プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律


プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律をここに公布する。
御名御璽

    令和三年六月十一日


法律第六十号

プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律

目次

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第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 基本方針等(第三条 - 第六条)
第三章 プラスチック使用製品設計指針(第七条 - 第二十七条)
第四章 特定プラスチック使用製品の使用の合理化(第二十八条 - 第三十条)
第五章 市町村の分別収集及び再商品化(第三十一条 - 第三十八条)
第六章 製造事業者等による自主回収及び再資源化(第三十九条 - 第四十三条)
第七章 排出事業者による排出の抑制及び再資源化等(第四十四条 - 第五十三条)
第八章 雑則(第五十四条 - 第五十九条)
第九章 罰則(第六十条 - 第六十六条)
附則

第一章 総則

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(目的)

第一条
この法律は、国内外におけるプラスチック使用製品の廃棄物をめぐる環境の変化に対応して、プラスチックに係る資源循環の促進等を図るため、プラスチック使用製品の使用の合理化、プラスチック使用製品の廃棄物の市町村による再商品化並びに事業者による自主回収及び再資源化を促進するための制度の創設等の措置を講ずることにより、生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条
この法律において「プラスチック使用製品」とは、プラスチックが使用されている製品をいう。
2 この法律において「使用済プラスチック使用製品」とは、一度使用され、又は使用されずに収集され、若しくは廃棄されたプラスチック使用製品であって、放射性物質によって汚染されていないものをいう。
3 この法律において「プラスチック使用製品廃棄物」とは、使用済プラスチック使用製品が廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)二条第一項に規定する廃棄物(以下「廃棄物」という。)となったものをいう。
4 この法律において「プラスチック副産物」とは、製品の製造、加工、修理又は販売その他の事業活動に伴い副次的に得られるプラスチックであって、放射性物質によって汚染されていないものをいう。
5 この法律において「再資源化」とは、使用済プラスチック使用製品又はプラスチック副産物(次項及び第四条第三項において「使用済プラスチック使用製品等」という。 ) の全部又は一部を部品又は原材料その他製品の一部として利用することができる状態にすることをいう。
6 この法律において「再資源化等」とは、再資源化及び使用済プラスチック使用製品等の全部又は一部であって燃焼の用に供することができるもの又はその可能性のあるものを熱を得ることに利用することができる状態にすることをいう。
7 この法律において「分別収集物」とは、市町村がプラスチック使用製品廃棄物について分別して収集すること(第六条第一項及び第三十一条第一項において「分別収集」という。 ) により得られる物をいう。
8 この法律において「再商品化」とは、次に掲げる行為をいう。
一 分別収集物について、製品 (燃料として利用される製品にあっては、 政令で定めるものに限る。 )の部品又は原材料として利用する者に有償又は無償で譲渡し得る状態にすること。
二 分別収集物について、前号に規定する製品としてそのまま使用する者に有償又は無償で譲渡し得る状態にすること。
9 この法律において「排出事業者」とは、プラスチック使用製品廃棄物のうち廃棄物処理法第二条第四項に規定する産業廃棄物(以下「産業廃棄物」という。 ) に該当するもの(分別収集物となったものを除く。 ) 又はプラスチック副産物(以下「プラスチック使用製品産業廃棄物等」という。 ) を排出する事業者をいう。

第二章 基本方針等

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(基本方針)

第三条
主務大臣は、プラスチック使用製品廃棄物及びプラスチック副産物の排出の抑制並びに回収及び再資源化等の促進(以下「プラスチックに係る資源循環の促進等」という。 ) を総合的かつ計画的に推進するための基本的な方針(以下「基本方針」という。 ) を定めるものとする。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 プラスチックに係る資源循環の促進等の基本的方向
二 プラスチック使用製品の設計又はその部品若しくは原材料の種類の工夫によるプラスチックに係る資源循環の促進等のための方策に関する事項
三 プラスチック使用製品の使用の合理化によるプラスチック使用製品廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項
四 分別収集物の再商品化の促進のための方策に関する事項
五 プラスチック使用製品の製造又は販売をする事業者による使用済プラスチック使用製品(分別収集物となったものを除く。以下同じ。 ) の自主回収(自ら回収し、又は他人に委託して回収させることをいう。第五十五条第五項において同じ。 ) 及び再資源化の促進のための方策に関する事項
六 排出事業者によるプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等の促進のための方策に関する事項
七 環境の保全に資するものとしてのプラスチックに係る資源循環の促進等の意義に関する知識の普及に関する事項
八 前各号に掲げるもののほか、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する重要事項
3 基本方針は、海洋環境の保全及び地球温暖化の防止を図るための施策に関する法律の規定による国の方針との調和が保たれたものでなければならない。
4 主務大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては、当該行政機関)に協議しなければならない。
5 主務大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

(事業者及び消費者の責務)

第四条
事業者は、プラスチック使用製品廃棄物及びプラスチック副産物を分別して排出するとともに、その再資源化等を行うよう努めなければならない。
2 消費者は、プラスチック使用製品廃棄物を分別して排出するよう努めなければならない。
3 事業者及び消費者は、プラスチック使用製品をなるべく長期間使用すること、プラスチック使用製品の過剰な使用を抑制すること等のプラスチック使用製品の使用の合理化により、プラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制するとともに、使用済プラスチック使用製品等の再資源化等により得られた物又はこれを使用した物を使用するよう努めなければならない。

(国の責務)

第五条
国は、プラスチックに係る資源循環の促進等に必要な資金の確保その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
2 国は、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する情報の収集、整理及び活用、研究開発の推進及びその成果の普及その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
3 国は、教育活動、広報活動等を通じて、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する国民の理解を深めるとともに、その実施に関する国民の協力を求めるよう努めなければならない。

(地方公共団体の責務)

第六条
市町村は、その区域内におけるプラスチック使用製品廃棄物の分別収集及び分別収集物の再商品化に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 都道府県は、市町村に対し、前項の責務が十分に果たされるように必要な技術的援助を与えるよう努めなければならない。
3 都道府県及び市町村は、国の施策に準じて、プラスチックに係る資源循環の促進等に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

第三章 プラスチック使用製品設計指針

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(プラスチック使用製品設計指針の策定等)

第七条
主務大臣は、プラスチック使用製品の製造を業として行う者(その設計を行う者に限る。)及び専らプラスチック使用製品の設計を業として行う者(以下 「プラスチック使用製品製造事業者等」という。)が設計するプラスチック使用製品についてプラスチックに係る資源循環の促進等を円滑に実施するためにプラスチック使用製品製造事業者等が講ずべき措置に関する指針(以下 「プラスチック使用製品設計指針」という。)を定めるものとする。
2 プラスチック使用製品設計指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 プラスチックの使用量の削減、プラスチックに代替する素材の活用その他のプラスチックに係る資源循環の促進等を円滑に実施するためのプラスチック使用製品の設計又はその部品若しくは原材料の種類についての工夫に関してプラスチック使用製品製造事業者等が取り組むべき事項
二 その他プラスチック使用製品製造事業者等がプラスチックに係る資源循環の促進等の円滑な実施について配慮すべき事項
3 主務大臣は、プラスチック使用製品設計指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、環境大臣に協議しなければならない。
4 主務大臣は、プラスチック使用製品設計指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 プラスチック使用製品製造事業者等は、第一項の規定によりプラスチック使用製品設計指針が定められたときは、これに即してプラスチック使用製品を設計するよう努めなければならない。

(プラスチック使用製品の設計の認定)

第八条
プラスチック使用製品製造事業者等は、 その設計するプラスチック使用製品の設計について、主務大臣の認定を受けることができる。
2 前項の認定(以下「設計認定」 という。 ) を受けようとするプラスチック使用製品製造事業者等は、主務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を主務大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 当該プラスチック使用製品の名称及び用途
3 前項の申請書には、当該プラスチック使用製品の設計を記載した書類その他主務省令で定める書類を添付しなければならない。
4 主務大臣は、設計認定の申請があった場合において、当該申請に係るプラスチック使用製品の設計がプラスチック使用製品設計指針に適合していると認めるときは、設計認定をするものとする。
5 主務大臣は、設計認定のための審査に当たっては、主務省令で定めるところにより、申請に係るプラスチック使用製品の設計のプラスチック使用製品設計指針への適合性についての技術的な調査を行うものとする。
6 主務大臣は、設計認定をしたときは、当該設計認定に係るプラスチック使用製品の情報を公表するものとする。

(変更の認定等)

第九条
設計認定を受けたプラスチック使用製品製造事業者等(以下「認定プラスチック使用製品製造事業者等」という。) は、当該設計認定に係る設計を変更しようとするときは、主務大臣の認定を受けなければならない。
2 前項の認定を受けようとする者は、主務省令で定めるところにより、設計の変更の内容を記載した書類その他主務省令で定める書類を主務大臣に提出しなければならない。
3 前条第四項から第六項までの規定は、第一項の認定に準用する。
4 認定プラスチック使用製品製造事業者等は、 前条第二項各号に掲げる事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
5 主務大臣は、設計認定に係る設計がプラスチック使用製品設計指針に適合しないものとなったと認めるときは、当該認定プラスチック使用製品製造事業者等に対し、その改善を指示し、又は当該設計認定を取り消すことができる。
6 主務大臣は、前項の規定により設計認定を取り消したときは、その取消しに係るプラスチック使用製品の情報を公表するものとする。

(認定プラスチック使用製品の調達についての配慮等)

第十条
国は、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成十二年法律第百号)第六条第一項に規定する基本方針を定め、又はこれを変更しようとする場合には、設計認定に係るプラスチック使用製品(以下「認定プラスチック使用製品」という。 ) の調達の推進が促進されるよう十分に配慮しなければならない。
2 事業者及び消費者は、認定プラスチック使用製品を使用するよう努めなければならない。

(指定調査機関による調査)

第十一条
主務大臣は、その指定する者(以下「指定調査機関」という。 ) に第八条第五項(第九条第三項において準用する場合を含む。 ) に規定する調査(以下「設計調査」という。 ) の全部又は一部を行わせることができる。
2 主務大臣は、前項の規定により指定調査機関に設計調査の全部又は一部を行わせるときは、当該設計調査の全部又は一部を行わないものとする。この場合において、主務大臣は、指定調査機関が第四項の規定により通知する設計調査の結果を考慮して設計認定又は第九条第一項の変更の認定のための審査を行わなければならない。
 

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