いそのかみ-ふりにしこひの-かみさひて-たたるにわれは-いそねかねつる
01023
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
枕よりあとよりこひのせめくれはせむ方なみそとこなかにをる
まくらより-あとよりこひの-せめくれは-せむかたなみそ-とこなかにをる
01024
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
こひしきか方も方こそ有りときけたてれをれともなき心ちかな
こひしきか-かたもかたこそ-ありときけ-たてれをれとも-なきここちかな
01025
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
ありぬやと心みかてらあひ見ねはたはふれにくきまてそこひしき
ありぬやと-こころみかてら-あひみねは-たはふれにくき-まてそこひしき
01026
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
みみなしの山のくちなしえてしかな思ひの色のしたそめにせむ
みみなしの-やまのくちなし-えてしかな-おもひのいろの-したそめにせむ
01027
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
葦引の山田のそほつおのれさへ我をほしてふうれはしきこと
あしひきの-やまたのそほつ-おのれさへ-われをほしてふ-うれはしきこと
01028
[詞書]誹諧歌:題しらす
きのめのと
ふしのねのならぬおもひにもえはもえ神たにけたぬむなしけふりを
ふしのねの-ならぬおもひに-もえはもえ-かみたにけたぬ-むなしけふりを
01029
[詞書]誹諧歌:題しらす
きのありとも
あひ見まく星はかすなく有りなから人に月なみ迷ひこそすれ
あひみまく-ほしはかすなく-ありなから-ひとにつきなみ-まよひこそすれ
01030
[詞書]誹諧歌:題しらす
小野小町
人にあはむ月のなきには思ひおきてむねはしり火に心やけをり
ひとにあはむ-つきのなきには-おもひおきて-むねはしりひに-こころやけをり
01031
[詞書]誹諧歌:寛平御時きさいの宮の歌合のうた
藤原おきかせ
春霞たなひくのへのわかなにもなり見てしかな人もつむやと
はるかすみ-たなひくのへの-わかなにも-なりみてしかな-ひともつむやと
01032
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
おもへとも猶うとまれぬ春霞かからぬ山もあらしとおもへは
おもへとも-なほうとまれぬ-はるかすみ-かからぬやまも-あらしとおもへは
01033
[詞書]誹諧歌:題しらす
平貞文
春の野のしけき草はのつまこひにとひたつきしのほろろとそなく
はるののの-しけきくさはの-つまこひに-とひたつきしの-ほろろとそなく
01034
[詞書]誹諧歌:題しらす
きのよしひと
秋ののにつまなきしかの年をへてなそわかこひのかひよとそなく
あきののに-つまなきしかの-としをへて-なそわかこひの-かひよとそなく
01035
[詞書]誹諧歌:題しらす
みつね
蝉の羽のひとへにうすき夏衣なれはよりなむ物にやはあらぬ
せみのはの-ひとへにうすき-なつころも-なれはよりなむ-ものにやはあらぬ
01036
[詞書]誹諧歌:題しらす
たたみね
かくれぬのしたよりおふるねぬなはのねぬなはたてしくるないとひそ
かくれぬの-したよりおふる-ねぬなはの-ねぬなはたてし-くるないとひそ
01037
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
ことならは思はすとやはいひはてぬなそ世中のたまたすきなる
ことならは-おもはすとやは-いひはてぬ-なそよのなかの-たまたすきなる
01038
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
おもふてふ人の心のくまことにたちかくれつつ見るよしもかな
おもふてふ-ひとのこころの-くまことに-たちかくれつつ-みるよしもかな
01039
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
思へともおもはすとのみいふなれはいなやおもはし思ふかひなし
おもへとも-おもはすとのみ-いふなれは-いなやおもはし-おもふかひなし
01040
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
我をのみ思ふといははあるへきをいてや心はおほぬさにして
われをのみ-おもふといはは-あるへきを-いてやこころは-おほぬさにして
01041
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
われを思ふ人をおもはぬむくいにやわか思ふ人の我をおもはぬ
われをおもふ-ひとをおもはぬ-むくひにや-わかおもふひとの-われをおもはぬ
01042
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす(一本、ふかやふ)
思ひけむ人をそともにおもはましまさしやむくいなかりけりやは
おもひけむ-ひとをそともに-おもはまし-まさしやむくひ-なかりけりやは
01043
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
いててゆかむ人をととめむよしなきにとなりの方にはなもひぬかな
いててゆかむ-ひとをととめむ-よしなきに-となりのかたに-はなもひぬかな
01044
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
紅にそめし心もたのまれす人をあくにはうつるてふなり
くれなゐに-そめしこころも-たのまれす-ひとをあくには-うつるてふなり
01045
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
いとはるるわか身ははるのこまなれやのかひかてらにはなちすてつる
いとはるる-わかみははるの-こまなれや-のかひかてらに-はなちすてつる
01046
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
鶯のこそのやとりのふるすとや我には人のつれなかるらむ
うくひすの-こそのやとりの-ふるすとや-われにはひとの-つれなかるらむ
01047
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
さかしらに夏は人まねささのはのさやくしもよをわかひとりぬる
さかしらに-なつはひとまね-ささのはの-さやくしもよを-わかひとりぬる
01048
[詞書]誹諧歌:題しらす
平中興
逢ふ事の今ははつかになりぬれは夜ふかからては月なかりけり
あふことの-いまははつかに-なりぬれは-よふかからては-つきなかりけり
01049
[詞書]誹諧歌:題しらす
左のおほいまうちきみ
もろこしのよしのの山にこもるともおくれむと思ふ我ならなくに
もろこしの-よしののやまに-こもるとも-おくれむとおもふ-われならなくに
01050
[詞書]誹諧歌:題しらす
なかき
雲はれぬあさまの山のあさましや人の心を見てこそやまめ
くもはれぬ-あさまのやまの-あさましや-ひとのこころを-みてこそやまめ
01051
[詞書]誹諧歌:題しらす
伊勢
なにはなるなからのはしもつくるなり今はわか身をなににたとへむ
なにはなる-なからのはしも-つくるなり-いまはわかみを-なににたとへむ
01052
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
まめなれとなにそはよけくかるかやのみたれてあれとあしけくもなし
まめなれと-なにそはよけく-かるかやの-みたれてあれと-あしけくもなし
01053
[詞書]誹諧歌:題しらす
おきかせ
なにかその名の立つ事のをしからむしりてまとふは我ひとりかは
なにかその-なのたつことの-をしからむ-しりてまとふは-われひとりかは
01054
[詞書]誹諧歌:いとこなりけるをとこによそへて人のいひけれは
くそ
よそなからわか身にいとのよるといへはたたいつはりにすくはかりなり
よそなから-わかみにいとの-よるといへは-たたいつはりに-すくはかりなり
01055
[詞書]誹諧歌:題しらす
さぬき
ねき事をさのみききけむやしろこそはてはなけきのもりとなるらめ
ねきことを-さのみききけむ-やしろこそ-はてはなけきの-もりとなるらめ
01056
[詞書]誹諧歌:題しらす
大輔
なけきこる山としたかくなりぬれはつらつゑのみそまつつかれける
なけきこる-やまとしたかく-なりぬれは-つらつゑのみそ-まつつかれける
01057
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
なけきをはこりのみつみてあしひきの山のかひなくなりぬへらなり
なけきをは-こりのみつみて-あしひきの-やまのかひなく-なりぬへらなり
01058
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
人こふる事をおもにとになひもてあふこなきこそわひしかりけれ
ひとこふる-ことをおもにと-になひもて-あふこなきこそ-わひしかりけれ
01059
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
よひのまにいてていりぬるみか月のわれて物思ふころにもあるかな
よひのまに-いてていりぬる-みかつきの-われてものおもふ-ころにもあるかな
01060
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
そゑにとてとすれはかかりかくすれはあないひしらすあふさきるさに
そゑにとて-とすれはかかり-かくすれは-あないひしらす-あふさきるさに
01061
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
世中のうきたひことに身をなけはふかき谷こそあさくなりなめ
よのなかの-うきたひことに-みをなけは-ふかきたにこそ-あさくなりなめ
01062
[詞書]誹諧歌:題しらす
在原元方
よのなかはいかにくるしと思ふらむここらの人にうらみらるれは
よのなかは-いかにくるしと-おもふらむ-ここらのひとに-うらみらるれは
01063
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
なにをして身のいたつらにおいぬらむ年のおもはむ事そやさしき
なにをして-みのいたつらに-おいぬらむ-としのおもはむ-ことそやさしき
01064
[詞書]誹諧歌:題しらす
おきかせ
身はすてつ心をたにもはふらさしつひにはいかかなるとしるへく
みはすてつ-こころをたにも-はふらさし-つひにはいかか-なるとしるへく
01065
[詞書]誹諧歌:題しらす
千さと
白雪の友にわか身はふりぬれと心はきえぬ物にそありける
しらゆきの-ともにわかみは-ふりぬれと-こころはきえぬ-ものにそありける
01066
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
梅花さきてののちの身なれはやすき物とのみ人のいふらむ
うめのはな-さきてののちの-みなれはや-すきものとのみ-ひとのいふらむ
01067
[詞書]誹諧歌:法皇にし河におはしましたりける日、さる山のかひにさけふといふことを題にてよませたまうける
みつね
わひしらにましらななきそあしひきの山のかひあるけふにやはあらぬ
わひしらに-ましらななきそ-あしひきの-やまのかひある-けふにやはあらぬ
01068
[詞書]誹諧歌:題しらす
よみ人しらす
世をいとひこのもとことにたちよりてうつふしそめのあさのきぬなり
よをいとひ-このもとことに-たちよりて-うつふしそめの-あさのきぬなり