初等整数論講義/第1章/附記 循環小数

附記.循環小数編集

既約なる真分数   に於いて,分母    および   で割り切れないとき, 即ち   なるとき,  を法として,  が 指数   に対応するとする.然らば

 

 

と置けば,

 [1]

仮定に由って  ,従って  . 故に    桁の周期[2] を有する 循環小数に展開される. 逆に    桁の周期を以って循環する小数に等しいならば,

 

従って   である. 故に

定理 .

  は循環小数に展開せられ,循環の一節の数字を   桁とすれば,    なる最小正指数である.    の約数で,それは分母   のみに由って定まる.

   の素数冪への分解とし,   を法として   に対応する 指数を   とすれば,  を法としての 指数    の最小公倍数に等しい.

次に   のとき,  とし,   を既約分数に化して   を得るとする. 然らば  ,従って   を法として   に 対応する指数を   とすれば,   桁の 周期を有する循環小数に等しい.  も同様であるが,循環が小数 第   位から始まる.

  ならば   は有限小数に等しい


[例 1]

  とすれば,  は指数   に対応する. (即ち   は素数   の原始根である.§11.) 故に   を分母とする既約分数は分子の如何に拘らず,  位の周期を有する 循環小数に展開される.

 

上記の循環節は    倍であるが,それらは   なる六つの数字の循環置換に由って得られるものである.

循環節を折半して加え合わせると   になる.  等.

ここでは   だから, . 故に上記の割り算で第三段の剰余が   である.    との和が   であるから 上記のような現象が生ずる.

多くの読者はこのような数字の遊戯に興味を感ずるであろうと信ずる.


[例 2]

分母を   とする. 割り算から  . 故に分母   なる既約分数は   位の循環節を有する小数に展開される.

割り算から見えるように

 

 

 

この場合にも第三段で剰余   )が出た所で 割り算を止めても宜かったのである. あと三つの剰余は   で, 商の数字は   である.

この中にない分子,例えば   を取れば

 

由って

 

 

  の循環節   ,その他は循環置換に由って得られる.


[例 3]

例1, 例2 に由れば   を法としても   は指数   に対応する. 故に   を分母とする既約分数は,6 位の循環節を有する小数に展開される.

 

 

 

 

 

 

分子 循環節
1)    
2)    
3)    
4)    
5)    
6)    
7)    
8)    
9)    
10)    
11)    
12)    

  を分母とする既約真分数   個が 6 つずつ 12 群に分かれ,各群に属する 6 つの既約真分数の小数への展開に於ける循環の一節は同一の 6 つの数字の循環置換である.

表の説明.1) の意味は明白であろう.2) に掲げた分子は 1) の数の   倍を   で割った剰余で, 循環節の欄に掲げた   は 1) の所の   に 2) の左端の   を 掛けたものである.その他の行も同様である.例えば 12) は 1) の各数の   倍を   で 割った剰余   等々で, 循環節は  .この数字を一桁ずつ循環的にずらして

 

どの行でも始めの三つの分子を   から引いた残りが後の三つ分子である. (  が偶数のとき,いつでも同様.)


  1.  
  2. 原文は「週期」