まち・ひと・しごと創生基本方針2016

まち・ひと・しごと創生基本方針2016について

(平成28年6月2日閣議決定)

まち・ひと・しごと創生基本方針2016を別紙のとおり定める。


(別紙)

まち・ひと・しごと創生基本方針2016

目次

Ⅰ.地方創生をめぐる現状認識

1.我が国の人口減少の現状
2.東京一極集中の加速
3.地域経済の現状

Ⅱ.地方創生の基本方針―地方創生の本格展開―

1.本格的な「事業展開」の段階へ
2.一億総活躍社会の実現とTPPの推進等
3.今後の施策の基本方向
①各分野の政策の推進
②地域特性に応じた戦略の推進
③多様な地方支援の推進

Ⅲ.各分野の政策の推進

1.地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする -ローカル・アベノミクスの実現-
①地方と世界をつなぐローカル・ブランディング
②ローカル・イノベーションによる地方の良質な「しごと」の創出
③ローカル・サービス生産性向上
④地方の先駆的・主体的な取組を先導する人材育成
⑤「創り手」となる組織作りの支援
2.地方への新しいひとの流れをつくる
①企業の地方拠点強化
②政府関係機関の地方移転
③「生涯活躍のまち」の推進
3.若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる -地域アプローチによる少子化対策の推進-
①地域の実情に応じた働き方改革
4.時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する
①稼げるまちづくりとコンパクトシティや広域連携の推進等
②集落生活圏の維持のための「小さな拠点」及び地域運営組織の形成

Ⅳ.地域特性に応じた戦略の推進

1.地域特性に応じた戦略・事業の強化の重要性
2.「地域特性別モデルの形成」と「政策メニューの整備」

Ⅴ.地方創生に向けた多様な支援(地方創生版・三本の矢)

1.情報支援
2.人材支援
3.財政支援

Ⅰ.地方創生をめぐる現状認識

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1.我が国の人口減少の現状

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 我が国の人口は、平成20年をピークに減少局面に入っている。平成27年国勢調査によると、我が国の総人口は1億2,711万人であり、平成22年の前回国勢調査に比べて94万7,000人減少(年平均18万9,000人の減少)しており、国勢調査においては大正9年の開始以来初めての減少を記録した[1]

 平成26年に1.42となり9年ぶりの低下を記録した合計特殊出生率は、平成27年に1.46となり、上昇がみられる。平成27年の年間出生数は100万5,656人となり、平成26年の100万3,539人に比べて若干の増加となっている[2]。しかしながら、全体的な動向においては、我が国の人口減少に歯止めがかかるような状況とはなっていない。

2.東京一極集中の加速

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 人口移動の面では、東京一極集中の傾向が加速している。平成27年に東京圏(東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県)は、大阪圏や名古屋圏が3年連続の転出超過を記録する中で、11万9,000人の転入超過(20年連続)を記録した(転出者数は前年比9,000人増の36万8,000人であったが、転入者数がこれを上回る前年比1万9,000人増の48万7,000人であった。東京圏への転入超過数は、平成24年以降4年連続で増加し続けている。)[3]。その結果、平成27年の東京圏の人口は3,612万6,000人となり、全人口の4分の1以上が集中している[4]。東京圏への人口移動の大半は若年層であり、平成27年は15~19歳(2万6,000人)と20~24歳(6万7,000人)を合わせて9万人を超える転入超過となっている。さらに、近年は25~29歳における転入超過数も増加傾向にある(平成27年は前年比3,000人増の2万人であった。)。

 全国の地方公共団体の状況を見ると、東京圏への人口転出超過状態には偏りがある。東京圏への転出超過数の多い地方公共団体は、政令指定都市や県庁所在市などの中核的な都市が大半を占めている。転出超過上位69の地方公共団体で50%、200の地方公共団体で約7割、300の地方公共団体で約8割を占めている[5]

3.地域経済の現状

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 我が国の経済情勢は、全体的に雇用・所得環境の改善が続く中で、生産性、所得水準、消費活動など様々な側面から地方と大都市の格差が見られる。人口減少に加え、若年層が東京圏をはじめとする大都市に流出する中で、地方では人手不足が深刻化している。地方は、大都市に比べて労働生産性が低く、それが賃金水準の格差に結びついており、若年層の流出の一因となっているとの指摘もある。そうした指摘の理由として、工場の新規立地や公共工事の拡大による良質な雇用の創出が難しくなり、経済の約7割を医療・福祉、卸・小売、飲食・宿泊などのサービス業に依存するようになったため、地域経済が、生産性の低迷と、需要密度の高い都市部への投資の偏在に直面していることが挙げられている。

Ⅱ.地方創生の基本方針―地方創生の本格展開―

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1.本格的な「事業展開」の段階へ

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 地方創生は、少子高齢化に歯止めをかけ、地域の人口減少と地域経済の縮小を克服し、将来にわたって成長力を確保することを目指している。このため、国は、平成26年に「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」(平成26年12月27日閣議決定。以下「長期ビジョン」という。)及び「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(平成26年12月27日閣議決定。以下「総合戦略」という。)を策定し、総合戦略は平成27年末に改訂(平成27年12月24日閣議決定)を行った。総合戦略においては、「東京一極集中の是正」、「若い世代の就労・結婚・子育ての希望実現」、「地域の特性に即した課題解決」を基本的視点として掲げており、これに基づき、地方創生に関する政策パッケージを推進するとともに、地方公共団体に対して情報・人材・財政面からの支援を展開している。

 地方においても、平成28年3月末までに47都道府県、1,737市区町村で「都道府県まち・ひと・しごと創生総合戦略」及び「市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略」(以下「地方版総合戦略」という。)が策定され、各地域の実情に即した具体的な取組が始まっている。地方版総合戦略の策定に当たっては、産官学金労言をはじめ多様な関係者の参画を得た検討が行われ、ほぼ全ての地方公共団体が地域住民から意見を聴取し、8割以上の地方公共団体が中高大生を含む若者から意見を聴取している。全国の都道府県から907件の応募を集めた「地方創生☆政策アイデアコンテスト」では、福島市の中学生からの提案が優勝するなど、地方創生への理解と参画は広まってきている。このように、地方創生実現のためには、住民が自らの地域の現状に正面から向き合うことが重要となる。

 また、国家戦略特区については、平成27年度末までの2年間を集中取組期間として、これまでに都市再生・まちづくり、医療、保育、雇用、教育、農業等の幅広い分野において、全国的措置等を含め50以上の規制改革を実現するとともに、10の指定区域において、合計175もの事業を認定してきている。地方分権改革については、平成28年においても、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って、着実かつ強力に進める。

 地方創生は、平成26・27年度の国及び地方の「戦略策定」を経て、平成28年度から本格的な「事業展開」に取り組む段階となっている。地域における先駆的な事業を支援する地方創生加速化交付金(平成27年度補正予算)では、日本版DMO[6]や地域商社の創設といった「しごと創生」関連の取組のほか、都市部のひとり親家庭・若者無業者等の地方での就労・生活支援など、地域の創意工夫をいかした先駆的事業の実施が見られた。交付金の対象が1,436団体(全体の約8割)に上るなど裾野も広がりつつあり、こうした動きを更に推し進めていく必要がある。

2.一億総活躍社会の実現とTPPの推進等

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 現在、政府は、少子高齢化に歯止めをかけ、若者も高齢者も、女性も男性も、ひとり親家庭の方々も、そして障害や難病のある方々も、一度失敗を経験した人も、一人ひとりが、家庭で、地域で、職場で、それぞれの希望がかない、それぞれの能力を発揮でき、それぞれが生きがいを感じることができる「一億総活躍社会」を実現することを目標に掲げている。

 地方は少子高齢化や過疎化の最前線であり、地方創生は「一億総活躍社会」を実現する上で最も緊急度の高い取組の一つである。「ニッポン一億総活躍プラン」においても、ローカル・アベノミクスの実現による地方での安定した雇用創出、妊娠・出産や子育てに優しい働き方改革や、高齢者も活躍する地域づくりなど、「しごと」「ひと」「まち」それぞれの創生につながる方向性が示されている。地方創生と一億総活躍の取組を相互に連動させながら進めていく。

 また、「総合的なTPP関連政策大綱」(平成27年11月25日TPP総合対策本部決定)にあるように、環太平洋パートナーシップ(TPP)は地方の中堅・中小企業が世界の市場に踏み出す契機となる。「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む地方創生の好循環が加速することが期待される。

 併せて、国土強靱化等、安全・安心に関する取組とも調和させて進めていくとともに、「地方創生IT利活用促進プラン」の着実な実行に向け、地域におけるICTの定着を目指す。

3.今後の施策の基本方向

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 上記のような状況を踏まえ、今後、地方創生の本格展開に向けて、国及び地方において官民の総力を挙げて取り組む。このため、これまで取り組まれてきた戦略策定や政策メニューづくりの実績を踏まえ、以下の3つの基本方向により、施策の一層の推進を図っていくものとする。また、「総合戦略」に位置付けられた各種施策のKPI達成状況の検証を行い、短期あるいは中長期の観点から必要な見直しを実施しながら、効果的な対応を進める。

①各分野の政策の推進

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 国においては、総合戦略に基づき、「地域にしごとをつくり、安心して働けるようにする」、「地方への新しいひとの流れをつくる」、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」、「時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する」という4つの分野を中心に政策パッケージを策定し、取組を推進している。

 具体的には、ローカル・アベノミクスの実現に向けて「地域しごと創生会議」を開催し、ローカル・ブランディング、ローカル・イノベーション、ローカル・サービス生産性向上、人材還流・育成の推進方策や「創り手」となる組織作りの支援方策を検討するとともに、企業の地方拠点強化の税制整備や政府関係機関の地方移転の基本方針の決定、生涯活躍のまち構想の法制化を図ってきた。また、地域における少子化等の実情を踏まえた「地域アプローチ」による働き方改革、稼ぐまちづくりのための「包括的政策パッケージ」づくりや連携中枢都市圏をはじめとする地域連携の推進、中山間地域等における「小さな拠点」や地域運営組織の形成に取り組んできた。

 今後、地域が持つ魅力(「知恵」「人材」「資源」)を最大限引き出し、地方創生の本格展開を推進する観点から、各分野の政策の着実な実行となお一層の強化を図る。

②地域特性に応じた戦略の推進

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 このように地方創生の取組が本格化しつつある中で、過度な東京一極集中や人口減少の進行など、地方創生をめぐる現状には厳しいものがある。また、地域によって取り巻く環境は大きく異なるとともに、これまでの取組状況にはバラツキがみられる。

 特に、東京圏への若者の転出が多い道府県・市町村においては、若者の地方還流・地方定着やいわゆる人口のダム機能の発揮に向けた取組を強化していくことが重要である。また、今後急速な社会減及び自然減が予想される市町村においては、将来の急激な人口減少に対応し、住民生活に必要不可欠な行政サービス等の効率的・効果的な供給体制を構築していくことが重要である。

 こうした状況を踏まえ、国においても、地域特性に応じ、取組が遅れている課題について戦略・事業の強化を図る観点から、地方の取組を支援していくことが重要である。

③多様な地方支援の推進

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 国は、地方創生に向けた地方公共団体の取組に対して、情報・人材・財政の3つの側面から支援している(地方創生版・三本の矢)。

 情報支援では、地域経済分析システム(RESAS)[7]の開発・普及を進めており、今後とも内容充実や利便性の向上、普及促進等に取り組むことが重要である。

 人材支援では、地方創生コンシェルジュや地方創生人材支援制度を引き続き活用しつつ、「地方創生人材プラン」に基づき、「地方創生カレッジ事業」を新たに推進していく。

 財政支援では、地方が地方創生に中長期的見地から安定的に取り組むことができるよう、地方創生推進交付金や地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)などの支援を新たに展開していく。

 また、国家戦略特区については、平成29年度末までの2年間を「集中改革強化期間」として、残された「岩盤規制」の改革や事業実現のための「窓口」機能の強化を行うこととしており、全国の地方公共団体や民間からの経済効果の高い規制改革提案があればスピーディに対応し、必要であれば、新たな区域を指定していく。

 総合特区制度については、「地方版総合戦略」に位置付けた事業の推進のため総合特区制度の協議スキームを活用し有効な規制緩和につなげ、総合特区評価の結果をPDCAサイクルに活用するなど、地方創生と連携して推進する。

 平成28年(2016年)熊本地震を受け、現在被災地においては全力の震災対応が続けられている。一刻も早い災害復旧に加え、被災地における地方創生の取組が創造的復興をもたらすよう地方創生版・三本の矢においても支援を展開していく。

Ⅲ.各分野の政策の推進

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1.地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする-ローカル・アベノミクスの実現-

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 各地の先進的な取組から知見を蓄積した「地域しごと創生会議」の成果を踏まえ、人手不足や国内市場縮小を克服し、域外の人材や資金を積極的に活用しながら、新たなしごとと投資の流れを生み出すローカル・アベノミクスを全国津々浦々まで浸透させ、開放的で力強い地域経済・産業の回復に取り組む。

①地方と世界をつなぐローカル・ブランディング

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<課題>

○日本版DMO

  • 日本版DMOが有効に機能していく上で、①日本版DMOに関する基本的な考え方や官民の在り方等が十分に浸透していない、②観光地域経済が「見える化」されていない、③マーケティングやソーシャルメディアといった民間の手法を活用して地域づくりを担う人材が不足している、④主体的かつ継続的な活動を支える安定的な財源が不足している、などの課題が存在している。

○地域商社

  • 単純に既存の地域産品の売上拡大を目指すだけでは、地域同士による、既存市場の奪い合いに陥る懸念がある。既存市場とは異なる新たな「ふるさと名品市場」の開拓と、同市場開拓の司令塔となる地域商社が必要となるが、その重要性に対する認識自体が、未だ十分に浸透していない。
<今後の方向性>

○日本版DMO

  • 明日の日本を支える観光ビジョン」において、世界水準のDMOの形成・育成を目指すとされたことも踏まえ、日本版DMOに関する地域の理解をより一層醸成していくために、普及活動を継続的に実施するとともに、日本版DMO候補法人登録制度の効果的な運用により、地域の取組の熟度を確認し、先導的な事例の横展開等を図る。

○地域商社

  • 新たな「ふるさと名品市場」開拓の必要性も含め、地域商社の必要性・成功事例やその取組のエッセンスの全国的な共有を進め、新市場開拓の司令塔としての地域商社機能の設立を支援する。また、全国各地の地域商社機能と、全国規模の通販事業者、物流事業者、新聞・雑誌等の媒体など「ふるさと名品市場」の開拓を目指す様々な事業者との連携を進める。
【対応の方針】
◎日本版DMOを核とする観光地域づくり・ブランドづくりの推進
  • 日本版DMOの基本的な考え方、官民の在り方や地域での導入プロセス等を多様な事例に即して分かりやすく整理し、「「日本版DMO」形成・確立に係る手引き」を改訂するとともに地域での普及活動を継続的に実施していく。
  • UNWTO[8]が発行しているDMOの実践ガイド「A Practical Guide to Tourism Destination Management」を翻訳し、必要とする地域に提供していく。また、RESASとの連携等により、「観光地域経済の見える化調査」の成果を全国展開し、地域が行う観光による地域経済の波及効果の測定や効果的な観光戦略の策定の取組を促進する。
  • 観光地域のマネジメント・マーケティングを行うためのツールである「DMOクラウド」を開発・提供する。また、海外知見も取り入れ人材育成プログラムを開発・提供するほか、地方創生カレッジとも連携し、日本版DMOを担う人材を育成するeラーニングを構築する。マーケティングの専門知識を持つ人材と地域とのマッチングから実際の派遣までの一体的支援やスーパーコーディネーターの活用等の人材支援を進める。
  • 関係府省庁が有する観光関連施策の連携等により、日本版DMOの立ち上げから自律的な運営まで総合的に支援する。その際、自然豊かな国立公園等のブランド化や地域の文化財・スポーツコンテンツ・エンターテインメント等の活用など、地域の観光資源の魅力を高め、地方創生の礎とする各府省庁の施策との連携を推進する。また日本版DMOのネットワーク化を進めるため、情報交換の場の提供等を実施するとともに、マーケティング調査への協力や「稼ぐ」仕組みの提供など、日本版DMOの活動をサポートし得る民間事業者等とのマッチング等を実施する。
  • 日本政策投資銀行、地域経済活性化支援機構や地域金融機関等が展開している観光活性化ファンド等による、日本版DMOや地域商社と連携したプロジェクトに対する更なる投資を促進するとともに、TID[9]等の自主財源創出の手法について、更に検討を深める。
  • 意欲と能力のある民間人材を、観光による地方創生に積極的に取り組む市町村等に対して、一定の期間派遣する「観光版地方創生人材支援制度」を検討する。
  • 地方運輸局等とも連携し、日本版DMO候補法人登録制度の効果的な運用により、地域の取組の熟度を確認し、先導的な事例の全国展開を図るとともに、活動内容に不足のある地域に対しては必要な助言等を実施しステップアップを促す。
◎地域商社機能を核とする地域産品市場の拡大
  • 地域商社には、生産まで含めて地域商社機能を持つケース、流通が独自の地域商社機能を築くケース、全国で商品カテゴリ別に連携するケースなど多様な主体が考えられる。これらの必要性に応じた形で、「地域商社設立の手引き」を作成し、広く地域に示していく。
  • 「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」をはじめ、地域の産品と消費者を直接つなげ、伝えるために行われている全国レベルでの民間の活動等との連携を促し、地域産品の良さを都市部の消費者に伝える機会を拡大することで、地域商社機能の活性化を図る。
  • 地域商社単体の取組だけでなく、日本版DMOや稼げるまちづくり等と連動した取組や地域商社間の連携を促すため、情報交換の場の提供やイベントの開催等を実施していく。

②ローカル・イノベーションによる地方の良質な「しごと」の創出

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<課題>

○日本型イノベーション・エコシステム

  • 大学に最先端技術が集中しその商用開発と事業化を支えるベンチャー投資家ネットワークがある米国や、公的研究機関を中心に知見を共有する仕組み(フラウンホーファーモデル)の中で地域の中堅・中小企業が成長しているドイツとは異なり、我が国では、地域企業が系列の下で安定的に取引できる環境において、市場で売れる製品開発の協働者、事業化の際の協働者が見つからないという課題がある。

○若者等による創業

  • 地域全体にイノベーションを広げていく上では、先端技術だけでなく、従来の地域にはなかった生活支援サービス等についても、若者等が創業しやすい地域づくりが重要となる。
<今後の方向性>

○日本型イノベーション・エコシステム

  • 毎年200程度を目安に、5年間で約1000の先導的な技術開発プロジェクトを支援するイノベーション・コンソーシアム[10]を形成し、地域の優れた技術の発掘とその事業化に向けた取組を推進する。
  • 国際市場に通用する事業化等に精通した専門家集団を形成し、プロジェクト初期から事業化を見据えた動きをサポートする体制を整える。

○若者等による創業

  • 創業希望者が事業化の契機を捉えられるよう、若者の創業や事業活動をコーディネートするハブ機能を地域に広げる。
  • 公的支援等から脱却し自走できるよう、民間投資を引き出す官民リスクシェア型のファイナンス手法等を検討する。
【対応の方針】
◎グローバルに通用する日本型イノベーション・エコシステムの構築
  • 支援人材を活用し、地域の中堅・中小企業の中から、優れた技術等を有し地域経済を牽引する地域中核企業へと成長できる企業を発掘するとともに、地域中核企業候補とパートナー企業や大学等との連携体制の構築や、グローバルな展開も視野に入れた地域中核企業の更なる成長を実現する事業化戦略の立案や販路開拓、事業化のための研究開発の取組を支援する。これらの取組を含め先導的なプロジェクトを、平成28年度以降、毎年200程度を目安に、5年間で約1,000支援する。
  • グローバル・ネットワーク協議会(仮称)を設置し、国際市場に通用する事業化等に精通した専門家からなるグローバル・コーディネーター(仮称)を組織化し、グローバル市場も視野に入れた事業化戦略の立案や販路開拓等を支援する。
◎若者の創業支援
  • 若者の自由な創業と地域社会との間をコーディネートするハブ機能を担う人材を、地方公共団体が連携して育成する取組を推進する。
  • 社会的ビジネス向けに、空き家などの不動産活用手法、広く受益者から徴収するBID[11]などの独自財源活用手法、社会的効果を見える化しその達成インセンティブを活用する社会的インパクト投資方式など、官民でリスクシェアをするための方策について更に検討を深める。

③ローカル・サービス生産性向上

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<課題>

○サービス業の生産性

  • 我が国のGDPや雇用の7割を支えるサービス業の生産性は、欧米に比べて低い。この一因としてIT投資の遅れが挙げられ、1990年代以降、日米のIT投資格差は拡大を続けている。地域企業個々の技術力が高くても、既存市場からの受注を待つだけでは、この傾向が続く恐れがある。
  • 特に、米国の半分以下になっている小売・流通、飲食・宿泊などの分野の生産性は、今後の賃金・最低賃金の引上げも視野に、生産性向上に向けた取組を促すことが必要である。

○対日直接投資

  • 諸外国に比べ、我が国GDPに占める海外からの直接投資比率は低い。
<今後の方向性>

○サービス産業の生産性

  • 「地方版IoT推進ラボ」の普及など、地域企業がその内容や効果に直接触れ、具体的にIoT[12]の活用に踏み込んでいけるよう、多くの地域企業がIoT活用に関する情報交換や、自社のニーズに合うIT人材やITサービス発掘を行う機会を提供するため、

①地方公共団体が積極的に関与する「地方版IoT推進ラボ」の普及 ②モデルとなるスマート工場の整備 ③「スマートものづくり応援隊」に相談できる拠点の整備 ④おもてなしプラットフォームなどの共通のIT基盤の整備 等に取り組む。

  • 全国の約半数の地方公共団体が国と連携し、平成32年までに、地元のサービス事業者にワンストップで対応できるようにする。また、事業分野別指針の策定と成功事例の普及、サービス経営人材の育成、おもてなし規格認証の全国約30万社による認証の取得などにも取り組む。

○対日直接投資

  • 外国企業誘致戦略の策定から、プロモーション、個別企業へのアプローチや立地支援までを含むテイラーメイド支援を、地方公共団体向けに展開する。
  • 地方公共団体の誘致担当者研修事業で、先進的事例を全国展開する。
【対応の方針】
◎IoTの戦略的活用
  • 地域企業がIoTを活用できるよう、地方公共団体が積極的に関与するIoTプロジェクト創出の取組を「地方版IoT推進ラボ」として支援し、地方公共団体と一体となってIoTビジネスの創出を進める。
  • IoTについて、工場や企業の枠を超えて現場データを共有・活用する先進システムを平成32年までに全国50箇所、地方公共団体や中小企業への普及・啓発・支援策の円滑な実施に向け、中小企業が自社の製品や機材を実証できる「実験場(テストベッド)」を平成28年度中に全国10箇所程度設置するとともに、中堅・中小製造業の生産現場のカイゼンやIoT・ロボットの導入を支援する「スマートものづくり応援隊」に相談できる拠点の整備に取り組む。こうした取組により、IoTを前提とした地域の技術開発や、企業連携による市場開拓を後押しする。
  • 平成32年までに、訪日外国人の属性情報等を事業者間でID連携/情報連携を可能にする「おもてなしプラットフォーム」など、IoTやクラウド等を活用した「おもてなし」を実現する共通基盤の社会実装を実現する。実証事業を進めた上で、様々な地域に普及していくことで、様々な民間事業者への参加・連携を促し、訪日観光客に対して高品質・高効率なサービスの提供を可能とする。
◎サービス生産性の向上
  • 生産性向上を支援する事業分野別指針を、7分野(運輸、医療、介護、保育、飲食、宿泊、卸・小売り)で早急に策定する。
  • 地域サービス産業の競争力強化・生産性向上を目的に、今後の賃金・最低賃金の引上げも視野に、その具体策の検討・実行・普及を定期的に継続して行う協議会等の設立やその取組を支援する。また、全国の地方公共団体において、国の担当部局と連携し、地元のサービス事業者による生産性向上に向けた取組支援にワンストップで対応する担当部局や窓口を設置できるようにする(平成32年までに約半数の地方公共団体を目標)。
  • 大学等がサービス事業者等と産学コンソーシアムを組成し、サービス産業の経営に関する専門的・実践的な教育プログラムを産学共同で開発する動きに対し、平成27年度からの5年間で30校程度を支援し、サービス経営人材の育成に努める。
  • サービスの質を「見える化」する規格制度である「おもてなし規格」を策定し、その取得を促すことで、サービス産業の生産性の底上げを図る(平成32年までに、約30万社目標)。
◎対日直接投資
  • 対日直接投資が国内投資と結びつき地域経済に投資としごとの好循環を生み出している事例を発掘・育成し、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)(以下「ジェトロ」という。)が実施する地方公共団体職員向けの研修事業等を活用しつつ、地方公共団体の取組や現場への支援策強化等によりその経験の全国展開を図る。
  • 対日直接投資の促進に関心を持つ地方公共団体に対し、外国企業誘致戦略の策定、プロモーション、個別企業へのアプローチ、立地支援等の事業の実施をジェトロが支援する。
  • 海外へのプロモーションを展開するに当たり、RESAS英語版を開発し、それを積極的に活用した支援を行う。

④地方の先駆的・主体的な取組を先導する人材育成

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<課題>

○多様な人材育成・確保

  • 各地方公共団体においては、今後、「地方版総合戦略」に基づき、より具体的な事業を本格的に推進する段階に入る。その際、①事業の戦略全体を俯瞰ふかんし関係者の合意を得る人材、②日本版DMOやまちづくりなどの個別分野に精通し事業を経営実行する人材など、様々な専門性を有する人材が必要となるが、地方では不足しているとの指摘がある。

○プロフェッショナル人材

  • 生産性が向上せず停滞する地域経済を活性化するためには、潜在成長力を持つ地域企業が、従来事業の継続を旨とした「守りの経営」から脱却し、新たな取組に積極的に挑戦する「攻めの経営」に目覚めていくとともに、都市部の経験豊富なプロフェッショナル人材の活用を通じて、その成長を実現していくことが必要である。
<今後の方向性>

○多様な人材育成・確保

  • 基礎知識や専門分野ごとに求められる実践的な知識について、地方創生を志す者が地域や時間を問わず学べる機会を提供し、若者も含め地方の多様なニーズに合致する人材を育成・確保できる仕組みを構築する。

○プロフェッショナル人材

  • 全国に整備したプロフェッショナル人材戦略拠点を活用し、潜在成長力を持つ地域企業の経営者に「攻めの経営」を促しながら、事業経験をいかせる魅力的なしごとの発掘を進め、プロフェッショナル人材の地方還流を拡大する。併せて、同拠点の機能を活用し、都市部の大企業等と地域企業の間の、兼業促進も含めた多様な形での人事交流を進める。
【対応の方針】
◎「地方創生カレッジ」の創設等
  • 地方創生カレッジを年内の可能な限り早い時期に開校し、地方創生を志す者に真に必要かつ実践的なカリキュラムを提供する。また、地方創生人材に関するプラットフォームへの参加を養成機関等に広く働きかけていくとともに、シンポジウムの開催や地方創生人材育成についてのポータルサイトの立ち上げを通じて、情報発信の強化、気運醸成を図る。こうした取組により、各分野・各地域における地方創生人材の発掘、研修・育成、マッチングから着任後のサポートまでの各ステージにおいて、官民協働による総合的な支援体制の整備を図るほか、地方公共団体が地方創生関連事業を実施するに当たっては、こうした人材育成の取組と連携するように働きかける。
◎プロフェッショナル人材戦略事業の強化等
  • プロフェッショナル人材戦略拠点を全国46道府県に整備しその活動を支援していくことで、潜在的成長企業を発掘しプロフェッショナル人材にとって魅力的な職場を拡大する。また、具体化した求人ニーズを、株式会社日本人材機構や民間人材ビジネス事業者と協力し、プロフェッショナル人材の地方還流の実現につなげる。同拠点の機能を活用した都市部の大企業等と地域企業の間の、兼業促進も含めた多様な形での人事交流の活性化に向け、都市部の大企業等へのアプローチを強化する。

⑤「創り手」となる組織作りの支援

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<課題>

○民間のノウハウを最大限に生かしたプロジェクト事業主体の形成

  • 民間の事業ノウハウを熟知した自走力の高い実行組織を作るには、経験値を積んだ域外の人材と資金も効果的に活用することが不可欠となるが、こうした組織形成のノウハウが、地域には必ずしも蓄積されていない。

○共益的事業を担うパブリックベンチャーの育成

  • 地域しごと創生に向けた活動具体化に向け、日本版DMO、地域商社、まちづくりの「担い手」など、個社で担うのは難しい、地域の様々な関係者共通の利益に貢献する共益的事業を、ベンチャースピリットと民間事業ノウハウを持って積極的に取り組むパブリックベンチャー等の組織形成に関し、必要なノウハウや知見を広めていく必要がある。
<今後の方向性>

○「創り手」となる組織形成への支援

  • 対象とする共益的事業の範囲と同事業からの収益活用法についてあらかじめ地域関係者間で合意をしつつ、ベンチャースピリットと民間事業ノウハウを最大限いかせるような形で活動が展開できるよう、パブリックベンチャー等の組織形成を指南できる専門家集団を形成し、問題解決力の高い自走できる事業主体の形成を促す。
【対応の方針】
◎「創り手組織づくり指南事業」の実施
  • 地域しごと創生の「創り手」となるパブリックベンチャー等の組織づくりを、組織体制、人事、PPP・PFIの活用を含めた資金調達、ビッグデータの活用、活動情報の発信など、様々な側面から指南する約10名程度の「地方創生特命プロデューサー(仮称)」を選任し、組織形成に取り組む地域を支援する。

2.地方への新しいひとの流れをつくる

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 人口移動の東京一極集中の傾向が加速する状況において、地方移住の潜在的希望者の地方への移住・定着に結び付け、地方への新しい「ひと」の流れづくりに取り組み、「しごと」と「ひと」の好循環を確立することが急務となっている。

 このため、「そうだ、地方で暮らそう!国民会議」の行動宣言にあるように、地方居住の推進に向けた気運の醸成を図るとともに、都市農村交流や地域おこし協力隊等を通じ産官学金労言が連携して地方居住に向けた取組の加速を図る。

①企業の地方拠点強化

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<課題>
  • 東京一極集中を是正し、地方での安定した良質な雇用の創出を通じて、東京から地方への新しい流れを生み出す必要がある。
<今後の方向性>
  • 地方拠点強化税制の利用促進のために制度周知を強化する。
  • 地域の人手不足等に対応するため、新しい働き方を促進するための施策について検討する。
【対応の方針】
◎事業者等に対する情報提供等
  • 地方拠点強化税制の利用促進のため、今年度の制度拡充内容を含め、本税制等の目的・内容についてより広く周知を図る。
  • また、本社機能の移転等を検討している事業者に対して、都道府県等と協力しつつ、事業計画策定のための情報提供や策定支援を行う。
◎地域の人手不足等への対応策の検討
  • 女性・アクティブシニアを含めたUIJターンや勤務地限定正社員等の新しい働き方を促進するなど、東京一極集中の是正や地域の労働供給力の強化等に資する具体策について検討し成案を得る。

②政府関係機関の地方移転

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<課題>
  • 本年3月にまち・ひと・しごと創生本部において、政府関係機関移転基本方針(以下「移転基本方針」という。)を決定し、研究機関・研修機関等について23機関を対象に50件の全部又は一部移転に関する方針を、また、中央省庁については、文化庁の京都への全面的な移転などの方針を取りまとめ、移転基本方針の具体化に向けて検討を進めている。
  • 研究機関・研修機関等の移転については、地方拠点を核としたローカル・イノベーション創出や研究成果の地域産業等への波及効果が得られることや、その地域ならではの研修等を行うことで地方創生につながることが重要であり、今後、地方創生推進交付金等を活用しながら将来的なローカル・イノベーション等の実現を見据えた体制・内容の実現を図ることが課題である。
  • 中央省庁の移転については、移転先の地域を含め我が国の地方創生に資するかどうかという地方創生の視点と、国の機関としての機能確保の視点、地方移転によって過度な費用の増大や組織肥大化にならないかという移転費用等の視点を踏まえつつ、移転基本方針に沿って取組を進める必要がある。
<今後の方向性>
  • 移転基本方針に基づき、移転に関する具体的な取組を進めていく。
【対応の方針】
◎政府関係機関移転の着実な推進
  • 研究機関・研修機関等の地方移転については、更に関係者間において検討を進め、地方創生推進交付金等を活用しながら将来的なローカル・イノベーション等の実現を見据えた体制・内容の実現を図るため、平成28年度内にそれぞれの取組において、規模感を含めた具体的な展開を明確にした5年から10年程度の年次プランを共同して作成する。また、今般の地方移転の取組について、政府において定期的に適切なフォローアップを行う。
  • 文化庁については、外交関係や国会対応の業務、政策の企画立案業務(関係府省庁との調整等)の事務についても現在と同等以上の機能が発揮できることを前提とした上で、地域の文化資源を活用した観光振興や地方創生の拡充に向けた対応の強化、我が国の文化の国際発信力の向上など、文化庁に期待される新たな政策ニーズ等への対応を含め、文化庁の機能強化を図りつつ、全面的に移転する。このため、本年4月に立ち上げられた文化庁移転協議会において、抜本的な組織見直し・東京での事務体制の構築や移転時期、移転費用・移転後の経常的経費への対応等を検討する。ICTの活用等による実証実験を行いつつ、8月末をめどに移転に係る組織体制等の概要を取りまとめ、年内をめどに具体的な内容を決定し、数年の内に京都に移転する。なお、文化関係独立行政法人は、上記と並行して、検討を進める。
  • 文化庁以外の中央省庁の地方移転についても、消費者庁等、総務省統計局、特許庁、中小企業庁、観光庁、気象庁のそれぞれについて、移転基本方針に示された具体的な対応方向に沿って、取組を進める。
  • また、地方創生の視点のみならず、国家組織の在り方や行政改革、働き方改革の視点に立って、国の機関における業務について、SNSの普及に見られるようなICTの進展を踏まえ、テレビ会議やテレワークその他最新のICT等も活用した実証実験に政府全体で取り組む。こうした取組の先行的実施として、文化庁、消費者庁及び総務省統計局においては、地元の協力・受入体制の意向を確認しつつ、テレビ会議などのICT活用等を通じ、機能発揮の可否や具体的な課題など地方移転のメリット・デメリットについて検証を行いながら検討を進め、この先行的実施の状況を見つつ、各府省庁も参加して試行する。

③「生涯活躍のまち」の推進

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<課題>
  • 「生涯活躍のまち」構想を推進する意向のある地方公共団体が事業を円滑に進めていくためには、ノウハウ等の不足が課題として挙げられる。
<今後の方向性>
  • 関係府省が参画する「生涯活躍のまち形成支援チーム」を通じて、「生涯活躍のまち」構想に関する先導的事例の横展開を推し進めていく。
【対応の方針】
◎「生涯活躍のまち」構想に関する先導的事例の横展開
  • 中高年齢者が希望に応じて地方や「まちなか」に移り住み、地域の住民(多世代)と交流しながら、健康でアクティブな生活を送り、必要に応じて医療・介護を受けることができる地域づくりを進めるため、地域再生法(平成17年法律第24号)を改正し、地域再生計画に「生涯活躍のまち形成事業」を位置付けた。
  • 「生涯活躍のまち」構想を推進する意向のある地方公共団体において「生涯活躍のまち形成事業」が円滑に進むよう、関係府省が参画する「生涯活躍のまち形成支援チーム」における地域の課題やニーズの把握・検討を通じ、事業推進に当たってのノウハウ等の普及を行う。

3.若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる-地域アプローチによる少子化対策の推進-

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①地域の実情に応じた働き方改革

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<課題>

○地域アプローチ ・地域によって出生率は大きく異なっており[13]、出生率に関連の深い各種指標も大きく異なる。出生率低下の要因である「晩婚化・晩産化」の状況や、それらに大きな影響を与えていると考えられる「働き方」、「所得」、「地域・家族の支援力」にも地域差がある。これまでの少子化対策は、国全体での対策が中心であり、より効果的な対策という点では、地方の取組を主力とする「地域アプローチ」の重要性を認識した対策も求められる。

<今後の方向性>

○地域アプローチ ・各地域における地域の実情に即した「働き方改革」を推進していく取組を、関係府省庁一体となって推進する。

【対応の方針】
◎「地域働き方改革会議」における取組の支援
  • 各地域の地方公共団体や労使団体、金融機関などの地域の関係者から成る「地域働き方改革会議」において、地域の特性や課題の分析、これに基づく仕事と子育て・介護等が両立できる環境整備や、ワーク・ライフ・バランスの推進、長時間労働の是正、女性の活躍促進などの働き方改革について、地域特性に応じた取組を進めることを支援する。このため、「地域働き方改革会議」の求めに応じ、関係府省及び専門家から成る「地域働き方改革支援チーム」が必要な支援を行い、「地方版総合戦略」の改訂や具体的な施策の実施につなげていく。
  • 上記の検討に地域における出生率に関する状況やこれに大きな影響を与える「働き方」に関する実態を地域別に分析した「地域少子化・働き方指標」や「地域少子化対策検討のための手引き」を、必要に応じ改訂し、提供するとともに、「企業子宝率[14]」等による企業の見える化の取組など地域における先駆的・優良事例の横展開を推進する。
◎先進的な取組普及のための政策メニューの整備
  • 各地域の働き方改革を推進するため、先進的な取組の実施・普及を図る。具体的には、地域の働き方改革に向けた「包括的支援」や、企業に対し子育てしやすい環境整備などの取組の進め方について直接出向き積極的に相談支援等を行う「アウトリーチ支援」、ひとり親家庭・若者無業者等の地方におけるワーク・ライフ・バランスのとれた就労・自立を支援する「地方就労・自立支援」などの取組の普及を図る。さらに、東京圏在住の地方出身学生の地方還流や地元在住学生の地方定着を促進するため、特に東京圏への若者の転出が多い地域において地元企業でのインターンシップの実施等を支援する「地方創生インターンシップ」を産官学で推進するとともに、これと連携して地方就職を支援する奨学金制度の普及・活用の強化や勤務地限定正社員の普及等にも取り組む。
  • こうした先駆的な取組推進のため、地方創生推進交付金と各種補助金等を有機的に組み合わせた使い勝手の良い取組事例(モデル事業)を示すなど、政策メニューの整備を進め、幅広い活用を支援する。

4.時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する

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①稼げるまちづくりとコンパクトシティや広域連携の推進等

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<課題>

○稼げるまちづくり

  • まちに賑わいと活力を生み出し雇用や所得の創出につなげる地域の「稼ぐ力」を高めるためには、地域に根差したエリアマネジメント活動[15]の役割が重要であるが、まちづくりをリードする事業主体のあり方と、その動きを支える安定的な財源確保の方法に課題がある。
  • 地域の強み・弱みを含めた現状分析、「何を実現し、どう稼ぐのか」を明らかにするビジョンやアクションプランの策定、進捗を検証するKPIの設定等、PDCAサイクルを確立する必要がある。

○コンパクト・プラス・ネットワーク

  • 立地適正化計画及び地域公共交通網形成計画の作成に向けた具体的な取組を進めている地方公共団体に対し関係府省庁が連携して支援を行い、都市のコンパクト化と利便性が確保された公共交通ネットワーク構築の取組を全国に広げていく必要がある。

○連携中枢都市圏

  • 平成28年4月1日現在、13圏域において連携中枢都市圏が形成されたところであるが、地域によって圏域の形成状況に差異が見られるため、市町村における連携中枢都市圏の形成に向けた取組を全国的に広げていく必要がある。

○定住自立圏

  • 平成28年4月1日現在、108圏域において定住自立圏が形成されたところであるが、市町村における定住自立圏の形成に向けた取組を更に広げていく必要がある。
<今後の方向性>

○稼げるまちづくり

  • 「日本版BIDを含むエリアマネジメントの推進方策に関する検討会」において、エリアマネジメント活動の役割や課題等を整理するとともに、BIDを含む海外の先進事例や国内の取組事例から示唆を得つつ、日本におけるエリアマネジメントの推進方策について、6月中に中間取りまとめを行う。
  • 「地域の「稼ぐ力」や「地域価値」の向上に向けた地域のまちづくりを支援する包括的政策パッケージ」を今後も改訂するとともに、本政策パッケージにおいて紹介した都市の事例にも含まれている「稼ぐ力」をいかす取組を発展・拡大させる。
  • マイナンバーカードを活用した地域活性化を検討する。

○コンパクト・プラス・ネットワーク

  • 平成32年度には立地適正化計画の作成市町村数を150とすることを目指し、関係府省庁で構成する「コンパクトシティ形成支援チーム」を通じ、地方公共団体の取組を強力に支援する。

○連携中枢都市圏

  • 平成32年度には連携中枢都市圏の形成数を30圏域とすることを目指す。
  • 各連携中枢都市圏域における取組を更に深化させ、人口減少下においても一定の圏域人口を確保し、活力ある社会経済の維持・発展に取り組んでいくため、更なる支援の充実を図るほか、関係府省庁と連携を強化する。

○定住自立圏

  • 平成32年度には定住自立圏の形成数を140圏域とすることを目指す。
  • 各圏域における取組を更に深化させるため、これまでの取組成果の再検証を踏まえ、雇用増対策など定住自立圏の取組の支援策を検討・実施する。
【対応の方針】
◎エリアマネジメント活動の推進
  • 6月中に「日本版BIDを含むエリアマネジメントの推進方策に関する検討会」の中間取りまとめを行い、まちづくりの事業主体の在り方や安定的な財源確保の手法について方向性を提示する。
◎「地域のチャレンジ100」の取りまとめと横展開
  • 地域の「稼ぐ力」や「地域価値」の向上を図り、域外からの投資を呼び込むこと等を目指す多様な取組を「地域のチャレンジ100」として取りまとめ、全国への展開を図る。
◎国家戦略特区の推進
  • 古民家などの歴史的建築物の活用を進める養父市や篠山市の取組など、地方創生に資する先進的事例を他の地域を含めた全国に周知し、大胆な規制改革による地方創生を推進する。
  • 既に特区に指定された地域において、未活用メニューの活用を促すとともに、地方創生に寄与する一次産業や観光分野等、残された規制改革を推進する。
◎マイナンバーカードを活用した地域活性化
  • マイナンバーカードを活用した地方公共団体と地域商店街等とのサービス連携・生産性向上による地域活性化策について検討を進める。
◎コンパクト・プラス・ネットワークの推進
  • 都市の規模やまちづくりの重点テーマに応じたモデル都市の形成、先進的な取組事例の公表等により、ノウハウの蓄積・横展開を図り、コンパクトシティの取組の裾野を拡大する。また、健康面や経済効果等の指標の開発・提供により、市町村による取組の効果検証を促すとともに関係府省庁が継続的にモニタリングできるようにし、これらを通じ支援メニューの充実を図る。加えて、人の移動に関するビッグデータ解析等を通じ、ユーザー目線での最適な施設配置の計画手法等を開発するとともに、公共交通の利便性向上を進める。
◎公共施設の集約化
  • 複合化と利活用・将来の急激な人口減少に対応し、住民生活に必要不可欠な行政サービス等の効率的・効果的な供給体制を構築していく観点から、地方公共団体において、「生涯活躍のまち」形成や都市のコンパクト化等を進める際に、公共施設等総合管理計画や立地適正化計画に基づき、公共施設の集約化・複合化及びその後の利活用を引き続き進められるようにする。加えて、PPP・PFIの導入を進め、民間のビジネス機会の拡大を図る。
◎連携中枢都市圏の取組内容の深化
  • 平成32年度には連携中枢都市圏の形成数を30圏域とすることを目指す。
  • 各圏域における取組を更に深化させ、人口減少下においても一定の圏域人口を確保し、活力ある社会経済の維持・発展に取り組んでいくため、圏域の取組状況や課題について関係各府省庁と情報共有・意見交換を行うとともに、連携中枢都市圏構想の推進に向け、更なる支援の充実を図る。加えて、圏域全体に効果を発揮する事業について、関係各府省庁が連携して全国展開を図り、各圏域における取組のレベルアップを支援する。
◎定住自立圏の取組内容の深化
  • 平成32年度には定住自立圏の形成数を140圏域とすることを目指す。
  • 各圏域の取組を更に深化させるため、これまでの取組成果の再検証を踏まえ、雇用増対策など定住自立圏の取組の支援策を検討・実施する。

②集落生活圏の維持のための「小さな拠点」及び地域運営組織の形成

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<課題>
  • 人口減少や高齢化が著しい中山間地域等においては、一体的な日常生活圏を構成している「集落生活圏」を維持することが重要であり、将来にわたって暮らし続けることができるよう、①地域住民が主体となった集落生活圏の将来像の合意形成、②持続的な取組体制の確立(地域運営組織の形成)、③生活サービスの維持・確保、④地域の収入の確保のためのコミュニティビジネスの実施などの取組を進めるとともに、生活施設の集約・確保、周辺との交通ネットワーク等「小さな拠点」の形成を図ることが必要である。
<今後の方向性>
  • 地域に合った生活サービスや交通ネットワークの確保により「小さな拠点」の形成を図るとともに、地域運営組織の普及・拡大や活動内容の深化を図るなど持続的な地域づくりを推進する。
【対応の方針】
◎「小さな拠点」の形成の推進
  • 人口減少や高齢化の進展に対応し、住民生活に必要不可欠なサービスの効率的・効果的な供給体制を構築するため、「小さな拠点」を形成し、公民館等を活用して日常生活に必要な機能・サービスを集約・確保し、周辺集落との間を交通ネットワークで結ぶこと等により持続的な地域の形成を推進する。
  • そのため、地域の生活交通等の維持・利用環境の向上に当たって道の駅の活用等、官民連携の取組を推進するとともに、フォーラムや交流会の開催等により「小さな拠点」に関する取組の裾野を広げる。
◎地域運営組織の展開や活動の推進
  • 「地域の課題解決のための地域運営組織に関する有識者会議」において、地域運営組織の設立・展開の拡大、活動の深化、法人化等について検討を進め、成案を得る。
  • 地域の実情やニーズに対応して地域運営組織の法人化を促進するため、地域運営組織のNPO法人化に係る法解釈の周知徹底を含め、NPO法人や社団法人、認可地縁団体、株式会社などの各種制度の理解や法人格取得方法の周知を進めるとともに、更に使い勝手の良い制度・運用への改善について検討を進め、結論を得る。
  • 地域運営組織の形成及び持続的な運営が可能となるよう、資金について、会費・寄附・事業収益等の資金調達力の向上など、多様で安定した収入源の確保を図る。
  • 野生鳥獣の食肉(ジビエ)等の利活用、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機としたCLT[16]等の木材利用の拡大等、地域資源を活用したコミュニティビジネス等を推進する。
  • 地域運営組織の担い手等について、地方創生カレッジの活用や手引の作成等を通じ、内部人材の研修等による活用・育成及び地方への人材還流等による外部人材の導入を推進するとともに、地域のニーズに応じたファシリテーターなどの外部専門人材の紹介制度の拡充を図る。

Ⅳ.地域特性に応じた戦略の推進

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1.地域特性に応じた戦略・事業の強化の重要性

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 地方創生の一層の推進を図る観点から、過度な東京一極集中や人口減少の進行など地方創生をめぐる厳しい現状を踏まえ、これまでの取組に加え、地域特性に応じ、取組が遅れている課題について戦略・事業の強化を推進する。特に、①東京圏への若者の転出が多い道府県・市町村や、②今後急速な社会減及び自然減が予想される市町村について取組の強化が望まれる。

① 道府県や市町村(政令指定都市、市町村や県庁所在市を含む中核的な都市のほか、連携中枢都市圏や定住自立圏を形成する市町村。)では、東京圏等への大規模な転出が続いている。転出の多くは10代後半及び20代前半が占めることやUターン者が減少傾向にあることから、地域において魅力的なしごとを創出しつつ、若者の地方還流・地方定着やいわゆる人口のダム機能の発揮に向けた取組を強化していくことが重要である。
② 今後予想される人口減少のスピードは地域によって大きな差異があり、全国と比較して2倍以上のスピードで人口減少に直面する市町村が705団体にのぼる[17]。こうした地域では、人口減少に歯止めをかける努力とともに、将来における一定の人口減少に対応し、住民生活に必要不可欠な行政サービス等の効率的・効果的な供給体制を構築していくことが重要である。

2.「地域特性別モデルの形成」と「政策メニューの整備」

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 地域特性に応じた戦略・事業の強化のための支援としては、①地域特性別にモデルの形成を図るとともに、②地域特性別の共通課題に対応した政策メニューを整備していくことが考えられる。今後、国においては、出そろった「地方版総合戦略」及び事業の取組状況の調査分析や地方公共団体との意見交換を進め、その結果を踏まえつつ、以下のような2つの取組を進めていく。

(1)地域特性別モデルの形成
 危機感と意欲を持って取り組もうとする地方公共団体を対象に、地域しごと創生の指南者など外部有識者も参加の上、重点的に推進すべき戦略・事業を関係者が協働して策定し、地域の魅力を最大限引き出す取組を集中的・継続的に実施することにより、地域特性別の地方創生モデルの形成を目指す。
 こうしたモデル形成においては、「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環を作り出し、それを「まち」が支える観点から、「地域のしごと創生」のための日本版DMOや地域商社、イノベーション・コンソーシアムの形成、サービス生産性向上等の具体的な展開とともに、若者やプロフェッショナル人材の地方への還流や地元定着の促進、生涯活躍のまちなどの「地方へのひとの流れ」の創出や「働き方改革」、「稼げるまちづくり」に向けた取組など、地域特性に応じ各分野の施策の中から戦略的かつ有機的に組み合わせていく視点が重要である。
(2)地域特性別政策メニューの整備
 地域特性に応じて地方公共団体が直面する共通な課題を抽出し、その解決に取り組むための政策メニューを整備し、住民も参加した産官学金労言の連携体制を維持しつつ地方公共団体が幅広く活用できるよう支援する。
① 若者の転出が多い地域が共通に抱える課題としては、例えば、地方から転出した学生等が地方企業で仕事を体験し、その魅力に触れて将来の地方就職を選択肢に入れる機会の強化や、地方就職を支援する奨学金制度の普及・活用の強化、勤務地限定正社員の普及、女性活躍の推進などに包括的かつ一体的に取り組む地域の実情に応じた働き方改革の推進が挙げられる。
② 今後急速な社会減及び自然減が予想される市町村が共通に抱える課題としては、例えば、都市のコンパクト化に向けた取組や、公共施設等総合管理計画や立地適正化計画等による公共施設の集約化・複合化及びその後の利活用のほか、中山間地域等における住民参加による地域運営組織等の活動等を通じた日常生活に必要な機能・サービスの集約・確保に向けた取組が挙げられる。

Ⅴ.地方創生に向けた多様な支援(地方創生版・三本の矢)

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 地方創生は国による全国一律の取組ではなく、地域ごとに異なる資源や特性を地方自らがいかし、それぞれ異なる課題に対応することで、人口減少を克服する取組である。地方公共団体が各自の戦略に沿って施策の企画立案、事業推進、効果検証を進めていくに当たり、情報面・人材面・財政面から国は伴走的な支援を続ける。

1.情報支援

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<これまでの取組>
  • 平成27年4月より、地域経済に関する官民のビッグデータを分かりやすく「見える化」した、RESASを提供している。これにより、地域の現状や課題の把握、強み・弱みや将来像の分析、基本目標やKPIの設定、PDCAサイクルの確立に活用することで、地方公共団体や民間企業や住民・NPO等の地方創生の取組を情報面から支援している。RESASの普及促進のため、全国10地域で3,500名以上を集めた「地方創生☆RESAS地域セミナー」、全国の都道府県から907件の応募を集めた「地方創生☆政策アイデアコンテスト」等を開催し、地方公共団体のみならず、広く地域住民のRESAS活用も進んできている。
【今後の取組方針】
  • RESASを活用した情報支援については、ワンストップで、地方公共団体及び地域住民に対する広報・普及、官民ビッグデータの活用支援、要望に基づく開発・改善及び利便性の向上等を進める。
  • 普及面では、地域住民がRESASを通じて地域活性化の取組や政策アイデアの提言、地域学習等に積極的に取り組むため、「いつでも・どこでも・だれでも」RESASを学ぶことができるeラーニング制度を立ち上げるとともに、高いレベルでRESASを活用し、地域課題を議論できる専門人材(RESASマスターズ)を育成する。また、高校・大学で活用できる教材も作成し、地域の将来を担う若者に対して、地域学習やデータ分析能力の向上を図る。
  • 活用面では、地域が有する様々なビッグデータを活用し、新たなビジネスの創出を通じて地域課題を解決するため、積極的に官民ビッグデータを公開していくとともに、地域ビッグデータとの組み合わせを容易にするRESASの新しい機能を提供する。
  • 開発・改善面では、まちづくりや医療福祉等の新たな分野に関するデータの搭載、マッシュアップ(複数のデータの重ね合わせ)機能やダッシュボード(利用者に応じた画面構成)機能の追加、及び他のブラウザや情報機器端末での利用を可能とするような改善等を行っていく。

2.人材支援

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<これまでの取組>
  • 平成27年12月に公表した「地方創生人材プラン」において、地方創生人材を官民協働で体系的に確保・育成してくための課題や方策を取りまとめた。また、同プランに基づき、平成27年度補正予算で措置された「地方創生カレッジ事業」の実施主体を決定し、地方創生を担える人材を育成するプログラムを実施している養成機関(大学や民間事業者)のプラットフォームを立ち上げた(本年5月)。
  • 地方創生人材支援制度により、地方創生に積極的に取り組む市町村に対し、意欲と能力のある国家公務員・大学研究者・民間人材を市町村長の補佐役として派遣し、地域に応じた処方箋づくりを支援している。平成28年度の派遣では、市町村の応募期間の長期化や民間人材の募集対象の拡大等を実施し、58市町村に58名(国家公務員42名、大学研究者3名、民間人材13名)派遣した。その際、市町村の派遣希望に応え民間人材の派遣者数増等を実現した。
  • 地方創生コンシェルジュは、地方公共団体が地方創生の取組を推進する際の相談窓口として、当該地域に愛着や関心を持ち、意欲ある各府省庁の職員を選任する制度として創設され、地方公共団体からの相談に対して、前向きに具体的な提案ができるよう、親切・丁寧・誠実な対応に努めている。
【今後の取組方針】
  • 地方創生人材に必要とされる実践的なカリキュラムを、地方公共団体等へのニーズ調査を行った上で策定するとともに、それに沿った学習コンテンツを、関係者と協力しつつeラーニング形式で幅広く提供していく。また、地方創生に関する人材の養成機関等を集めたプラットフォームを構築し、地方創生人材についての情報発信の強化、気運醸成等を図る。
  • 地方創生人材支援制度については、引き続き、制度の周知等を図るとともに、本制度により派遣された人材の取組内容についての周知を図る。
  • 各地方創生コンシェルジュに対し、引き続き、地方創生に関する施策等の情報提供を行うとともに、地方公共団体に対し、地方創生コンシェルジュの活用状況等に関する意見を聞きつつ、充実した相談対応を行う。

3.財政支援

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<これまでの取組>
  • 平成27年度に続いて平成28年度においても、地方財政計画の歳出に「まち・ひと・しごと創生事業費」を1兆円計上した。
  • 平成26年度補正予算に計上した地方創生先行型交付金の基礎交付により全ての地方公共団体の取組を先行的に支援しつつ、同交付金の上乗せ交付により官民協働・地域間連携・政策間連携の観点から先駆性のある取組を支援した。また、平成27年度補正予算に計上した地方創生加速化交付金により、特に「しごと」の創生に重点を置きつつ、地方公共団体の取組のレベルアップを支援した。
  • 地域再生法を改正し、地方公共団体が複数年度にわたり取り組む先導的な事業を安定的・継続的に支援することとし、平成28年度予算に地方創生推進交付金を創設するとともに、地方公共団体が行う地方創生の取組に対する企業の寄附について税額控除の優遇措置を講じる地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)を創設した。
【今後の取組方針】
  • 地方創生推進交付金を活用し、KPIを設定し外部有識者の意見聴取等を伴う効果検証を求めつつ、先導的な地方公共団体の取組を支援する。
  • 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)について、地方公共団体に対して、自らの地方創生の取組を企業に対してアピールし、制度を積極的に活用するよう促すとともに、企業に対しても、制度内容の周知を図る。

脚注

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  1. 総務省「平成27年国勢調査人口速報集計結果」(平成28年2月26日)。
  2. 厚生労働省「平成27年人口動態統計月報年計(概数)」(平成28年5月23日)。
  3. 総務省「住民基本台帳人口移動報告平成27年(2015年)結果」(平成28年1月29日)。
  4. 総務省「平成27年国勢調査人口速報集計結果」(平成28年2月26日)。
  5. 住民基本台帳の人口移動のデータに基づき、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局において作成。
  6. Destination Management/Marketing Organizationの略。様々な地域資源を組み合わせた観光地の一体的なブランドづくり、ウェブ・SNS等を活用した情報発信・プロモーション、効果的なマーケティング、戦略策定等について、地域が主体となって行う観光地域づくりの推進主体。
  7. Regional Economy (and) Society Analyzing Systemの略。地方公共団体の「地方版総合戦略」の策定及び実行を情報面から支援するため、官民が保有する産業、人口、観光等の地域経済に係わる様々なビッグデータを「見える化(可視化)」したもの。
  8. 国連の専門機関World Tourism Organizationの略。国連世界観光機関
  9. Tourism Improvement Districtの略。観光産業改善地区。
  10. 産官学金等から構成される協議会。大学等の技術力に関する目利き力、地域金融機関の有する企業に関する情報をいかすなどして、優れた技術等を有する地域企業を発掘・支援することを目的とする。
  11. Business Improvement Districtの略。米国、英国等における制度で、主に商業地域において地域内の資産所有者・事業者が、地域の発展を目指して必要な事業を行うための組織と資金調達等について定めたもの。
  12. Internet of Thingsの略。日本語で「モノのインターネット」とも言われる。あらゆる物がインターネットにつながるための技術、新サービスやビジネスモデルを指す。
  13. 平成20年~24年の市町村(特別区を含む。)別の出生率では、1.80以上が120団体、うち2.00以上が27団体(人口置換水準である2.07以上が16団体)ある一方で、1.00未満が12団体となっている。(厚生労働省「平成20年~平成24年人口動態保健所・市区町村別統計」による公表値(小数点以下2桁まで)により集計したもの。)
  14. 例えば、福井県では、従業員の子ども数が多い企業は、子育て支援に理解があり、従業員が子育てしやすい職場環境にあるとの考えから、平成23年度から全国に先駆け、「企業の合計特殊子宝率(愛称:企業子宝率)」の調査を県内の事業所を対象に実施している。そして、企業子宝率、子育て支援の取組がともに評価できる企業を「子育てモデル企業」として認定し、認定マークの使用や福井県の補助事業等選定における加点・県融資制度における優遇などの支援を実施している。
  15. 地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民・事業主・地権者等による主体的な取組のこと。「良好な環境や地域の価値の維持・向上」には、快適で魅力に富む環境の創出や美しい街並みの形成、資産価値の保全・増進等に加えて、人をひきつけるブランド力の形成や安全・安心な地域づくり、良好なコミュニティの形成、地域の伝統・文化の継承等、ソフトな領域のものも含む。(国土交通省「エリアマネジメント推進マニュアル」(平成20年3月)より)
  16. Cross Laminated Timberの略。直交集成板。ひき板を繊維方向が直交するように積層接着した木材製品。
  17. 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)」における平成22年(2010年)から平成52年(2040年)への総人口の変化率(減少率)でみた場合。対象とした団体数は1683(776市、715町、169村及び東京23区(特別区))であり、福島県内の市町村は含まれていない。
 

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