政府関係機関移転基本方針

(平成28年3月22日 まち・ひと・しごと創生本部決定)

政府関係機関移転方針

 まち・ひと・しごと創生本部においては、「まち・ひと・しごと創生総合戦略(平成26年12月27日閣議決定)」に基づき、東京一極集中を是正する観点から、政府関係機関の地方への移転について検討を行ってきた。

 今回の取組は、道府県等からの提案を踏まえ検討を行うものであり、これまで平成27年12月18日に「政府関係機関の地方移転に係る対応方針」(以下、「移転対応方針」という。)を取りまとめ、その後、「移転対応方針」及び「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2015改訂版)(平成27年12月24日閣議決定)」に基づき検討を重ねてきた。

 検討に当たっては、その機関が地方に移転することによって、①地方創生の視点から、地域の「しごと」と「ひと」の好循環につながるか、②当該機関のミッションを踏まえ、全国を対象とした国の機関としての機能の維持・向上が期待できるか、③「なぜ、そこか」について移転先以外を含めた理解が得られるか、④地元の自治体・民間等の協力・受入体制はどうか、といった点について、国の新たな財政負担は極力抑制し、組織・人員の拡充方向が出されているもの以外は肥大化を抑制することを前提に、有識者の意見も聞きながら、できるだけ道府県等の立場に立って検討を行い、以下の方針を取りまとめた。

I.研究機関・研修機関等の地方移転について

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1.基本方針

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 研究機関・研修機関等の地方移転については、「移転対応方針」において示された以下の考え方に基づき、同日に有識者から示された「政府関係機関の地方移転について-対応方針取りまとめに当たって-」を踏まえつつ、関係者間(提案道府県、関係市町村、地元大学・研究機関等と、関係府省庁、対象機関等)で更なる検討を進めた結果、別紙1のとおり成案を得た。

(1)研究機関

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 それぞれの機関のミッションを踏まえ、地域イノベーション創出の可能性や研究成果の地域産業への波及が期待できるかとの観点から、国の機関としての機能を維持・向上することができるかという点を勘案しつつ検討を行った。

 具体的には、「移転対応方針」に基づき、①研究機関や研究者の能力や民間の技術力の現状・今後の見通し、②移転先における産学連携体制、研究施設の整備状況、地元自治体の支援体制等を踏まえて、その地に移転することにより、地域の公設試験研究機関、大学、民間との連携による地域イノベーションの創出が期待できるかの観点を基本としつつ、その地域のみならず国全体として研究能力の確保・向上が見込めるもの(研究分野・内容等を個々具体に検討)については、移転に伴う懸念事項(研究集積のメリットの喪失、現在の研究連携の喪失、優秀な研究者の流出、コストの増大等(特につくばの研究機関においては、この観点を重視))に留意しながら、機能の移転の様々な方法についても検討した。

(2)研修機関等

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 それぞれの研修等の目的・対象ごとに、研修の効果及び効率性を損なわないことができるかとの観点を基本としつつ、研修をその地で行うことによる研修への付加価値等を勘案して検討した。

 具体的には、主に中央省庁の職員を対象として当該省庁職員が講師となることが多い研修等については、当該省庁の近隣以外の立地で効果・効率の確保・向上は期待しにくい一方、研修等の対象者として、全国から受講生を集めるものについては、受講者の利便性が著しく損なわれないこと、研修効果を維持できるだけの講師が確保できること(講師の利便性が著しく損なわれないこと)の観点を基本とし、その地域ならではの研修内容(全国的にみて優れた取組として認知され、かつ全国に汎用性のあるもの)を勘案して検討した。

 また、研究機器や特殊な施設を必要とする研修等については、地域において研修等に必要な施設の用意があるものについて移転の具体化を検討した。

 なお、全部移転が適当でない場合においても、自治体・民間等の協力・受入体制の用意等により国費の増嵩を抑制しつつ、その地域ならではの価値の高い研修内容の説明が可能なものは、地方での研修等の一部実施の具体化について検討した。

2.今後の進め方

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(1)地方創生推進交付金等の活用

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 研究機関については、今回の取組により創設される地方拠点を核とした地域イノベーション創出や研究成果の地域産業等への波及効果が得られることが、また、研修機関等についてはその地域ならではの研修等を地域で行うことで地方創生につながることが重要である。

 このため、平成28年度からの導入が予定されている「地方創生推進交付金」(地方公共団体の自主的・主体的な取組で、先導的なものを支援するため、官民協働、地域間連携、政策間連携等による地域イノベーションや地方創生推進人材育成等の取組を推進することを目的としている)等の運用に当たっては、今般の研究機関・研修機関等の地方移転の取組を、地域イノベーションの好循環の形成等につなげていくよう配慮する。

(2)年次プランの作成とフォローアップ

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 研究拠点等の設置は、それ自体がゴールではなく、むしろ取組のスタートであり、今後、具体化を進める中で、地域間連携や政策間連携を図り、地方創生推進交付金等を活用しながら将来的な地域イノベーション等の実現を見越した体制・内容を拡充していくことが重要である。

 このことを踏まえ、研究機関・研修機関等については、基本方針を決定した後、更に関係者間において検討を進め、平成28年度内に、それぞれの取組において、規模感を含めた具体的な展開を明確にした5年から10年程度の年次プランを関係者間で共同して作成する。また、地域イノベーションの進展等、今般の地方移転の取組について、政府において定期的に適切なフォローアップを行う。

 なお、「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2015改訂版)(平成27年12月24日閣議決定)」に盛り込まれた「今後の政府関係機関の新設に当たっては、真に東京圏内での立地が必要なものを除き、東京圏外での立地を原則とする。」ことについても、政府において適切にフォローアップを行う。

II.中央省庁の地方移転について

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1.基本方針

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 中央省庁(府県から中央省庁と一体として移転を提案されている独立行政法人を含む)の移転については、以下の基本的視点から検討を進め、別紙2のとおり成案を得た。今後、この基本方針に沿って取組を進め、その進展について適切なフォローアップを行うものとする。

(1)地方創生の視点

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 地方移転が、移転先の地域を含め我が国の地方創生に資するかどうか。

(2)国の機関としての機能確保の視点(注)

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 地方移転によって、機能の維持・向上が期待できるか。

①地方移転によって、現在と同等以上の機能の発揮が期待できるか。
②「なぜ、そこか」について、移転先以外を含めた理解が得られるか。
③危機管理等官邸をはじめ関係機関との連携や国会対応に支障が生じないか。
④当該機関の効率的な業務運営や国民に対する行政サービスの低下を招かないか。

(3)移転費用等の視点

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①地方移転によって、過度な費用の増大や組織肥大化にならないか。
②地元の協力・受入体制が整っているか。

(注)「国の機関としての機能確保の視点」に関する検討について

 中央省庁については、1.(2)の「国の機関としての機能確保の視点」から、以下のとおり業務内容に応じた検討を行った。
①「危機管理業務」、「外交関係業務」及び「国会対応業務」について
  • 中央省庁は、内閣の統轄の下、国が果たすべき役割について、総合性、機動性を持ち、重点的かつ効率的に行政事務を遂行することが求められることから、官邸をはじめ関係省庁に近接した地域に立地しており、特に、「危機管理業務」や「外交関係業務」は、官邸からの指示を受け、迅速かつ密接に連携を図り業務を遂行することが強く求められる。
  • また、行政権の行使に関し、国会に対して連帯して責任を負う内閣の下にある中央省庁の「国会対応業務」(議案の提出、答弁、説明等)は、我が国の憲法上の要請に基礎を置くものであり、国会運営に支障が生じることがないよう十分な留意が必要である。
②「政策の企画・立案業務」について
  • 法案作成等の「政策の企画・立案業務」については、政府全体の調整が必要とされる場合が多く、官邸、関係省庁から遠隔の地に所在する場合には、これらの業務の適切な遂行が困難となる場合があることに留意する必要がある一方、「施策・事業の執行業務」と密接不可分な部門については、執行部門に近い立地とすることが適当である。
③「施策・事業の執行業務」について
  • 「施策・事業の執行業務」については、多くの省庁において地方支分部局等が担っているように、できる限り実施現場に近いところで実施されることが効果的・効率的である。したがって、地方創生の観点から、地方を対象とする「施策・事業の執行業務」、あるいは、執行業務と密接不可分な一定部門の「政策の企画・立案業務」については、地方移転を検討することは意義が大きい。また、既に地方支分部局等で事務を実施している場合は、この機能強化についてさらに進める必要があると考えられる。
  • 上記の具体的な検討に当たっては、当該機関の効率的な業務運営や全国に所在する関係者に対する行政サービスの低下を招かないようにする必要がある。このため、
(ア) 「なぜ、そこか」について、移転先以外を含めた理解が得られるかについて留意する必要がある。
(イ) ICT(テレビ会議等)活用による業務改善や地域の協力によって人材確保を含む機能確保が可能かどうかといった点について、実地における検証を含め検討を行う必要がある。
(ウ) 移転費用等の視点から、地方の協力も得ながら、移転に伴うコストを極力低減することや拡充方向が出されているもの以外の組織の肥大化を避けるための工夫について積極的な検討が必要である。
(エ) 移転先となっている地元の協力・受入体制が整っているかについて、留意する必要がある。

2.国の機関としての機能発揮の検証(社会実験)

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 今回の政府関係機関の地方移転の取組は地方からの提案を受ける形で実施したが、これとは別次元の取組として、民間でみられるような、ICTを活用したテレビ会議やテレワーク等を通じた業務実施の試みを更に進め、国家公務員全般にわたる従来の業務形態を見直すことは、地方で実施可能な業務範囲の拡大の可能性という地方創生の視点にとどまらず、国家組織のあり方や行政改革の視点から意義が大きいと考えられ、働き方改革にもつながるものである。

 このため、地方創生の視点のみならず、国家組織のあり方や行政改革、働き方改革の視点に立って、国の機関における業務について、SNSの普及に見られるようなICTの進展を踏まえ、テレビ会議やテレワークその他最新のICT等も活用した実証実験に政府全体で取り組む。

 こうした取組の先行的実施として、文化庁、消費者庁及び統計局においては、地元の協力・受入体制の意向を確認しつつ、テレビ会議などのICT活用等を通じ、機能発揮の可否や具体的な課題など地方移転のメリット・デメリットについて検証を行いながら検討を進める。この先行的実施の状況を見つつ、各省庁も参加して試行することとし、新しい時代にふさわしい国家組織のあり方や行政改革、働き方改革について検討し、成案を得る。

別紙1

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別紙1


別紙2

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別紙2

文化庁の移転について(京都府提案)

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(1)地方創生の視点

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 文化庁が京都府に移転することは、以下の理由により極めて意義が深い。①文化財が豊かで伝統的な文化が蓄積した京都に移転することにより、文化行政の企画立案の更なる強化や国際発信力の向上が期待できること、②京都に文化政策による求心力と発信力を持たせることにより、今後の我が国の観光振興の重要戦略の一つである文化財を活用した観光の強化推進が期待できること、③グローバル化の時代、政治・経済、マスメディアが東京に集中する中で、地方創生のためには、地方の多様な文化への誇りの確保とその活用が求められており、文化の多様性の確保が重要であることから、地方創生の視点からみて意義は大きい。

(2)国の機関としての機能確保の視点

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① 文化庁は施策・事業の執行業務が一定規模を占めており、しかも地方支分部局等の地方関係機関を有していない。これらの業務については、現場に近いところで実施する視点から、ICTの活用等による業務の効率性や他の地域からのアクセスも考慮しつつ、移転する方向で具体的に検討することが適当である。特に、京都及び関西に多数が集積している文化財関係業務については、地域の文化資源を活用した観光振興・地方創生など今後拡充が見込まれる業務を勘案すれば、移転の効果は大きいと考えられる。
② 政策の企画・立案業務については、移転する執行業務と密接不可分に行うことが効率的な業務の移転について、併せて検討することが適当である。
③ 文化庁は予算規模・人員とも文化財行政の比重が大きいが、これ以外の文化行政についても、一体として実施することが効果的であるものは移転することが適切と考えられる。なお、移転する組織の範囲や東京の部局との連携の方法については、ICTの活用等による実証実験等を活用して、検討することが考えられる。

(3)移転費用等の視点

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 文化庁の移転に伴う費用については、京都側が土地の提供や庁舎建設費用についての応分の負担をする意向が示されている。国としても、行革の観点を踏まえつつ、具体的な移転費用の検討や機能強化を図るため、今後、内閣官房及び関係省庁において具体的な協議を進めていく必要があると考えられる。

(4)具体的な対応方向

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 文化庁については、以下のような方向で進める。

○ 外交関係や国会対応の業務、政策の企画立案業務(関係省庁との調整等)の事務についても現在と同等以上の機能が発揮できることを前提とした上で、地方創生や文化財の活用など、文化庁に期待される新たな政策ニーズ等への対応を含め、文化庁の機能強化を図りつつ、全面的に移転する。このため、抜本的な組織見直し・東京での事務体制の構築や移転時期、移転費用・移転後の経常的経費への対応などを検討するための「文化庁移転協議会(仮称)」を文部科学省と内閣官房、関係省庁の協力の下、政府内に設置する。ICTの活用等による実証実験を行いつつ、8月末をめどに移転に係る組織体制等の概要をとりまとめ、年内をめどに具体的な内容を決定し、数年の内に京都に移転する。なお、文化関係独立行政法人は、上記と並行して、検討を進める。
注:文化関係独立行政法人とは(独)日本芸術文化振興会、(独)国立美術館、(独)国立文化財機構である。

消費者庁等の移転について(徳島県提案)

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(1)地方創生の視点

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 消費者庁等が徳島県に移転することは、徳島をはじめ近畿、西日本の地方創生に資するという点で一定の意義が認められる。その一方、移転によって消費者庁等が同等以上の機能を発揮できるか、行政サービスの低下を招かないか、「なぜ徳島か」について他の地域の理解が得られるかという視点からは、徳島県への移転による具体的なメリットについて明らかにする必要がある。

(2)国の機関としての機能確保の視点

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① 消費者庁は施策・事業の執行業務が一定規模を占めており、しかも固有の地方支分部局等の地方関係機関を有していない。これらの業務については、現場に近いところで実施する視点から、消費者安全業務や各省庁との調整を要する業務を含めすべての執行業務について、業務の効率性や他の地域からのアクセスも考慮しつつ、ICT の活用等を含めて機能の維持・向上の可否について今後検証を行い、移転について検討することが適当である。
② 政策の企画立案業務については、移転する執行業務と密接不可分に行うことが効率的な業務の移転について、併せて検討することが適当である。
③ 消費者庁は、食品等に関する危機管理業務や大臣庁として国会対応業務のほか、関係府省間における消費者行政の司令塔としての機能を期待されている。これらについても、上記の検証を踏まえ、検討することが適当である。
④ 消費者庁は、相当数の週五日勤務の非常勤職員も含め様々な専門的人材に支えられている。消費者行政の機能の維持・向上のため、徳島県において、必要となる専門的人材が確保可能か検討することが適当である。

(3)移転費用等の視点

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 消費者庁等の移転に伴う費用については、仮に移転する場合の組織規模や人員を現時点では見通すことが困難であることから、移転の基本方向が定まった時点で関係者において協議検討する必要があると考えられる。

(4)具体的な対応方向

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① 消費者庁については、施策・事業の執行に関する業務(執行業務と密接不可分に行うことが効率的な一部の政策の企画立案業務を含む。)について、現在進められている ICTの活用等による試行(地方移転のメリット、デメリット面について、東京にある場合との比較検証を行う。)等を行い、移転に向けて8月末までに結論を得ることを目指す。
② 消費者委員会及び(独)国民生活センターについては、上記の検証と並行して検証を行い、移転に向けて8月末までに結論を得ることを目指す。

総務省統計局の移転について(和歌山県提案)

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(1)地方創生の視点

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 和歌山県によれば、「和歌山大学においてデータサイエンティスト養成を強化する方針であり、統計局の移転により、これらの人材の育成・活用が図られ、関西におけるデータサイエンスの発展のほか、職員移住による人口増、衣食住の需要創出につながり、地域経済への好影響が期待でき、将来的には雇用者数の増加につながる。」とされている。一方、統計局の機能確保、他地域の理解という視点から、和歌山県への移転による具体的なメリットを明らかにする必要がある。

(2)国の機関としての機能確保の視点

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① 統計局は地方支分部局等を有していないが、統計調査の業務執行の多くは地方公共団体が担っている。また、本年4月には統計委員会が総務省に移管され、政府統計の中枢機能を総務省に集約し、政府統計の精度向上に取り組むこととしており、その中で、統計局・統計研修所・(独)統計センターによる積極的な各府省の統計担当部門への支援が求められている。一方、統計は国民共有の財産であり、統計データ利活用の促進は、今後、地方公共団体等と連携して全国的に取り組む必要があり、国の機関としての機能確保という条件を満たせば、地方実施の選択肢となり得る。そこで、受入先の協力や体制整備を前提に、地方実施の具体的なメリット・デメリットを明らかにすべく、ICT の活用等を図りつつ、地域特性と統計行政のミッションとの相乗効果、機能確保の可否等について今後検証を行い、移転について検討することが適当である。
② 検討対象となる統計データ利活用の促進と密接不可分に行うことが効率的な企画立案業務については、政府統計の機能集約方針及び精度確保・向上の観点を踏まえつつ、併せて移転について検討することが適当である。

(3)移転費用等の視点

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統計局の移転に伴う費用については、仮に移転する場合の組織規模や人員を現時点では見通すことが困難であることから、移転の基本方向が定まった時点で関係者において協議検討する必要があると考えられる。

(4)具体的な対応方向

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① 統計局については、統計データ利活用に関する業務の地方実施について、受入先の協力や体制整備を前提に、ICTの活用等を図りつつ、地域のユーザー、研究者、データサイエンスに関する蓄積との連携、人材確保、利便性等について実証実験を行い、8月末までに結論を得ることを目指す。
② (独)統計センターは、上記の検証と並行して、受入先の協力や体制整備を前提に、統計データ利活用に関する業務についての検証を行い、8月末までに方向性を決定することを目指す。

特許庁の移転について(大阪府、長野県提案)

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(1)地方創生の視点

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 特許庁は特許等の審査を行うとともに、外国との調整を図ること等を主たる任務とする機関である一方、関連独立行政法人である「(独)工業所有権情報・研修館」とともに、知的財産の保護・活用の推進を図る機関であり、大阪府又は長野県に移転することは、近畿や西日本又は長野県における知的財産の保護・活用の推進に資するという点で一定の意義が認められる。

(2)国の機関としての機能確保の視点

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① 特許庁は事業の執行業務がかなりの規模を占めている。ただし、審査業務(申請はほぼ全て電子申請であり、申請者との対面は殆どなく、特許申請の場所は問題とならない)を担う審査官は現在でも不足がちであり、その人員増強は極めて難しく、民間のサーチャーの支援も得ながら審査速度を確保している状況にある。また、審査部門のバックアップ体制の確保については、現状においても一定の取組(東京外でのバックアップデータの保管、西日本の「出願受付バックアップセンター」の設置等)がなされている。こうしたことから、特許庁の審査部門(一部を含めて)の地方移転は現状では困難であると考えられる。 一方、地域企業に対する知財に関する支援業務の充実を目指す観点からは、「(独)工業所有権情報・研修館」におけるワンストップサービス化等の推進を図るべきと考えられる。特に、近畿における特許出願件数の多さや事業所の集積度の高さなどから、大阪府において近畿の地方拠点を整備することは意義が大きい。
② 執行業務と密接不可分に行うことが効率的な政策の企画立案業務については、特許庁の執行部門が移転しないことから、今回の移転検討対象とはしない。

(3)移転費用等の視点

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 特許庁については、「(独)工業所有権情報・研修館」の地方拠点の強化に要する費用等について、不必要なコスト増大等を招かないように、今後関係者において具体的な協議検討を進めていくことが考えられる。

(4)具体的な対応方向

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 特許庁については、以下のような方向で進める。

○ 「(独)工業所有権情報・研修館」の近畿地方におけるワンストップサービス化等の推進に向けた体制整備について、各府県における知財総合支援窓口を抜本的に底上げする近畿地方の統括拠点を整備する方向で、8月末までに具体的な結論を得る。

中小企業庁の移転について(大阪府提案)

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(1)地方創生の視点

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 中小企業庁が大阪府に移転することは、大阪をはじめ近畿や西日本における中小企業行政の推進に資するという点で、一定の意義が認められる。

(2)国の機関としての機能確保の視点

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① 中小企業庁においては、地方関連の執行業務は地方支分部局である経産局において実施されている。一方で、本庁においては、他省庁が所掌する業界を横断し、全国視点での中小企業政策の企画立案業務を主に行っているが、こうした業務については、地方移転を行った場合、機能の維持・向上が期待できないものと考えられる。このため、地方創生に資する地方関連の執行業務の推進の観点からは、経産局のワンストップサービス化等の推進に向けた機能強化を図るべきと考えられる。 ② 政策の企画立案業務については、中小企業庁の執行業務を担う組織が移転しないことから、今回の移転検討対象とはしない。

(3)移転費用等の視点

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 中小企業庁については、地方支分部局である近畿経済産業局の地方拠点としての強化に要する費用等について、不必要なコスト増大等を招かないように、今後関係者において具体的な検討を進めていくことが考えられる。

(4)具体的な対応方向

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 中小企業庁については、以下のような方向で進める。

○ 近畿経済産業局でのワンストップサービス化等の推進に向けた体制の充実・強化について、地域中小企業の実態把握機能を抜本的に強化するための体制を整備する方向で、8月末までに具体的な結論を得る。

観光庁の移転について(北海道、兵庫県提案)

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(1)地方創生の視点

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 観光庁が兵庫県に移転することや北海道において地方運輸局における観光行政機能の拡充を図ることは、近畿又は北海道を中心とした観光行政の推進に資するという点で、一定の意義が認められる。

(2)国の機関としての機能確保の視点

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① 観光行政において、地方関連の業務は地方支分部局である地方運輸局を中心に実施されている。一方で、観光庁本庁においては、観光行政における政府全体の司令塔として、全国視点での観光政策の企画立案業務を主に行っているが、こうした業務については、地方移転を行った場合、機能の維持・向上が期待できないものと考えられる。このため、地方創生に資する地方関連の業務の推進の観点からは、地方運輸局のワンストップサービス化の推進に向けた機能強化を図るべきと考えられる。
② 政策の企画立案業務については、観光庁の執行業務を担う組織が移転しないことから、今回の移転検討対象とはしない。

(3)移転費用等の視点

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 観光庁については、地方支分部局である地方運輸局の地方拠点としての強化に要する費用等について、不必要なコスト増大等を招かないように、今後関係者において具体的な検討を進めていくことが考えられる。

(4)具体的な対応方向

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 観光庁については、以下のような方向で進める。

○ 地方運輸局においては、新たに関係省庁の地方支分部局をメンバーとする「観光立国地方ブロック戦略会議」(仮称)を設置・運営して連携を強化し、各省庁に跨る課題であっても迅速に解決を図る等、地域における観光行政のワンストップサービス化を推進することとし、そのために必要な機能の拡充・強化のための体制を整備する方向で、8月末までに具体的な結論を得る。

気象庁の移転について(三重県提案)

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(1)地方創生の視点

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 三重県によれば、「気象庁が三重県に移転することは、気象状況・防災対策に関する研究の充実等が期待できる。」とされている。その一方、気象庁の機能確保という視点からは、三重県への移転による具体的なメリットが定かではない。

(2)国の機関としての機能確保の視点

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 気象庁は事業の執行業務がほとんどであるが、これらの業務は大規模な自然災害発生時における政府としての危機管理体制の実施に不可欠なものである等、危機管理に係る事務である。また、地域における気象状況の把握、防災対策の支援については、地方気象台が主として担っている。こうしたことから、気象庁の移転については検討対象外とすることが適当である。 なお、必要に応じ、三重県と協議し、津地方気象台における防災支援等の機能の充実強化について検討をすることが考えられる。

(3)移転費用等の視点

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 津地方気象台における防災支援等の機能の充実強化については、三重大学等と連携し、どのような形で不必要なコスト増大等を招くことがない形で行っていくことが適当か、今後関係者において具体的な検討を進めていくことが考えられる。

(4)具体的な対応方向

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 気象庁については、以下のような方向で進める。

○ 津地方気象台における防災支援等の機能の充実強化について、三重県やみえ防災・減災センター、その他地域の関係機関と協議し、三重県の防災人材育成や住民に対する安全知識の普及啓発の推進等について、8月末までに具体的な結論を得る。
 

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