§1 (Col. V)

 或人ガ呪咀(Nêrtu)ヲ立テ他人ヲ吿發シ其罪ヲ證明スルコトガ出來ヌ場合ニハ死刑ニ處セラルベシ。

§2 (Col. V)

 魔術(Kišpu)ヲ用ヰタコトヲ揭ゲテ他人ヲ吿發シタ者ガ其罪ヲ證明スルコトガ出來ナケレバ、被吿ハ聖河ニ飛込ムコトヲ要シ、而シテ若シ彼ガ溺レタ場合ニハ、吿發人ハ被吿ノ住宅ヲ獲得スベシ。

 若シ被吿ガ溺レナケレバ彼ノ無罪ヲ意味スルモノデアツテ、此場合ニハ吿發人ハ死刑ニ處セラルベシ。而シテ被吿ハ吿發人ノ住宅ヲ獲得スルコトガ出來ル。

§3 (Col. V)

 事件ノ審理中ニ虛僞ノ證據ヲ立テ又ハ彼ノ爲シタ陳述ヲ確實ニセザル者ハ、若シ其事件ガ生命ニ關スルモノデアレバ其者ハ死刑ニ處セラルベシ。

§4 (Col. V)

 穀物又ハ金錢ヲ收賄シテ不正ノ證據ヲ立テタ者ハ、其レガ爲ニ生ジタ損害ヲ賠償シナケレバナラヌ。

§5 (Col. V)

 法官ガ評決ヲ與ヘ、決定ヲ爲シ、記錄シタル判決ヲ下シ、而シテ其後ニ至リ其判決ヲ變更シタル場合ハ、其法官ハ彼ノ爲シタ判決ノ變更ニ付テ問責サレ、且ツ其判決ニ下サレタ罰金ノ十二倍ヲ支拂フベシ。更ニ彼ハ法官ノ席カラ公ニ放逐サレ再ビ法官ノ席ニ就クコト能ハザルベシ。

§6 (Col. VI)

 寺院又ハ宮殿カラ財物ヲ盜取シタル者ハ死刑ニ處セラルベシ。盜人カラ盜品ヲ取得シタル者モ死刑ニ處セラルベシ。

§7 (Col. VI)

 少年又ハ奴隷カラ、金、銀、男又ハ女ノ奴隷、牛、羊、驢、其他ノ物ヲ、少年保護者又ハ奴隷主ノ承諾無シニ買得シ又ハ寄託ヲ受ケタ者ハ、盜賊トシテ死刑ニ處セラルベシ。

§8 (Col. VI)

 寺院又ハ宮殿カラ牛、羊、驢、豚、又ハ船ヲ盜取シタ者ハ三十倍ヲ賠償スベシ。尤モ平民カラ盜取シタ場合ニハ十倍ヲ賠償スベシ。其盜賊ガ支拂フコトガ出來ナケレバ死刑ニ處セラルベシ。

§9 (Col. VI-VII)

 物品ヲ遺失シタル者ガ他人ノ占有中ニ於テ其遺失物ヲ發見シタ場合ニ、遺失物ノ占有者ガ證據ヲ揭ゲテ買得シタモノデアルト主張シ、遺失物ノ所有者モ其所有ニ係ルコトヲ立證スレバ、其等ノ證據ハ裁判官ニ於テ判斷スベシ。買得シタリト云フ買主ノ證據ト、遺失シタリト云フ所有者ノ證據トハ共ニ神前ニ於テ宣誓サレナケレバナラヌ。遺失物ノ賣主ハ盜賊トシテ死刑ニ處セラレ、所有者ハ其遺失物ヲ囘復シ、買主ハ先キニ支拂ツタ代價ヲ賣主ノ財產カラ賠償サルベシ。

§10 (Col. VII)

 買主ガ遺失物ノ賣主ヲ示サズ、且ツ買得ノ證據ヲ揭ゲザル場合ニ、遺失物ノ所有者ガ自己ノ遺失物ト同一ナルコトヲ立證スルトキハ、買主ハ盜賊トシテ死刑ニ處セラレ、遺失物ノ所有者ハ其遺失ヲ囘復スベシ。

§11 (Col. VII-VIII)

 遺失物ノ所有者ガ遺失物ト同一ナルコトノ證據ヲ揭ゲザルトキハ、虛僞ヲ主張シ誣吿ヲ用フル者トシテ死刑ニ處セラルベシ。

§12 (Col. VIII)

 賣主ガ死亡シタル場合ニハ、買主ハ賣主ノ財產カラ其事件ノ損害ノ五倍ヲ賠償サルベシ。

§13 (Col. VIII)

 法官ハ證據ヲ有セザル者ニハ六ケ月ノ猶豫期間ヲ與ヘ、若シ其者ガ六ケ月內ニ證據ヲ擧ゲナケレバ虛言者トシテ、自ラ其事件ノ罰金ヲ支拂フ可シ。

§14 (Col. VIII)

 他人ノ子供ヲ盜取シタ者ハ死刑ニ處セラルベシ。

§15 (Col. VIII)

 貴族又ハ平民ノ男若シクハ女ノ奴隷ヲ市外ニ逃亡セシメタ者ハ死刑ニ處セラルベシ。

§16 (Col. VIII)

 或者ガ貴族又ハ平民ノ家カラ逃亡シタ男若シクハ女ノ奴隷ヲ自己ノ家ニ庇護シ、且ツ役人ノ要求ニ應ジテ之ヲ公役ニ服スル奴隷トシナケレバ、其家ノ所有者ハ死刑ニ處セラルベシ。

§17 (Col. VIII)

 或者ガ逃亡シタ男又ハ女ノ奴隷ヲ開放サレタ原野ニ於テ逮捕シ、之ヲ其所有者ニ返付シタ場合ニハ、奴隷ノ所有者ハ彼ニ銀二 Shekel ヲ支拂フベシ。

§18 (Col. VIII)

 若シ其奴隷ガ彼ノ所有者ヲ指名シナケレバ、之ヲ宮殿ニ送致シテ奴隷ノ經歷ヲ檢査シテ、之ヲ其所有者ニ返付スベシ。

§19 (Col. VIII)

 奴隷ヲ逮捕シタ者ガ之ヲ自己ノ家ニ隱匿シ、其後、占有中ノ奴隷ガ發覺サレタ場合ニハ、隱匿者ハ死刑ニ處セラルベシ。

§20 (Col. IX)

 奴隷ガ逮捕者ノ手カラ逃亡シタ場合ニハ、其旨ヲ奴隷ノ所有者ニ通吿スレバ逮捕者ハ責任ヲ免カルベシ。

§21 (Col. IX)

 他人ノ家ニ亂入シタ者ハ其場ニ於テ殺サレ且ツ其處ニ葬ラルベシ。

§22 (Col. IX)

 盜賊ヲ働キ逮捕サレタ者ハ死刑ニ處セラルベシ。

§23 (Col. IX)

 盜賊ガ逮捕サレヌ場合ニハ、盜難者ハ神前ニ於テ盜難ノ事實ヲ宣誓シ、盜難ノ市又ハ地區ヲ管轄スル役人ガ、盜難者ニ被害ヲ賠償スベシ。

§24 (Col. IX)

 生命ノ被害アル場合ニハ市又ハ地區ヲ管轄スル役人ハ、被害者ノ相續人等ニ銀一 Mina ヲ支拂フベシ。

§25 (Col. IX)

 他人ノ家ニ起ツタ火事ヲ消シニ來テ、其家ノ財物ニ眼ヲ付ケ之ヲ盜取シタ者ハ、其火中ニ投棄サルベシ。

§26 (Col. IX-X)

 國王ノ用務ニ服ス可キ職務ヲ有スル士官又ハ守衞ガ、其職務ヲ空シクシ又ハ代人ヲシテ其職ニ當ラシメタ場合ニハ死刑ニ處セラレ、其代人ハ士官又ハ守衞ノ家ヲ取得スベシ。

§27 (Col. X)

 國王ノ用務ニ服シタ士官又ハ守衞ガ、其不在中ニ領地及莊園ヲ他人ニ取得サレタ場合ハ、其歸來後ハ從前ノ如ク其領地及莊園ヲ囘復シ其職務ヲ執行スベシ。

§28 (Col. X)

 士官又ハ守衞ガ國王ノ用務ニ服シタ場合ニ、其子(單數)ガ父ノ職務ヲ執リ得ルトキハ、子ハ父ノ領地及莊園ヲ取得シ、父ノ職務ヲ執行スベシ。

§29 (Col. X)

 若シ其子ガ幼少ナルカ又ハ父ノ職務ヲ執ルニ堪ヘザルトキハ、領地及莊園ノ三分ノ一ヲ其母ニ與ヘ、母ハ其子ヲ養育スベシ。

§30 (Col. X-XI)

 斯ノ士官又ハ守衞ガ其領地、莊園及家屋ノ管理ヲ怠リ、之ヲ荒廢セシメタ場合ニ、他人ガ之ヲ取得シテ三年間管理シタルトキハ、前者ガ歸來シテ彼ノ領地、莊園及家屋ノ管理ヲ要求シテモ、後者ハ其管理ヲ持續スベシ。

§31 (Col. XI)

 若シ彼ガ一年間ノ荒廢ニ止リ、歸來シタ場合ニハ、彼ハ領地、莊園及家屋ヲ與ヘラレ、其職務ヲ繼續スベシ。

§32 (Col. XI)

 國王ノ用務ニ服シタ士官又ハ守衞ガ(敵ニ逮捕サレ)、商人カラ贖身サレテ歸鄕スルコトヲ得タ場合ニハ、若シ其被贖身者ガ其家ニ贖身金ヲ拂ヒ得ル資力ヲ有スルトキハ、自ラ之ヲ支辨シ、其十分ナル資力ヲ有セザルトキハ、彼レノ公共團體ノ寺院金庫カラ之ヲ支辨シ、若シ寺院金庫ニ其資力ガ無ケレバ宮廷(國王又ハ國庫?)カラ支辨スベシ。如何ナル場合ニモ彼ノ領地、莊園、家屋ヲ以テ贖身シテハナラヌ。

§33 (Col. XI)

 官吏又ハ公吏ガ賦役者(Corvie)ヲ私用ニ供シ、又ハ傭入レタ代人ヲ國王ノ用務ニ付テ受授シタ場合ハ、其官吏又ハ公吏ハ死刑ニ處セラルベシ。

§34 (Col. XI)

 官吏又ハ公吏ガ士官ノ財產ヲ取リ、士官ヲ掠奪シ、士官ヲ(奴隷トシテ)賃貸シ、士官ヲ暴君ノ裁判ニ附シ、又ハ國王ヨリ得タル士官ノ報酬ヲ取ツタ場合ハ死刑ニ處セラルベシ。

§35 (Col. XI-XII)

 國王カラ與ヘラレタ羊又ハ牛ヲ士官カラ買ツタ者ハ其金ヲ沒收サルベシ。

§36 (Col. XII)

 士官、守衞又ハ納貢者ノ領地、莊園又ハ家屋ハ如何ナル場合ニモ之ヲ賣ルコトハナラヌ。

§37 (Col. XII)

 士官、守衞又ハ納貢者ノ領地、莊園又ハ家屋ヲ買ツテモ、其賣買ハ無效ニシテ其記錄ハ破棄サレ、其代價ハ沒收サレ、領地、莊園、又ハ家屋ハ其所有者ニ返還サルベシ。

§38 (Col. XII)

 士官、守衞又ハ納貢者ハ其領地、莊園又ハ家屋ヲ、其妻又ハ娘ニ證文ヲ以テ讓渡シテハナラヌ。且ツ負債ノ爲メニ讓渡シテモナラヌ。

§39 (Col. XII)

 然シ彼ガ買收シテ占有スル領地、莊園又ハ家屋ハ、之ヲ其妻又ハ娘ニ證文ヲ以テ讓渡シテモヨイ。或ハ彼ノ負債ノ爲メニ讓渡シテモヨイ。

§40 (Col. XII)

 彼ハ王室ノ役人(tamkar)又ハ其他國家ノ役人ニハ領地、莊園又ハ家屋ヲ賣ツテモヨイ。其買人ハ買入レタ領地、莊園又ハ家屋ニ附隨スル公務ヲ果タスベシ。

§41 (Col. XII)

 士官、守衞又ハ納貢者ノ領地、莊園又ハ家屋トノ交換ノ爲ニ或人ガ與ヘタ財產ハ、士官、守衞又ハ納貢者ガ其領地、莊園又ハ家屋ニ歸來シタ場合ハ彼ノ所得トナルベシ。

§42 (Col. XII-XIII)

 或人ガ耕作ノ爲メニ原野ヲ賃借シテ、收穫ヲ得ザル場合ニハ、耕作ヲ爲サナカツタ責任ヲ負擔シ、且ツ原野ノ所有者ニハ近隣ノ狀況ニ比較シテ相當ノ借賃(多分穀物)ヲ拂フベシ。

§43 (Col. XIII)

 若シ彼ガ耕作ヲ爲サズ、等閑ニ附シ置カバ、隣人ガ收穫シタルト同量ノ收穫ヲ、原野ノ所有者ニ給付シ、且ツ耕作ヲ怠ツタ原野ニ耕作ヲ加ヘテ之ヲ其所有者ニ返還スベシ。

§44 (Col. XIII)

 開墾シ得可キ荒地ヲ三年間賃借シタ者ガ、其開墾ヲ怠レバ四年目ニハ之ヲ開墾シ、耕作ヲ加ヘテ所有者ニ返還シ、且ツ年每ニ土地十 Gan ニ對シ穀物十 Gur ヲ拂フベシ。

§45 (Col. XIII)

 或者ガ一定ノ賃料ヲ以テ其原野ヲ他人ニ貸付ケテ、旣ニ其賃料ヲ受領シタルニ、其後雨又ハ嵐ノ爲メニ收穫ガ失ハレタ場合ニハ其損失ハ賃借人ノ負擔トナル。

§46 (Col. XIII)

 一定ノ賃料ヲ受領セズ收穫ノ二分ノ一又ハ三分ノ一ノ賃料ヲ以テ原野ヲ貸付ケタ場合ニハ、原野ノ收穫ハ所有者ト賃借人トニ契約通リニ比例分配サルベシ。

§47 (Col. XIII)

 賃借人ガ初年ニ收支償ハナカツタ爲メニ、其原野ヲ他人ニ賃貸スルモ、所有者ハ反對シテハナラヌ。其原野ノ耕サレタ上、收穫期ニ至ラバ彼ハ其契約ニ從テ穀物ノ分配ヲ取得スベシ。

§48 (Col. XIII-XIV)

 或者ガ利息ヲ支拂フ債務ヲ負擔スル場合ニ、嵐ガ彼ノ原野ヲ荒シ穀物ヲ損傷シ、又ハ水ノ缺乏ノ爲メニ穀物ハ原野ニ於テ成熟シナカツタトキハ、其年ハ彼ハ債權者ニ穀物ヲ與フル(辨濟スル)コトヲ要セヌ。而シテ契約書ヲ改メテ(延期スルコト)、其年ハ利息ヲ拂フコトモ要セヌ。

§49 (Col. XIV)

 或人ガ商人カラ錢ヲ得テ(其擔保トシテ)、商人ニ穀物又ハ胡麻ヲ作ル可キ原野ヲ與ヘテ、且ツ「其原野ヲ耕シ、成熟シタル穀物又ハ胡麻ノ收穫ヲ取レ」ト言ツタ場合ニ、小作人ガ其原野ニ穀物又ハ胡麻ヲ產出スレバ、其收穫期ニハ其原野ノ產出シタル穀物又ハ胡麻ハ、其原野ノ所有者ノ財產トナリ、而シテ彼ハ商人カラ得タ錢ノ爲メニ且ツ其利息ノ爲メニ、更ニ小作人ノ給養ノ爲メニ其穀物ヲ支拂フベシ。

§50 (Col. XIV)

 旣ニ穀物又ハ胡麻ガ作ラレテアル原野ヲ(擔保トシテ)與ヘタ場合ニハ、原野ニ存スル穀物又ハ胡麻ハ其原野ノ所有者ニ屬シ、而シテ彼ハ利息ヲ附シテ元本ヲ商人ニ返還スベシ。

§51 (Col. XIV)

 若シ彼ガ返還ス可キ錢ヲ有セザルトキハ、國王ノ定メタ標準ニ從テ、利息ヲ附ケテ、錢ノ代リニ市場ノ價格ヲ以テ穀物又ハ胡麻ヲ商人ニ與フベシ。

§52 (Col. XV)

 小作人ガ穀物又ハ胡麻ヲ其原野ニ作ラナクトモ、債務者ノ責任ハ廢除サレザルベシ。

§53 (Col. XV)

 或人ガ自己ノ堤ヲ强固ニスルコトヲ怠リ、之ヲ强固ニセヌ場合ニ、彼ノ堤ニ龜裂ヲ生ジ、耕地ニ浸水シタルトキハ、龜裂ノ生ジタ地ヲ有スル者ヘ、之ニ因テ損傷ヲ來シタ穀物ヲ賠償スベシ。

§54 (Col. XV)

 若シ彼ガ穀物ノ賠償ヲ爲スコトガ出來ナケレバ、彼ト彼ノ財產ハ賣拂ハレテ、洪水ノ爲メ穀物ノ損失ヲ受ケタ農夫ハ、其賣拂ノ結果カラ利得スベシ。

§55 (Col. XV)

 或人ガ灌漑ノ爲メニ溝渠ヲ開割シ、其不注意ニ因テ隣地ニ溢水セシメタ場合ニハ、近隣ノ地ニ生ジタ丈ケノ穀物ヲ賠償スベシ。

§56 (Col. XV)

 或人ガ水ヲ開放シテ隣地ノ收穫ヲ損失セシメタ場合ニハ、土地十 Gan ニ付テ穀物十 Gur ヲ賠償スベシ。

§57 (Col. XV)

 或牧人ガ原野ノ所有者ノ許諾無シニ、成熟シタル穀物ノ上ニ彼ノ羊ヲ飼養シタル場合ハ、原野ノ所有者ハ收穫ヲ爲シ、其許諾無シニ羊ヲ飼養シタル者ハ原野ノ所有者ニ土地十 Gan ニ付テ穀物二十 Gur ヲ賠償スベシ。

§58 (Col. XV-XVI)

 若シ羊ガ牧場ヲ脫出シテ市內ニ飛込ンダ場合ニ、牧人ガ其羊ヲ飼養スル原野ニ之ヲ戾シタルトキハ、牧人ハ草ヲ與フルニ適スル原野ヲ取リ、其收穫期ニハ土地十 Gan ニ付テ穀物六十 Gur ヲ原野ノ所有者ニ支拂フベシ。

§59 (Col. XVI)

 或人ガ果樹園ノ所有者ニ無斷ニ其園內ノ樹木ヲ切リ落シタ場合ニハ銀半 Mina ヲ支拂フベシ。

§60 (Col. XVI)

 或人ガ果樹園トシテ栽培スル爲メニ園夫ニ原野ヲ與ヘ、園夫ガ之ニ栽培シタル場合ハ、彼ハ四年間其果樹園ヲ管理スベシ。五年目ニハ其土地ノ所有者ト園夫ガ平分シテ收穫ヲ爲スベシ。其果樹園ノ所有者ハ自己ノ持分ヲ採取スベシ。

§61 (Col. XVI)

 若シ園夫ガ其原野ノ全部ヲ栽培セズ、一部ヲ荒廢セシメタ場合ニハ、其部分ハ彼ノ收穫部分ニ組入レラルベシ。

§62 (Col. XVI)

 彼ガ得タル原野ヲ果樹園トシテ栽培シナカツタ場合ニ、若シ其土地ガ(穀物ニ適スル)耕作地ナレバ、園夫ハ其耕作ヲ怠ツタ期間中ハ、近隣ノ土地ノ收穫ヲ標準トスル賠償ヲ所有者ニ支拂フベシ。(且ツ)彼ハ其原野ヲ耕作ニ適スル樣ニ仕立テヽ原野ノ所有者ニ返還スベシ。

§63 (Col. XVI)

 若シ其原野ガ未開拓ナレバ、彼ハ所定ノ仕事ヲ遂ゲテ原野ヲ其所有者ニ返還シ、且ツ(土地)十 Gan ニ對シ、穀物十 Gur ヲ賠償スベシ。

§64 (Col. XVI)

 或人ガ耕作ノ爲メニ果樹園ヲ園夫ニ與ヘタ場合ニハ、園夫ハ其果樹園ヲ有スル間ハ、其果樹園ノ收益ノ三分ノ二ヲ所有者ニ與ヘ、三分ノ一ヲ自己ニ留保スベシ。

§65 (Col. XVI)

 園夫ガ果樹園ニ固有ノ注意ヲ用ヰズ、其收穫ヲ損失シタ場合ニハ、近隣者ノ收穫ニ準ジテ其收穫ノ賠償ヲナスベシ。


§X.

 或人ガ商人カラ錢ヲ借リ「ナツメジユロ」ノ栽植地ヲ渡シテ、『私ノ栽植地ニアル「ナツメジユロ」ハ汝ノ錢ノ代リニ採レ』ト商人ニ吿ゲタ場合ニ、其商人ガ之ニ同意シナケレバ栽植地ノ所有者ガ栽植地ニアル「ナツメジユロ」ヲ採リ、元本ト契約ノ趣旨ニ基ク利息ノ爲メニ之ヲ商人ニ給付スベシ、而シテ其栽植地ニ生ジタ「ナツメジユロ」ノ餘剩ハ栽植地ノ所有者ガ之ヲ取得スベシ。

§Y.

 …………(家屋ニ)居住スル者ガ(家屋ノ)所有者ニ期間ノ滿タザル際ニ明渡ヲ要求シタルトキハ、家屋ノ所有者ハ期間ノ滿タザル際ニ明渡ヲ要求シタノデアルカラ、居住者ガ支拂ツタ錢カラ(割合ノ額ヲ)返戾スベシ。

§Z.

 (或人ガ商人カラ錢ヲ借リテ)之ニ支拂フ錢又ハ穀物ヲ有セズ、他ノ財物ヲ有スルトキハ之ヲ商人ニ與フベシ。商人ハ之ヲ拒ムベカラズ、受領スベシ。


§100 (Col. XVII)

 (或小商人ガ商人ノ)錢ヲ受領シタ場合ニハ(其總額ト)、其錢ノ利息(トナル可キモノ)ヲ記錄シテ置イテ、期限ノ滿チタ際ニハ商人ト決算スベシ。

§101 (Col. XVII)

 若シ彼ガ旅行ニ於テ成功シナカツタ場合ニハ、彼(小商人)ハ其得タル所ノ二倍ノ錢ヲ商人ニ支拂フベシ。

§102 (Col. XVII)

 商人ガ小商人ニ投資トシテ錢ヲ與ヘ、小商人ガ旅行中不幸ニ出會スルモ、商人ニハ全額ヲ返濟スベシ。

§103 (Col. XVII)

 若シ彼(小商人)ガ旅行中、其携帶セル財物ヲ敵ニ掠奪サレタナラバ、小商人ハ其總高ヲ列擧シテ神前ニ宣誓ヲナシテ免責サルベシ。

§104 (Col. XVII)

 若シ商人ガ商賣上ノ目的ヲ以テ小商人ニ穀物、羊毛、油、其他ノ貨物ヲ支給スレバ、小商人ハ總高ノ受取證書ヲ作リ、之ヲ商人ニ交付スベシ。然ル上ハ彼ハ商人ニ支拂ツタ錢ノ受取證書ヲ受領スベシ。

§105 (Col. XVII)

 若シ小商人ガ其商人ニ支拂ツタ錢ニ付テ受取證書ヲ取得スルコトヲ怠ツタ場合ニハ、其受取證書ヲ有セザル部分ノ錢ハ其計算カラ廢除サルベシ。

§106 (Col. XVII)

 若シ小商人ガ商人カラ錢ヲ借リテ商人ト之ヲ爭フ場合ニハ、商人ハ神ト證人ノ面前ニ於テ(公開廷ニ於テ)、其錢ヲ以テ訴求スベシ、而シテ敗訴シタ場合ニハ三倍ノ錢ヲ商人ニ支拂フベシ。

§107 (Col. XVII-XVIII)

 若シ商人ガ小商人ヲ欺瞞シテ、小商人ガ旣ニ商人カラ借リタモノヲ總テ返還シタルニ、商人ガ其受領ヲ否認スル場合ニハ、小商人ハ神ト證人ノ面前ニ於テ商人ヲ吿訴スベシ。受領シタルニ拘ハラズ、之ヲ否認シタ以上ハ商人ハ其額ノ六倍ヲ小商人ニ支拂フベシ。

§108 (Col. XVIII)

 居酒屋ガ飮代トシテ穀物ヲ受領セズ又ハ不當ノ割合ヲ以テ銀ヲ要求シ、其價格ヲ穀物以下ニ算定シタ場合ニハ、彼ハ吿發サレ水中ニ投棄サルベシ。

§109 (Col. XVIII)

 居酒屋ニ暴徒ガ集合シタルニ、居酒屋ガ彼等ヲ逮捕シテ裁判ニ送致シナケレバ彼ハ死刑ニ處セラルベシ。

§110 (Col. XVIII)

 尼寺(Mal.ge.a)ニ居住セザル尼ガ酒場ヲ開キ、又ハ飮酒ノ目的ヲ以テ酒場ニ入ツタ場合ニハ燒殺サルベシ。

§111 (Col. XVIII)

 居酒屋ガ飮料トシテ「ウサ・カニ」(“Usa-Kani”)六十 Ka ヲ‥‥貸與スレバ、收穫期ニハ穀物五十 Ka ヲ受領スベシ。

§112 (Col. XVIII)

 或旅人ガ銀、金、寶石又ハ其他ノ寶物ヲ運搬ノ爲メニ委託シタルニ、其運搬者ガ指定セラレタ場所ニ其運搬セラル可キ總テノ物ヲ持參セズ、之ヲ私用シタル場合ハ、委託セラレタ貨物ヲ配達シナカツタ者ハ訴求サレテ運搬サル可キ貨物ノ所有者ニ、委託サレタ物ノ五倍ヲ賠償スベシ。

§113 (Col. XVIII-XIX)

 或人ガ他人ニ穀物又ハ錢ノ債權ヲ有スル場合ニ、所有者ニ無斷ニ穀物倉又ハ納屋カラ穀物ヲ獲得シタルトキハ、法廷ニ訴求サレテ其獲得シタル穀物ヲ返還スベシ、而シテ其貸付ケタルモノハ一切喪失スル。

§114 (Col. XIX)

 或人ガ他人ニ對シ穀物又ハ錢ノ債權ヲ有セザルニ、差押(人質ヲ取ルコトヲ意味スル)ヲ爲シタ場合ニハ、各差押事件ニ付キ銀三分ノ一 Mina ヲ支拂フベシ。

§115 (Col. XIX)

 或人ガ他人ニ對シ穀物又ハ錢ノ債權ヲ有シ、差押ヲ爲シタ場合ニ、其差押ヘラレタ者(質人)ガ、差押者(債權者)ノ家ニ於テ、自然ニ死亡スレバ其事件ニ刑ハ無イ。

§116 (Col. XIX)

 質人ガ差押者ノ家ニ於テ凌辱(打擊)又ハ虐持ノ爲メニ死亡シタル場合ニ、其質人ノ所有者ガ賠償ヲ要求スレバ、其質人ガ平民ノ子ナレバ、債權者ノ子ガ死刑ニ處セラレ、奴隷ナレバ銀三分ノ一 Mina ヲ支拂ヒ且ツ、其貸付ケタ一切ノ債權ヲ喪失スル。

§117 (Col. XIX)

 或人ガ債務ヲ負擔シテ、其子又ハ娘ヲ(人質トシテ)引渡シ、若シクハ勞役ニ服セシメタ場合ハ、彼等ハ三年間債權者ノ家ニ於テ勞働シ、四年目ニハ其自由ヲ囘復スベシ。

§118 (Col. XIX)

 債務者ガ債務ヲ(償却スル爲メニ)男又ハ女ノ奴隷ヲ服役セシメタ場合ニハ、債權者ガ其奴隷ヲ賣却スルモ之ニ對シテ抗辯ヲ爲スコトハナラヌ。

§119 (Col. XIX-XX)

 或人ガ債務ヲ負擔シ、女ノ奴隷ヲ引渡シタルニ、其奴隷ガ子ヲ產ンダ場合ハ、其奴隷ノ所有者ハ商人(債權者ヲ意味スル)ノ支拂ツタ代價ヲ返還シテ、其奴隷ヲ身請スベシ。

§120 (Col. XX)

 或人ガ他人ノ家屋內ニ自己ノ穀物ヲ貯藏スル場合ニ、其貯藏穀物ニ損害ヲ生ジ又ハ其家ノ所有者ガ、其穀物倉ヲ開イテ若干ノ穀物ヲ取リ、若シクハ其家ニ貯藏セル穀物ノ分量ニ關シテ爭フトキハ、穀物ノ所有者ハ神前(公開廷)ニ於テ宣誓シテ穀物ヲ要求スベシ。而シテ家屋ノ所有者ハ其穀物ノ二倍ヲ賠償スベシ。

§121 (Col. XX)

 他人ノ家屋內ニ穀物ヲ貯藏スル者ハ年每ニ一 Gur ニ付テ五 Ka ノ貯藏料ヲ支拂フベシ。

§122(Col. XX)

 或人ガ他人ニ銀、金又ハ其他ノ物ヲ寄託スルニハ、其寄託ス可キ總テノ物ヲ證人等ニ示シテ契約ヲナシ、然ル上ニ寄託スベシ。

§123 (Col. XX)

 或人ガ證人等モ契約(證文)モナシニ或物ヲ寄託シテ、其寄託シタル場所ニ付テ爭ガ起レバ、何等ノ訴求ヲナスコトモ許サレヌ。

§124 (Col. XX)

 或人ガ證人等ノ面前ニ於テ、銀・金又ハ其他ノ物ヲ他人ニ寄託シタルニ、其受託者ガ之ヲ否認スルトキハ、彼ハ法廷ニ引致サレル。而シテ(有責ノ場合ニハ)其否認シタル物ノ二倍ヲ支拂フベシ。

§125 (Col. XX-XXI)

 或人ガ財物ヲ寄託シタルニ、夜盜又ハ强盜ニ依テ、其財物ガ其場所(寄託所)ノ所有者ノ物ト共ニ失ハレタ場合ニハ、其場所ノ所有者ハ其不注意カラ生ジタモノデアル以上ハ、盜難物ノ所有者ニ全部ノ賠償ナスベシ。其場所ノ所有者ハ盜難物ニ追及シテ其發見ヲ努メ、盜賊ヨリ之ヲ取戾スベシ。

§126 (Col. XXI)

 或人ガ何物ヲモ失ハザルニ、失ヒタリト唱ヘ、又ハ何物ヲモ失ハザルニ其喪失ニ付テ訴ヲ提起スレバ、彼ハ神前ニ於テ其虛僞ノ喪失ヲ宣言スベシ。而シテ彼ハ請求シタルモノヽ二倍ヲ賠償スベシ。

§127 (Col. XXI)

 或人ガ尼又ハ人ノ妻ヲ(譏リテ)指摘シテ、之ヲ立證スルコトガ出來ナケレバ、彼ハ法官ノ前ニ引致サレテ、前額ニ烙印ヲ押サル可シ。

§128 (Col. XXI)

 或人ガ妻ヲ娶リテモ、彼女ト契約ヲ結バナケレバ其女ハ正妻トハナラヌ。

§129 (Col. XXI)

 人ノ妻ガ他人ト姦通スレバ兩人ヲ束ネテ水ニ投棄スベシ、唯ダ夫ガ妻ヲ救ヒ、國王ガ其下男ヲ救ハントスル場合ニハ之ヲ許ス。

§130 (Col. XXI)

 或人ガ、他人ト婚姻シタルモ未ダ男ヲ知ラズ(處女)、且ツ其父ノ家ニ居住スル婦人ヲ、 强姦シ其實行中ニ捕ハレタナラバ、死刑ニ處セラルベシ、然シ其婦人ハ放免サレル。

§131 (Col. XXI)

 或人ガ自己ノ妻ヲ吿訴スルモ、彼女ガ他人ト姦通シナカツタナラバ、彼女ハ神名ヲ以テ宣誓シ其(父ノ)家ニ歸ルベシ。

§132 (Col. XXI-XXII)

 或人ノ妻ニ對シテ嫌疑ガ生ジタルモ、彼女ハ他人ト姦通シタルコトガ無ケレバ、其夫ノ滿足ノ爲メニ聖河ニ飛込ムベシ。

§133 (Col. XXII)

 或人ガ捕虜ニ取ラレテモ、其家ニ給養アル場合ニ、彼レノ妻ガ其家ヲ出ルトキハ、彼女ハ其身體ヲ防護シ、他人ノ家ニ入ル可カラズ。若シ其女ガ其身體ヲ防護セズ、他人ノ家ニ入ルトキハ、彼女ハ法律ニ從テ制裁ヲ受ケ水中ニ投棄セラルベシ。

§134 (Col. XXII)

 或人ガ捕虜ニ取ラレ、其家ニ給養ナキ場合ニハ、其者ノ妻ハ他人ノ家ニ入ル(結婚スル)モ何等ノ制裁ヲ受ケヌ。

§135 (Col. XXII)

 或人ガ捕虜ニ取ラレ、其家ニ給養ナク、其者ノ妻ガ他人ノ家ニ入リ子供ヲ生ンダ場合ニ、其後、先夫ガ歸來シテ其家庭ニ來レバ、其女ハ先夫ニ歸依スベシ、然シ子供ハ其父(後夫)ニ從フベシ。

§136 (Col. XXII)

 或人ガ其故鄕ヲ捨テヽ逃走シ、其後彼ノ妻ガ他人ノ家ニ入リ(結婚シ)タルニ、彼ガ歸來シ其妻ヲ得ントスルモ、彼ハ一旦故鄕ヲ捨テヽ出奔シタ者デアルカラ、其女ハ彼ニ歸依スベカラズ。

§137 (Col. XXII-XXIII)

 或人ガ、其者ノ子供ヲ生ンダ權妻、又ハ其者ノ子供ヲ生ンダ妻カラ、離別スルコトヲ決心スル場合ニハ、彼ハ其婦人ノ嫁資ヲ返還シ、子供ヲ養育スルニ足リル丈ケノ原野、庭園及ビ財物ノ收益ヲ與フベシ。彼女ハ其子供ヲ養育シ上ゲタ場合ニハ、其一子ノ分前ト等分ヲ保有シ、其他ヲ子供ニ分配シ、彼女ノ選定シタ男ト結婚スルコトヲ得ル。

§138 (Col. XXIII)

 或人ガ、彼ノ子供ヲ生マザル妻ヲ離緣スルニハ、結婚ノ際ニ彼女ノ父ニ支拂ツタ丈ケノ求婚資ト、彼女ガ其父ノ家カラ持參シタ嫁資ヲ、彼女ニ與ヘタ上之ヲ離別スルコトヲ得ル。

§139 (Col. XXIII)

 若シ求婚資ガ無カツタ場合ニハ離緣ノ爲メニ銀一 Mina ヲ彼女ニ與フベシ。

§140 (Col. XXIII)

 若シ彼ガ平民ナルトキハ銀三分ノ一 Mina ヲ彼女ニ與フベシ。

§141 (Col. XXIII)

 夫ノ家ニ居住スル妻ガ其家ヲ去ルコトヲ決心シ、浪費ヲ用ヰ、其家ヲ荒廢シ、夫ヲ愚弄スルトキハ、彼女ヲ吿訴スベシ。若シ其夫ガ彼女ヲ離緣スルトキハ、卽チ彼女ハ立去ルベシ。其離緣ニ對シテハ夫ガ何物ヲモ與フ可カラズ。若シ其夫ガ離緣ヲ敢テセズ、他ノ妻ヲ娶ルトキハ、前妻ガ下女トシテ其家ニ止マルベシ。

§142 (Col. XXIII-XXIV)

 妻ガ其夫ト喧嘩シテ「汝ハ私ヲ自由ニスルコトハナラヌ」ト言フトキハ、彼女ノ缺點ニ付テハ其素性ヲ檢査スベシ。若シ彼女ニ罪過ナク、且ツ夫ノ方ニモ落度ナク、唯ダ夫ガ諸所ヲ漂浪シ、妻ヲ甚ダシク愚弄シテ居ツタナラバ、其女ニハ罪責ハナイ。彼女ハ其嫁資ヲ取ツテ其父ノ家ニ歸還スベシ。

§143 (Col. XXIV)

 若シ彼女ガ思慮ナク、流浪シ、家ニアリテ贅澤ヲナシ、夫ヲ愚弄スルトキハ、其女ヲ水中ニ投棄スベシ。

§144 (Col. XXIV)

 何人デモ妻ヲ娶リタルニ、其妻ガ夫ニ下女ヲ與へ、子供ヲ生ンダ場合ニハ、彼ハ權妻ヲ娶ルコトヲ決心シテモ、其ハ許サレヌ。彼ハ權妻ヲ娶ル可カラズ。

§145 (Col. XXIV)

 或人ガ妻ヲ娶リ、彼女ガ子供ヲ生マズ、而シテ彼ガ權妻ヲ娶ルコトヲ決心スレバ、其男ハ權妻ヲ娶リテ之ヲ彼ノ家ニ伴レ來ルコトヲ得ル。(サレド)權妻ハ彼ノ妻ト平等ニ立ツコトハナラヌ。

§146 (Col. XXIV)

 或人ガ妻ヲ娶リ、彼女ガ夫ニ下女ヲ與ヘタルニ、其下女ガ(主人ノ)子供ヲ生ミ、其下女ガ子供ヲ生ンダガ爲メニ彼ノ夫人ト同等ノ地位ヲ得タルトキハ、彼ノ夫人ハ其下女ヲ錢ノ爲メニ賣ツテハナラヌ。然シ之ヲ下女トナシ、下女ノ一人トシテ數ヘルコトヲ得ル。

§147 (Col. XXIV)

 若シ彼女(下女)ガ子供ヲ生マナケレバ、夫人ガ彼女ヲ錢ノ爲メニ賣ルコトガ出來ル。

§148 (Col. XXIV)

 或人ガ妻ヲ娶リ、其妻ガ疾病ニ罹ツタ場合ニ、彼ガ第二ノ妻ヲ娶ラントスルトキハ、之ヲ許ス。然シ疾病ニ罹ツタ妻ヲ離別ス可カラズ、尙ホ彼女ハ夫ノ構ヘタ家ニ居住シ、夫ハ彼女ノ生存スル間ハ之ヲ給養スベシ。

§149 (Col. XXV)

 此女ガ其夫ノ家ニ居住スル意思ナキトキハ、彼ハ、彼女ガ其父ノ家カラ持參セル嫁資ヲ彼女ニ讓與スベシ、然ル上、彼女ハ立去ルベシ。

§150 (Col. XXV)

 或人ガ其妻ニ原野、庭園、家屋又ハ財貨ヲ與ヘテ、其等ノ物ノ確認證書ヲ授與スレバ、夫ノ死後ハ子供ガ(母ニ對シテ)要求ヲナスコトハ出來ヌ。母ハ(其死後ニ)其最モ愛スル所ノ子ニ遺贈ヲ爲スコトガ出來ル、其他ノ子ニハ與フルコトヲ要シナイ。

§151 (Col. XXV)

 或人ノ家ニ居住シテ居ル婦人ガ其夫ト『彼ノ如何ナル債權者モ(其債權ノ爲メニ)彼女ヲ差押フルコトハナラヌ』ト云フコトヲ契約スレバ、若シ其男ガ其妻ヲ娶ル前ニ債務ヲ負擔シタルトキハ、其債權者ハ債權ノ爲メニ其妻ヲ差押へテハナラヌ。而シテ若シ此婦人ガ其夫ノ家ニ入ル前ニ債務ヲ負擔シタルトキハ、其債權者ハ債權ノ爲メニ其夫ヲ差押ヘテハナラヌ。

§152 (Col. XXV)

 若シ其婦人ガ男ノ家ニ入ツタ(結婚)後ニ、債務ガ負擔セラレタ場合ニハ兩名共ニ商人(債權者)ニ對シテ責任ヲ負フ。

§153 (Col. XXV)

 或人ノ妻ガ他人ヲ救フ爲メニ夫ヲ死ニ致ストキハ杙刺シニサレル。

§154 (Col. XXV)

 或人ガ其娘ト姦通シタルトキハ、彼ハ其居住スル市カラ放逐サルベシ。

§155 (Col. XXV-XXVI)

 或人ガ其子ト一少女トノ許婚ヲ爲シ、其子ガ其少女ト通ジタルニ、其後、彼(父)ガ其女ト姦通シテ捕ヘラレタトキハ、彼ヲ縛リテ水中ニ投棄スベシ。

§156 (Col. XXVI)

 或人ガ其子ト新婦トノ許婚ヲ爲シ、其子ガ其婦ト通ゼザルニ、其後、彼(父)ガ其婦ト姦通スルトキハ、彼ハ銀半 Mina ヲ支拂ヒ、且ツ彼女ガ其父ノ家カラ持參セル總テノモノヲ返還スベシ。其婦ハ其選ム所ノ男ト結婚スベシ。

§157 (Col. XXVI)

 或人ガ其父ノ死後、母ト通ズルトキハ其兩者ヲ燒殺スベシ。

§158 (Col. XXVI)

 或人ガ其父ノ死後、子ヲ生メル繼母ト通ジタルトキハ、彼ヲ其父ノ家カラ放逐ス可シ。

§159 (Col. XXVI)

 或人ガ其舅ノ家ニ贈物ヲ持參シ且ツ婚資ヲ與ヘタルニ、其後、他ノ婦人ヲ見付ケテ、其舅ニ向テ、「私ハ汝ノ娘ヲ妻ニ娶ルコトヲ欲セズ」ト言フトキハ、其娘ノ父ハ彼ガ持參セル總テノ物ヲ保有スベシ。

§160 (Col. XXVI)

 或人ガ其舅ノ家ニ贈物ヲ持參シ且ツ婚資ヲ與ヘタルニ、其後、舅ガ「私ノ娘ヲ汝ニ與ヘルコトヲ欲セズ」ト言フトキハ、舅ハ其贈與サレタ物ノ二倍ヲ返還スベシ。

§161 (Col. XXVI)

 或人ガ其舅ノ家ニ贈物ヲ持參シ且ツ婚資ヲ與ヘタルニ、彼ノ友人ガ彼ヲ譏リテ、舅ガ其求婚者ニ向テ、「汝ニハ私ノ娘ヲ與ヘラレヌ」ト言フトキハ、其贈與サレタ物ノ二倍ヲ返還スベシ。然シ其友人ハ其婦ト結婚スルコトハナラヌ。

§162 (Col. XXVI-XXVII)

 或人ガ妻ヲ娶リ、彼女ガ子供ヲ生メバ、其婦ガ死亡シテモ、彼女ノ父ハ彼女ノ嫁資ヲ請求シテハナラヌ。嫁資ハ其子供ニ歸屬スル。

§163 (Col. XXVII)

 或人ガ妻ヲ娶リ、彼女ガ子供ヲ生マザルニ、其婦ガ死亡シタル場合ニ、舅ハ彼ガ(其舅ノ)家ニ持參セル求婚資ヲ返還スルトキハ、夫ハ其婦ノ嫁資ニ對シテハ何等ノ要求ヲシテハナラヌ。彼女ノ嫁資ハ彼女ノ父ノ家ニ從屬スル。

§164 (Col. XXVII)

 若シ舅ガ求婚資ヲ返還セザルトキハ、夫ハ妻ノ嫁資カラ求婚資ノ價額ヲ控除シテ其殘額ヲ彼女ノ父ノ家ニ與フベシ。

§165 (Col. XXVII)

 或人ガ彼ノ指定シタル子ニ原野、庭園又ハ家屋ヲ與ヘテ、其贈與證書ヲ認メテ置キ、其後父ガ死亡シ、兄弟ガ遺產ヲ分配スル場合ニハ、其子ハ父ノ遺贈ヲ取得シ、其餘ハ兄弟ガ平等ニ父ノ家ノ財物ニ付テ分配スベシ。

§166 (Col. XXVII)

 或人ガ少年ノ子ニ非ラザル彼レノ子供ノ爲メニ妻ヲ娶リテ、死亡スレバ、其子供ガ(遺產ヲ)分配スル場合ニハ、彼等ハ未ダ妻ヲ娶ラザル少年ノ子ニハ其分前ノ外ニ、(舅ニ支拂フ可キ)婚資トシテ錢ヲ與ヘテ其妻ヲ娶ル補助ヲ爲スベシ。

§167 (Col. XXVII-XXVIII)

 或人ガ妻ヲ娶リ、彼女ガ子供ヲ生ミテ死亡シ、其ノ後、彼ガ第二ノ妻ヲ娶リ、彼女ガ子供ヲ生ミタルニ、其後、父ガ死亡スレバ、兩妻ノ子供ハ母ニ從テ家產ヲ分配スベカラズ、彼等ハ單ニ其母ノ嫁資ノミヲ分配スベシ、唯ダ其父ノ財物ヲ全部均等ニ分配スベシ。

§168 (Col. XXVIII)

 或人ガ其子ヲ放逐(相續排除)スルコトヲ決心シテ、法官ニ向テ「私ハ私ノ子ヲ放逐シマセウ」ト吿ゲルトキハ、法官ハ彼ノ理由ヲ審理スベシ。而シテ其子ガ放逐サレル丈ケノ重大ナ過責ガ無ケレバ、子供ヲ緣切ニシテハナラヌ。

§169 (Col. XXVIII)

 子ヲ緣切ニスル丈ケノ重大ナル過責ヲ父ニ對シテ演ジタ場合ニハ、第一囘目ハ之ヲ免責スベシ。然シ第二囘目ニ重大ナル過責ヲ演ジタ場合ニハ父ハ子ヲ緣切ニスベシ。

§170 (Col. XXVIII)

 或人ノ妻ガ彼ノ子供ヲ生ミ、且ツ彼ノ下女モ彼ノ子供ヲ生ミ、父ガ其生涯中、下女ノ生ンダ子供ヲ「私ノ子供ヨ」ト呼ビ、其妻ノ子供ト看做シテ居ツタ場合ニハ、父ノ死後ハ妻ノ子供モ下女ノ子供モ、父ノ家ノ財物ニ付テ平等ニ分配スベシ。妻ノ子供ハ其配當ニ於テハ選擇ノ權利ヲ有スベシ。

§171 (Col. XXVIII-XXIX)

 父ガ生涯中、其下女ノ生ンダ子供ヲ「私ノ子供ヨ」ト呼バナカツタナラバ、其父ノ死後、下女ノ子供ハ妻ノ子供ト共ニ父ノ家ニアル財物ノ配當ヲ得ラレヌ。サレド下女ト其子供ハ自由ヲ有スベシ。妻ノ子供ガ下女ノ子供ヲ用役スルコトノ要求ハ許サレヌ。

 妻ハ嫁資ト夫ガ贈與シテ文書ヲ認メテ置イタ丈ケノ贈物ヲ受領シ、其生涯中夫ノ家ニ居住シテ(遺產ヲ)享受スベシ。彼女ハ其遺產ヲ賣拂フコトハナラヌ。其死後ニ於テハ遺產ハ其子供ノ所屬トナル。

§172 (Col. XXIX)

 若シ彼女ニ贈物ヲ與ヘナカツタ場合ニハ、彼女ハ嫁資ヲ全部返還セラレ、且ツ夫ノ遺產カラハ其一子ト均等ノ分前ヲ受領スベシ。若シ彼女ノ子供ガ其家カラ彼女ヲ放逐スル樣ニ迫害スル場合ニハ、法官ハ其事件ヲ審理スベシ。而シテ其子供ガ責任アル場合ニハ妻ハ其夫ノ家ヲ立去ルベカラズ。サレド妻ガ其家ヲ立去ルコトヲ決心シタル場合ニハ、彼女ハ夫ガ彼女ニ與へタ贈物ヲ其子供ニ遺サナケレバナラヌ。然シ彼女ノ父ガ(與ヘタ)嫁資ヲ取得スルコトヲ得ル。而シテ彼女ノ選ム男ト結婚スルコトヲ得ル。

§173 (Col. XXIX)

 其婦人ガ入家シタ所ニテ第二ノ夫ト子供ヲ生ミ、其後、死亡スレバ前後(兩婚)ノ子供ハ彼女ノ嫁資ヲ分配スベシ。

§174 (Col. XXIX)

 若シ彼女ガ第二ノ夫ト子供ヲ生マナケレバ、第一ノ夫ノ子供ガ彼女ノ嫁資ヲ取得スベシ。

§175 (Col. XXIX-XXX)

 貴族又ハ平民ノ奴隷ガ自由人ノ娘ト結婚ヲ爲シ、彼女ガ子供ヲ生ンダ場合ニハ、其奴隷ノ所有者ハ其自由婦人ノ子供ニ對シテハ用役ヲ要求スルコトハナラヌ。

 貴族又ハ平民ノ奴隷ガ自由婦人ト結婚シタ際ニ、其婦人ガ彼女ノ父ノ財產カラ嫁資ヲ持テ奴隷ノ家ニ入リタルニ、彼等ガ家ヲ構へ、財產ヲ得タル後、貴族又ハ平民ノ奴隷ガ死亡シタル時ハ、其自由婦人ハ嫁資ヲ受領スルコトヲ得ル。彼等ガ結婚後、取得シタル所ノモノハ二等分サレ、奴隷ノ所有者ハ其一半ヲ取リ、自由婦人ハ其子供ノ爲メニ他ノ一半ヲ取ルベシ。

§176 (Col. XXX)

 若シ自由婦人ガ嫁資ヲ有セザルトキハ、彼女ハ結婚後、彼女ト其夫トガ取得シタル總テノモノヲ二等分シ、奴隷ノ所有者ガ其一半ヲ取リ、自由婦人ハ其子供ノ爲メニ他ノ一半ヲ取ルベシ。

§177 (Col. XXX)

 少年ノ子供ヲ有スル未亡人ガ他人ノ家ニ入ラントスル場合ニハ(再婚)、法官ノ許可無シニ爲シテハナラヌ。彼女ノ再婚ヲ許スニハ、法官ハ彼女ノ先夫ノ遺產ヲ調査スベシ。而シテ先夫ノ財產ハ其婦人ト後夫ニ信託シ、財產目錄ヲ彼等ニ交付スベシ。彼等ハ其財產ヲ管理シ子供ヲ養育スベシ。家財ヲ賣拂フ可カラズ。未亡人ノ子供ニ屬スル家具ノ買主ハ其代價ヲ失フベシ。而シテ其物ハ所有者ニ返還スベシ。

§178 (Col. XXX-XXXI)

 信仰婦人又ハ誓約婦人ノ父ガ彼女ニ嫁資ヲ與ヘテ、證文ヲ認メタルモ、其證文ニハ彼女ガ好ム人ニ其財產ヲ讓與スルコトヲ許ス旨ヲ揭ゲズ、且ツ之ヲ自由ニ處分シ得ル權能ヲ明カニ認メナカツタ場合ニハ、其父ノ死後ハ彼女ノ兄弟ガ彼女ノ原野及ビ庭園ヲ取得シ、彼等ハ彼女ニ其持分ノ價額ニ應ジテ、穀物、油、及ビ羊毛ヲ與ヘテ彼女ヲ滿足セシムベシ。若シ彼女ノ兄弟ガ彼女ニ其持分ノ價額ニ從テ、穀物、油、及ビ羊毛ヲ與ヘテ、彼女ヲ滿足セシメナケレバ、彼女ハ自ラ選擇セル農夫ニ彼女ノ原野及ビ庭園ヲ貸付クベシ。而シテ其農夫ハ彼女ヲ扶養スベシ。彼女ハ其生涯中、其父ガ彼女ニ與ヘタ原野、庭園、及ビ其他ノモノヲ用益スベシ。彼女ハ之ヲ他人ニ賣却又ハ讓與スベカラズ。彼女ノ相續部分ハ彼女ノ兄弟ノ所屬トスル。

§179 (Col. XXXI)

 信仰婦人又ハ誓約婦人ノ父ガ彼女ニ嫁資ヲ與ヘテ、證文ヲ認メタ場合ニ、其證文ニ彼女ガ好ム人ニ其財產ヲ讓與スルコトヲ許ス旨ヲ揭ゲ、且ツ之ヲ自由ニ處分シ得ル權能ヲ明カニ認メタルトキハ、其父ノ死後ハ彼女ハ其好ム人ニ彼女ノ財產ヲ遺贈スルコトヲ得ル。彼女ノ兄弟ハ之ニ付テ何等ノ要求ヲナスコトモ許サレヌ。

§180 (Col. XXXI)

 或父ガ其結婚シ得ル娘又ハ結婚シ得ザル娘ニ嫁資ヲ與ヘズニ死亡シタルトキハ、彼女ハ父ノ遺產カラ其息子ト同ジ持分ヲ受ケ、其生涯中之ヲ用益スベシ。彼女ノ死後ハ其財產ハ兄弟ノ所得トナル。

§181 (Col. XXXI)

 或父ガ其娘ヲ寺院女中又ハ寺院處女(Nu, Par.)トシテ神ニ奉獻シテ、彼女ニ嫁資ヲ與ヘザル場合ハ、其父ノ死後ハ彼女ハ父ノ遺產カラ其持分トシテ、一息子ノ持分ノ三分ノ一ヲ受ケ、其生涯中之ヲ用益スルコトヲ得ル。彼女ノ死後ハ其財產ハ彼女ノ兄弟等ノ所得トナル。

§182 (Col. XXXI-XXXII)

 或父ガ其娘ナル「バビロン」ノ「マルズツク」ノ信者ニ嫁資ヲ與ヘズ、且ツ證文ヲモ與ヘザルトキハ、其父ノ死後ハ彼女ハ其兄弟等カラ父ノ遺產ノ分前トシテ一息子ノ分前ノ三分ノ一ヲ受領スベシ。但シ遺產ヲ管理スルコトハナラヌ。「マルズツク」ノ信者ハ其好ム人ニ彼女ノ財產ヲ遺贈スルコトヲ得ル。

§183 (Col. XXXII)

 或人ガ權妻ノ娘ニ嫁資ヲ與ヘテ彼女ヲ夫ニ與へ、而シテ證文(嫁資ニ關スルモノ)ヲ認メタ場合ニハ、其後父ガ死亡シテモ、彼女ハ父ノ遺產ニ付テハ持分ヲ有スルコトハナラヌ。

§184 (Col. XXXII)

 或人ガ權妻ノ娘ニ嫁資ヲ與ヘズ、且ツ彼女ヲ夫ニ與ヘズシテ死亡シタルトキハ、彼女ノ兄弟等ハ父ノ遺產ニ準ジテ相當ノ嫁資ヲ彼女ニ與ヘテ、之ヲ夫ニ與フベシ。

§185 (Col. XXXII)

 或人ガ其名前ニ於テ子(養子)ヲ取リ、之ヲ其息子トシテ養育スルトキハ、此成長シタル子ハ返還ヲ要求サレルコトハナイ。

§186 (Col. XXXII)

 或人ガ養子ヲ取リタルニ其養子ガ養父母ニ對シテ背反スル場合ニハ、其養子ハ實父ノ家ニ歸還スベシ。

§187 (Col. XXXII)

 宮廷ニ奉仕スル愛人(Ner-se-ga)ノ息子、又ハ信者ノ息子ハ返還ヲ要求サレルコトハナイ。

§188 (Col. XXXII)

 或職人ガ養子ヲ取リテ、之ニ技術ヲ敎ヘタ以上ハ、何人モ之ガ返還ヲ要求スルコトハナラヌ。

§189 (Col. XXXII)

 若シ彼ガ養子ニ技術ヲ敎ヘナカツタ場合ニハ、養子ハ其實父ノ家ニ歸還スルコトヲ許サレル。

§190 (Col. XXXII)

 或人ガ養子ニ取リテ養育シタル子ヲ、實子ノ一人ノ如ク取扱ハザルトキハ、其養子ハ實父ノ家ニ歸還スルコトヲ許サレル。

§191 (Col. XXXII)

 養子ヲ取リ之ヲ養育シタル者ガ、其後家ヲ構ヘテ實子ヲ得タル場合ニ、其養子ヲ逐出スコトヲ決心シタルトキハ、其養子ハ空シク立去ル可カラズ、養父ハ彼ニ實子ノ持分ノ三分ノ一ノ財物ヲ與フベシ、然ル上ニ、養子ハ立去ルベシ。原野、庭園又ハ家屋ヲ以テ與フベカラズ。

§192 (Col. XXXII-XXXIII)

 宮廷ニ奉仕スル愛人ノ子又ハ信者ノ子ガ養父又ハ養母ニ向テ、「汝ハ私ノ父ニ非ズ」トカ「汝ハ私ノ母ニ非ズ」ト言ヘバ、彼ノ舌ヲ切リ取ルベシ。

§193 (Col. XXXIII)

 宮廷ニ奉仕スル愛人ノ子又ハ信者ノ子ガ、其父ノ家ヲ戀慕シテ彼ヲ養育シタル養父母ヲ嫌忌シテ、實父ノ家ニ歸還スルトキハ、其眼ヲ引キ拔クベシ。

§194 (Col. XXXIII)

 或人ガ其子ヲ乳母ニ渡シタルニ、其子ガ彼女ノ手許ニテ死亡シタル場合ニ、乳母ガ其子ノ父母ニ無斷ニテ他ノ子ト差代ヘタトキハ、彼女ヲ吿訴スベシ。彼女ハ父母ニ無斷ニテ他ノ子ヲ養育シタル故ヲ以テ乳房ヲ切斷サルベシ。

§195 (Col. XXXIII)

 子ガ父ヲ毆打シタルトキハ其手ヲ切斷スベシ。

§196 (Col. XXXIII)

 他人ノ眼ヲ傷害シタル者ハ其眼ヲ傷害セラルベシ。

§197 (Col. XXXIII)

 人ノ骨ヲ折傷シタル者ハ其骨ヲ折傷サルベシ。

§198 (Col. XXXIII)

 若シ彼ガ平民ノ眼ヲ傷害シ又ハ平民ノ骨ヲ折傷シタルトキハ銀一 Mina ヲ支拂フベシ。

§199 (Col. XXXIII)

 若シ彼ガ人ノ奴隷ノ眼ヲ傷害シ又ハ人ノ奴隷ノ骨ヲ折傷シタルトキハ其半額ヲ支拂フベシ。

§200 (Col. XXXIII)

 自分ト同地位ニアル者ノ齒ヲ打チ出シタ者ハ齒ヲ打出サルベシ。

§201 (Col. XXXIII)

 若シ彼ガ平民ノ齒ヲ打出シタトキハ銀三分ノ一 Mina ヲ支拂フベシ。

§202 (Col. XXXIII)

 自分ヨリモ高地位ニアル者ヲ毆打シタル者ハ、公衆ノ前ニテ牛皮鞭ヲ以テ六十ノ毆打ヲ受クベシ。

§203 (Col. XXXIII)

 自分ト同地位ニアル者ヲ毆打シタル者ハ銀一 Mina ヲ支拂フベシ。

§204 (Col. XXXIII)

 平民ヲ毆打シタル平民ハ銀十 Shekel ヲ支拂フベシ。

§205 (Col. XXXIII-XXXIV)

 平民ヲ毆打シタル平民ノ奴隷ハ耳ヲ切斷サルベシ。

§206 (Col. XXXIV)

 或人ガ他人ト喧嘩シテ毆打シ傷害ヲ加ヘタルトキハ、「私ハ故意ニ毆打シタルモノデナイ」トイフ宣誓ヲ爲シ且ツ醫料ヲ賠償スベシ。

§207 (Col. XXXIV)

 若シ被害者ガ其傷害ノ爲メニ死亡スレバ、加害者ハ前揭ノ宣誓ヲ爲シテ銀半 Mina ヲ支拂フベシ。

§208 (Col. XXXIV)

 若シ彼ガ平民ナルトキハ彼ハ銀三分ノ一 Mina ヲ支拂フベシ。

§209 (Col. XXXIV)

 平民婦人ヲ毆打シテ流產セシメタ者ハ其胎兒ノ喪失ニ對シテ銀十 Shekel ヲ支拂フベシ。

§210 (Col. XXXIV)

 若シ其婦人ガ死亡スルトキハ、彼ノ娘ヲ死刑ニ處スベシ。

§211 (Col. XXXIV)

 平民婦人ガ或者ニ毆打サレテ流產シタ場合ニハ、彼ハ銀五 Shekel ヲ支拂フベシ。

§212 (Col. XXXIV)

 若シ其婦人ガ死亡スレバ、彼ハ銀半 Mina ヲ支拂フベシ。

§213 (Col. XXXIV)

 平民ノ下女ヲ毆打シテ流產セシメタ者ハ銀二 Shekels ヲ支拂フベシ。

§214 (Col. XXXIV)

 若シ其下女ガ死亡スレバ、彼ハ銀三分ノ一 Mina ヲ支拂フベシ。

§215 (Col. XXXIV)

 醫者ガ靑銅刀ヲ以テ重傷ヲ手術シテ、患者ノ生命ヲ救濟シ、又ハ眼ノ附近ニテ、靑銅刀ヲ以テ、膿腫ヲ切開シテ眼ヲ救助スレバ、彼ハ銀十 Shekels ヲ取得スベシ。

§216 (Col. XXXIV)

 若シ彼(患者)ガ平民ナルトキハ五 Shekels ヲ取得スベシ。

§217 (Col. XXXIV)

 若シ其レガ或人ノ奴隷ナレバ、其所有者ハ醫者ニ銀二 Shekel ヲ支拂フベシ。

§218 (Col. XXXIV)

 醫者ガ靑銅刀ヲ以テ重傷ヲ手術シテ患者ヲ殺シ、又ハ(眼ノ附近ニテ)膿腫ヲ切開シテ、眼ヲ失明セシムルトキハ彼(醫者)ハ其手ヲ切斷サルベシ。

§219 (Col. XXXIV)

 醫者ガ靑銅刀ヲ以テ平民ノ奴隷ノ重傷ヲ手術シテ、之ヲ死ニ致シタルトキハ、彼ハ其奴隷ニ代ハル(勿論同價値ノ)他ノ奴隷ヲ以テ賠償スベシ。

§220 (Col. XXXIV)

 若シ彼ガ(眼ノ附近ニテ)靑銅刀ヲ以テ、膿腫ヲ切開シテ、眼ヲ失明セシムルトキハ、彼ハ其奴隷ノ有セル價値ノ半分ヲ支拂フベシ。

§221 (Col. XXXIV-XXXV)

 醫者ガ人ノ破損セル四肢ヲ囘復シ、又ハ病膓ヲ治癒シタルトキハ、患者ハ銀五 Shekels ヲ支拂フベシ。

§222 (Col. XXXV)

 若シ彼ガ平民ナルトキハ、彼ハ銀三 Shekels ヲ支拂フベシ。

§223 (Col. XXXV)

 若シ彼ガ奴隷ナルトキハ、其所有者ハ醫者ニ銀二 Shekels ヲ支拂フベシ。

§224 (Col. XXXV)

 牛醫又ハ驢醫ガ重傷ヲ負へル牛又ハ驢ヲ取扱ヒ、其動物ヲ治癒シタルトキハ、其所有者ハ醫者ニ報酬トシテ銀六分ノ一 Shekel ヲ支拂フベシ。

§225 (Col. XXXV)

 若シ彼ガ重傷ヲ負ヘル牛又ハ驢ヲ取扱ヒ、之ヲ死ニ致シタルトキハ、彼ハ其所有者ニ其價額ノ四分ノ一ヲ支拂フベシ。

§226 (Col. XXXV)

 烙印者ガ奴隷ノ所有者ニ無斷ニテ奴隷ヲ賣却シ得ザル旨ノ標識ヲ奴隷ニ烙印シタルトキハ、其手ハ切斷サルベシ。

§227 (Col. XXXV)

 烙印者ヲ欺キ、奴隷ヲ賣却シ得ザル旨ノ標識ヲ奴隸ニ烙印セシメタ者ハ死刑ニ處セラレ、彼レノ家ニ葬ムラルベシ。然シ烙印者ガ「私ハ故意ニ烙印シタモノデナイ」トイフ宣誓ヲ爲シタ上ハ放免サルベシ。

§228 (Col. XXXV)

 建築者ガ人ノ爲メニ家屋ヲ築造シテ之ヲ完了シタトキハ、面積一 Sar ニ付テ銀二 Shekels ヲ支拂ハルベシ。

§229 (Col. XXXV)

 建築者ガ人ノ爲メニ家屋ヲ築造シテ、之ヲ堅固ニ築造セズシテ、彼レノ築造シタル家屋ガ崩壞シテ、其所有者ヲ殺シタ場合ニハ、其建築者ヲ死刑ニ處スベシ。

§230 (Col. XXXV)

 若シ其レガ其家屋所有者ノ息子ヲ殺シタ場合ニハ、建築者ノ息子ヲ死刑ニ處スベシ。

§231 (Col. XXXV)

 若シ其レガ其家屋所有者ノ奴隷ヲ殺シタ場合ニハ、彼ハ其家屋所有者ニ他ノ奴隷ヲ與フベシ。

§232 (Col. XXXV)

 若シ其レガ或財產ヲ破壞シタ場合ニハ彼ハ其一切ノ損害ヲ賠償シ、且ツ家屋ヲ堅固ニ築造シナカツタ爲メニ崩壞シタルノ故ヲ以テ、自己ノ費用ヲ以テ家屋ヲ再築スベシ。

§233 (Col. XXXV-XXXVI)

 建築者ガ或者ノ爲メニ家屋ヲ築造シ、其仕事ヲ信實ニ完了シナカツタ場合ニ、其壁ガ崩壞シタトキハ自己ノ費用ヲ以テ其壁ヲ堅固ニスベシ。

§234 (Col. XXXVI)

 船ノ建造者ガ或者ノ爲メニ六十 Gur ノ船ヲ築造スレバ、彼ハ報酬トシテ銀二 Shekel ヲ支拂フベシ。

§235 (Col. XXXVI)

 船ノ建造者ガ或人ノ爲メニ船ヲ築造シタルモ、之ヲ航海ニ適スル樣ニ造ラズ、而シテ其年、其船ガ航海ニ上リテ損傷ヲ受ケタ場合ニハ、其船ノ建造者ハ自己ノ費用ヲ以テ之ヲ改造シテ堅固ナルモノトナシ、其改造セラレタル船ヲ其所有者ニ與フベシ。

§236 (Col. XXXVI)

 或人ガ其船ヲ船夫ニ貸付ケ、船夫ガ之ヲ不注意ニ取扱ヒテ破損シ、又ハ沈沒セシメタ場合ニハ、船夫ハ船ノ所有者ニ賠償トシテ他ノ船ヲ與フベシ。

§237 (Col. XXXVI)

 或人ガ船夫ト其船ヲ傭入レ、之ニ穀物、羊毛、油、「ナツメジユロ」其他ノ荷物ヲ積ミタルニ、船夫ガ不注意ニシテ其船ヲ破損シ、荷物ヲ損傷シタルトキハ、其船夫ハ船及ビ損失セラレタ總テノ荷物ヲ賠償スベシ。

§238 (Col. XXXVI)

 船夫ガ他人ノ船ヲ沈沒セシメタルモ、之ヲ再ビ浮揚セシメタトキハ、彼ハ銀ヲ以テ其價値ノ半額ヲ支拂フベシ。

§239 (Col. XXXVI)

 或人ガ船夫ヲ傭入レタルトキハ、彼ハ年ニ穀物六 Gur ヲ船夫ニ支拂フベシ。

§240 (Col. XXXVI)

 或船ガ投錨中ノ他ノ船ニ衝突シテ、之ヲ沈沒セシメタ場合ニハ、沈沒セル船ノ所有者ハ神前ニ於テ其損失ノ範圍ヲ宣言スベシ。投錨中ノ船ヲ沈メタ船ノ所有者ハ失ハレタル船及ビ一切ノモノヽ賠償ヲ爲スベシ。

§241 (Col. XXXVI)

 勞働牛ニ付テ强制執行ヲ爲ス者ハ銀三分ノ一 Mina ヲ支拂フベシ。

§242 (Col. XXXVI)

 勞働牛ヲ一年間賃借スル者ハ其所有者ニ一頭ニ付キ穀物四 Gur ヲ支拂フベシ。

§243 (Col. XXXVI)

 乳牛ノ賃料トシテハ穀物三 Gur ヲ其所有者ニ支拂フベシ。

§244 (Col. XXXVII)

 或人ガ牛又ハ驢ヲ賃借シ、獅子ガ之ヲ原野ニ於テ殺シタルトキハ、其損失ハ所有者ニ歸スル。

§245 (Col. XXXVII)

 或人ガ牛ヲ賃借シテ、怠慢又ハ虐待ニ因テ之ヲ殺シタルトキハ、彼ハ之ト同價値ノ他ノ牛ヲ其所有者ニ與フベシ。

§246 (Col. XXXVII)

 或人ガ牛ヲ賃借シテ其脚ヲ挫キ、又ハ首筋ヲ切リ取リタルトキハ、彼ハ其牛ノ代リニ之ト同價値ノ牛ヲ(賃借セル牛ノ)所有者ニ與フベシ。

§247 (Col. XXXVII)

 或人ガ牛ヲ賃借シテ、其眼ヲ失明セシメタルトキハ、彼ハ其價値ノ半額ヲ牛ノ所有者ニ支拂フベシ。

§248 (Col. XXXVII)

 或人ガ牛ヲ賃借シテ其角ヲ折斷シ又ハ其尾ヲ切斷シ、若シクハ鼻孔ヲ損傷シタルトキハ、彼ハ其牛ノ價額ノ四分ノ一ヲ支拂フベシ。

§249 (Col. XXXVII)

 或人ガ牛ヲ賃借シタルニ神ガ之ヲ打ツテ、其レガ死去シタルトキハ、之ヲ賃借シタル人ハ、神前ニ於テ宣誓シ、彼ノ責任ハ免除サルベシ。

§250 (Col. XXXVII)

 牛ガ市中ヲ通行スル際ニ人ヲ衝イテ殺シタ場合ニハ、其事件ハ訴訟ノ問題トハナラヌ。

§251 (Col. XXXVII)

 或人ノ牛ガ人ヲ衝ク常習アリテ、彼ガ旣ニ其コトヲ注意サレテ居ツタガ、彼ハ其レノ角ヲ防護スルコトヲ爲サズ、之ヲ監禁モセズニ置イタ場合ニ、其牛ガ平民ノ子ヲ衝イテ之ヲ死ニ致シタルトキハ、彼ハ銀半 Mina ヲ支拂フベシ。

§252 (Col. XXXVII)

 若シ其レガ人ノ奴隷ヲ殺シタルトキハ、彼(牛ノ所有者)ハ銀三分ノ一 Mina ヲ支拂フベシ。

§253 (Col. XXXVII)

 或人ガ其耕地ヲ管理スル爲メニ他人ヲ傭入レ、之ニ種子ヲ供給シ、牛ヲ寄託シテ、土地ヲ耕作スルコトヲ委託シタルニ、彼(被傭人)ガ種子又ハ收穫ヲ橫領シテ、其領有中ニ發見セラレタルトキハ、彼ノ手ハ切斷セラルベシ。

§254 (Col. XXXVII)

 若シ彼ガ種子穀ヲ取リテ、牛ヲ過勞セシムルトキハ、彼ハ播種ノ爲メニ受取ツタ丈ケノ分量ノ穀物ハ之ヲ賠償スベシ。

§255 (Col. XXXVII)

 若シ彼ガ人ノ牛ヲ轉貸シ又ハ種子穀ヲ盜ミテ、土地ヲ耕作セザルトキハ、彼ハ吿訴サレテ(土地)十 Gan ニ付テ穀物六十 Gur ヲ支拂フベシ。

§256 (Col. XXXVII)

 若シ彼ガ其義務ヲ果スコトガ出來ナケレバ、家畜ト共ニ彼ヲ原野ニ遺棄スベシ。

§257 (Col. XXXVII-XXXVIII)

 原野勞働者ヲ傭入レタ者ハ年ニ穀物八 Gur ヲ支拂フベシ。

§258 (Col. XXXVIII)

 牛方ヲ傭入レタ者ハ年ニ穀物六 Gur ヲ支拂フベシ。

§259 (Col. XXXVIII)

 野外ニ於テ水車ヲ盜取シタ者ハ其所有者ニ銀五 Shekels ヲ支拂フベシ。

§260 (Col. XXXVIII)

 若シ彼ガ水桶又ハ鋤ヲ盜取スルトキハ、銀三 Shekels ヲ支拂フベシ。

§261 (Col. XXXVIII)

 牛又ハ羊ヲ飼養スル爲メニ牧人ヲ傭入レタ者ハ年ニ穀物八 Gur ヲ支拂フベシ。

§262 (Col. XXXVIII)

 或人ガ牛又ハ羊ヲ寄託シタルニ…………(原文欠缺)

§263 (Col. XXXVIII)

 寄託サレタ牛又ハ羊ヲ失ツタ者ハ牛ニ付テハ牛、羊ニ付テハ羊ヲ賠償スベシ。

§264 (Col. XXXVIII)

 牛又ハ羊ノ飼養ヲ寄託サレタ牧人ガ契約ニ依テ定マレル賃料ヲ受取リテ、牛又ハ羊ノ頭數ヲ減少シ又ハ其增殖率ヲ減少シタルトキハ、彼ハ契約ノ性質ニ從テ其減少ヲ塡補シ繁殖セシムベシ。

§265 (Col. XXXVIII)

 牛又ハ羊ノ飼養ヲ寄託サレタ牧人ガ不實ノ所爲ヲナシ、又ハ其增殖ノ返還ニ付テ不正ノコトヲ爲シ、若シクハ牛羊ヲ賣却シタルトキハ、彼ハ吿訴サレテ其盜用シタル所ノ牛羊ノ十倍ヲ所有者ニ賠償スベシ。

§266 (Col. XXXVIII)

 厩ニ神ノ打擊(災難)ガ起リ又ハ獅子ガ之(飼養動物)ヲ殺シタルトキハ、牧人ハ神前ニ其無罪ヲ宣明スベシ。而シテ厩ノ所有者ハ其損失ヲ負擔スベシ。

§267 (Col. XXXVIII)

 牧人ガ注意ヲ怠リテ、厩ニ災難ガ起ルトキハ、其牧人ハ其損失ヲ塡補シテ所有者ニ牛又ハ羊ヲ返還スベシ。

§268 (Col. XXXVIII)

 脫殻ノ爲メニ牛ヲ傭入レル場合ノ賃料ハ穀物二十 Ka ナリ。

§269 (Col. XXXVIII)

 脫殻ノ爲メニ驢ヲ傭入レル場合ノ賃料ハ穀物十 Ka ナリ。

§270 (Col. XXXVIII)

 脫殻ノ爲メニ幼動物(Lalu)ヲ傭入レル場合ノ賃料ハ穀物一 Ka ナリ。

§271 (Col. XXXVIII-XXXIX)

 牛、荷車及ビ御者ヲ傭入レル者ハ一日ニ穀物百八十 Ka ヲ支拂フベシ。

§272 (Col. XXXIX)

 荷車ノミヲ傭入レル者ハ一日ニ穀物四十 Ka ヲ支拂フベシ。

§273 (Col. XXXIX)

 新年カラ第五月迄、勞働者ヲ傭入レル者ハ一日ニ銀六 Se ヲ支拂フベシ。第六月カラ年ノ終迄傭入レル者ハ一日ニ銀五 Se ヲ支拂フベシ。

§274 (Col. XXXIX)

 職人ヲ傭入レタ者ハ

a. ‥‥‥‥ノ傭入ニハ銀五 se.

b. 燒物職工ノ傭入ニハ銀五 se.

c. 裁縫工ノ傭入ニハ銀五 se.

d. 石工ノ傭入ニハ銀‥‥se.

e. ‥‥‥‥ノ傭入ニハ銀‥‥se.

f. ‥‥‥‥ノ傭入ニハ銀‥‥se.

g. 大工ノ傭入ニハ銀四 se.

h. ‥‥‥‥ノ傭入ニハ銀四 se.

i. ‥‥‥‥ノ傭入ニハ銀‥‥se.

j. 建築者ノ傭入ニハ銀‥‥se.

ヲ一日ニ付テ支拂フベシ。

§275 (Col. XXXIX)

 船ヲ借入レタ場合ノ損料ハ一日ニ付キ銀三 se ナリ。

§276 (Col. XXXIX)

 漕船ヲ借入レタ者ハ一日ニ付キ銀二 se ヲ支拂フベシ。

§277 (Col. XXXIX)

 六十 Gur ノ船ヲ借入レタ者ハ其損料トシテ一日ニ付キ、銀六分ノ一 Shekel ヲ支拂フベシ。

§278 (Col. XXXIX)

 或人ガ男奴隷又ハ女奴隷ヲ買入レタルニ、一ケ月ヲ經過セザル間ニ、其奴隷ガ Bennu 病ニ罹ツタ場合ニハ、彼ハ其奴隷ヲ賣主ニ返却スベシ。而シテ買主ハ其支拂ヘル金錢ノ返還ヲ受クベシ。

§279 (Col. XXXIX)

 或人ガ男奴隷又ハ女奴隷ヲ買入レタルニ、之ニ對シ他人ノ要求アル場合ニハ、賣主ハ其要求ニ對シテ責任ヲ負フベシ。

§280 (Col. XXXIX)

 或人ガ外國ニ於テ男奴隷又ハ女奴隷ヲ買入レテ、其本國ニ歸來シタルニ、其男奴隷又ハ女奴隷ノ前所有者ガ之ヲ發見シタルトキハ、其奴隷ガ自國人ナル以上ハ金錢賠償ナシニ、其奴隷ヲ返戾スベシ。

§281 (Col. XXXIX)

 若シ彼等ガ他國人ナルトキハ、買主ハ神前ニ於テ其等ニ付テ支拂ツタ價額ヲ宣言スベシ。而シテ男奴隷又ハ女奴隷ノ前所有者ハ商人(買主)ニ其支拂ツタ代價ヲ與フベシ。而シテ彼(前所有者)ハ其男奴隷又ハ女奴隷ヲ囘復スベシ。

§282 (Col. XXXIX)

 若シ奴隷ガ其主人ニ向テ「汝ハ私ノ主人デナイ」ト言フトキハ、其主人ガ自分ノ奴隷ナルコトヲ立證シタル場合ニハ、主人ハ奴隷ノ耳ヲ切斷スベシ。