古今和歌集/墨滅歌
異本所載歌
01101
[詞書]ひくらし/物名部:在郭公下、空蝉上
平あつゆき
そま人は宮木ひくらしあしひきの山の山ひこよひとよむなり
そまひとは-みやきひくらし-あしひきの-やまのやまひこ-よひとよむなり
01102
[詞書]をかたまの木/物名部:をかたまの木、友則下
勝臣
かけりてもなにをかたまのきても見むからはほのほとなりにしものを
かけりても-なにをかたまの-きてもみむ-からはほのほと-なりにしものを
01103
[詞書]くれのおも/物名部:忍草、利貞下
つらゆき
こし時とこひつつをれはゆふくれのおもかけにのみ見えわたるかな
こしときと-こひつつをれは-ゆふくれの-おもかけにのみ-みえわたるかな
01104
[詞書]おきのゐ、みやこしま/物名部:からこと、清行下
をののこまち
おきのゐて身をやくよりもかなしきは宮こしまへのわかれなりけり
おきのゐて-みをやくよりも-かなしきは-みやこしまへの-わかれなりけり
01105
[詞書]そめとの、あはた/このうた、水の尾のみかとのそめとのよりあはたへうつりたまうける時によめる/物名部:桂宮下
あやもち
うきめをはよそめとのみそのかれゆく雲のあはたつ山のふもとに
うきめをは-よそめとのみそ-のかれゆく-くものあはたつ-やまのふもとに
01106
[詞書]題しらす/巻第十一:奥山の春の根しのきふる雪下
よみ人しらす
けふ人をこふる心は大井河なかるる水におとらさりけり
けふひとを-こふるこころは-おほゐかは-なかるるみつに-おとらさりけり
01107
[詞書]題しらす/巻第十一:奥山の春の根しのきふる雪下
よみ人しらす
わきもこにあふさか山のしのすすきほにはいてすもこひわたるかな
わきもこに-あふさかやまの-しのすすき-ほにはいてすも-こひわたるかな
01108
[詞書]題しらす/この歌、ある人、あめのみかとのあふみのうねめにたまへると/巻第十三:こひしくはしたにを思へ紫の下
よみ人しらす(一説、あめのみかと)
いぬかみのとこの山なるなとり河いさとこたへよわかなもらすな
いぬかみの-とこのやまなる-なとりかは-いさとこたへよ-わかなもらすな
01109
[詞書]返し:うねめのたてまつれる/巻第十三:こひしくはしたにを思へ紫の下
あふみのうねめ
山しなのおとはのたきのおとにのみ人のしるへくわかこひめやも
やましなの-おとはのたきの-おとにのみ-ひとのしるへく-わかこひめやも
01110
[詞書]そとほりひめのひとりゐてみかとをこひたてまつりて/巻第十四:思ふてふことのはのみや秋をへて下
そとほりひめ
わかせこかくへきよひなりささかにのくものふるまひかねてしるしも
わかせこか-くへきよひなり-ささかにの-くものふるまひ-かねてしるしも
01111
[詞書]題しらす/巻第十四:深養父、こひしとはたかなつけけむことならむ下
つらゆき
みちしらはつみにもゆかむすみのえの岸におふてふこひわすれくさ
みちしらは-つみにもゆかむ-すみのえの-きしにおふてふ-こひわすれくさ