ひとするなかれ、せられざらんためなり、

 けだしなんぢなんもつてかひとせば、またくのごとせられん、なんますもつてかひとはからば、くのごとなんぢにもはかられん。

 なんぢなん兄弟けいてい物屑ちりるをて、おのれ梁木うつばりるをおぼえざる、

 あるひおのれ梁木うつばりるに、如何いかんなんぢ兄弟けいていげて、われ物屑ちりなんぢよりだすをゆるせとはん、

 善者ぜんしやよ、梁木うつばりおのれよりいだせ、其時そのとき如何いか兄弟けいていより物屑ちりいだすべきをん。

 聖物せいぶついぬあたふるなかれ、なんぢ眞珠しんじゆぶたまへぐるなかれ、おそらくは彼等かれら其足そのあしにてこれみ、かつてんじてなんぢまん。

 もとめよ、しからばなんぢあたへられん、たづねよ、しからばはん、もんたゝけよ、しからばなんぢためひらかれん、

 けだしおよもとむるものたづぬるものひ、もんたゝものにはひらかれん。

 なんぢうちたれそのぱんもとめんに、これいしあたふるものあらん、

一〇 またうをもとめんに、これへびあたふるものあらん。

一一 しからばなんぢしきものなるに、なほたまものそのあたふるをる、いはんてんいまなんぢちちは、これもとむるものものあたへざらんや。

一二 ゆゑおよそことひとなんぢおこなはんをほつするものは、なんぢくのごとこれひとおこなへ、けだし律法りつぱふ預言者よげんしやとはすなはちこれなり。

一三 せまもんよりれ、けだし沈淪ほろびみちびもんひろく、其路そのみちゆるくして、これものおほし、

一四 たゞ生命いのちみちびもんせまく、其路そのみちほそくして、これものすくなし。

一五 つゝしみていつはり言者げんしやふせげ、彼等かれらひつじころもにてなんぢきたれども、うちむごおほかみなり、

一六 なんぢそのりて彼等かれららん、あに荊棘いばらよりだうみ、あるひ蒺藜あざみより無花果いちじくらんや。

一七 くのごとおよむすび、しきしきむすぶ、

一八 しきむすあたはず、またしきむすあたはず。

一九 およむすばざるは、られてげらる。

二〇 ゆゑなんぢそのりて彼等かれららん。

二一 およわれしゅよ、しゅよ、とものは、かならずしも天國てんこくるにあらず、たゞてんいまちちむねおこなものらん。

二二 おほくのものわれはん、しゅよ、しゅ我等われらなんぢりてげんし、なんぢりて魔鬼まきひ、なんぢりておほくののうおこなひしにあらずやと。

二三 其時そのときわれ彼等かれらげてはん、われかつなんぢらざりき、はふものわれはなれよと。

二四 ゆゑおよことばきてこれおこなものは、われこれいはうへ其家そのいへてたるさとひとたとへん。

二五 あめり、かはあふれ、かぜきて其家そのいへちたれども、たふれざりき、いはうへもとづけたればなり。

二六 およことばきてこれおこなはざるものは、すなうへ其家そのいへてたるおろかなるひとたとへられん、

二七 あめり、かはあふれ、かぜきて其家そのいへきたれば、たふれたり、かつそのたふれおほいなりき。

二八 イイススこれことばをはりしときたみそのをしへとせり、

二九 けだし彼等かれらをしへしことけんあるものごとし、がくおよファリセイごときにあらず。