八重衣
君が為め、春の野に出でて若菜摘む、我が衣手に雪は降りつつ。
春過ぎて、夏来にけらし
秋の田の、かりほの
きりぎりす、鳴くや霜夜の
- 底本: 今井通郎『生田山田両流 箏唄全解』下、武蔵野書院、1975年。
地歌。小倉百人一首より衣にちなんだ5首をあつめたもの。第1首より順に、 古今集、巻一、春歌上、光孝天皇。 新古今集、巻三、夏歌、持統天皇。 新古今集、巻五、秋歌下、参議雅経。 後撰集、巻十、秋歌、天智天皇。 新古今集、巻五、秋歌下、後京極摂政前太政大臣。
作曲は、石川勾当。箏手付は、八重崎検校。君が為め、春の野に出でて若菜摘む、我が衣手に雪は降りつつ。
春過ぎて、夏来にけらし
秋の田の、かりほの
きりぎりす、鳴くや霜夜の