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だい四十三くわ 罪 源ざいげん

246●ことおほくのつみみなもとるものがある

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ります、傲慢がうまん貪欲どんよく嫉妬しっと邪淫じゃいん貪食どんしょく憤怒ふんど怠惰たいだであって、これなゝつ罪源ざいげんひます。

罪源ざいげん

とは、つみみなもとである。「かぬたねへぬ」とはへ、土地とちにも、かぬでも種々いろゝゝ様々さまゞゝわるたねがあって、自然しぜんいばらあざみ雑草ざっさうしきりはびこり、中々なかゝゝ根絶ねだやされず、油断ゆだんなくこれ一々いちゝゝ抜取ぬきとらぬなら、折角せっかく作物さくもつでもこれおほはれてしまことは、田畑たはたはたらひと皆能みなよってところである。てう其如そのごとひと生付うまれつきわるかたむきがあって、そればかりならつみではないが、つみるのはこれまかせて天主てんしゅそむことときだけで、しか大罪だいざいるのは大事だいじおよときだけである。唯若たゞもいましめぬならば益々ますゝゝひどって、おほくのつみるものである。人皆ひとみな多少之たせうこれってるが、おのゝゝおもるものを主悪しゅあくなづける。

247◯傲慢がうまんとはなにであるか

傲慢がうまんたかぶってひと見下みさげることであります。

たかぶ

とは、おのれ当然あたりまへよりたかくし、ったものみせびらかし、

[下段]

似合にあはぬほまれ余計よけいむさぼ事等ことなどである。

ひと見下みさげる

とは、ひととく功績てがらくさし、自分じぶんよりはおとったものつまらぬもの軽蔑けいべつすることなどである。

ちゅうおれつよい、うつくしい、才子さいし金持等かねもちなどおもふのも、よろこぶのも、実際じっさいであれば傲慢がうまんではない当然あたりまへである。傲慢がうまんるのは、(一)うでないのにおもふて自慢じまんすること、(二)天主てんしゅ庇蔭おかげであるのにおのれとくおもこと(三)天主てんしゅ感謝かんしゃするはずなのに感謝かんしゃせず、(四)ほまれ天主てんしゅせずしておのれむさぼり、(五)ほどわきまへず程度ていど以上いぜうほこことである。当然あたりまへほまれのぞむのも、競争けうさうして不負気まけぬきり、ひとちたいとおもふのも、叉優等またゆうとうことよろこぶのも傲慢がうまんではない、資格しかくのないのに、何処どこでも何時いつでも、頭立かしらだちたいとおもふのは傲慢がうまんる。傲慢がうまんすべてのあくって、それからおもせうずるは(一)虚栄心きょえいしんすなは無駄むだことほここゝろ、(二)我侭わがまま自負じふ自慢じまん不従順ふじうじゅん強情がうぜう不信仰ふしんかう不信心ふしんじん(三)偽善ぎぜんって、められるために、こゝろからおこらぬぜんかざり、(四)大望たいもうとて、あまこととどかうとし、(五)叉人またひとかろんじ、そねみ、うらことなどである。

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傲慢がうまんはんするとく謙遜けんそんすなはへりくだりであって、けっしてうそでない、傲慢がうまんこそうそであるからつみる。謙遜けんそんわけせいパウロことばに、「なんぢってものもらはなかったがごとくにほこるぞ」と(コリント前書四。七)あるがごとし。それ謙遜けんそんおのとくみとめぬとことではない、るものはる、いものはいと、其長所そのてうしょみとめるととも短所たんしょをもわきまへて、長所てうしょ天主てんしゅ庇蔭おかげひと庇蔭おかげことかんがへ、おのれあたらぬほまれもとめず、すべきにし、おのれぶんとゞまことるのは本当ほんたう謙遜けんそん道理もっともである。

たゞ表向おもてむきばかりの謙遜けんそん本当ほんたう謙遜けんそんでない、(一)ほまれ拒絶きょぜつするがごとくにせ一層誉そうほめられるやうに工面くめんするのは偽謙遜にせけんそんである、(二)叉別またべっして「迂生うせい」とか「愚妻ぐさい」とか「豚児とんじ」とかふやうに、謙遜けんそんけて、実際じっさいひとくさことけっして謙遜けんそんでない、実際じっさい穿うがちてこそ謙遜けんそんふものである、イエズス、キリストのたまはく「すべみずかおごひとげられみずかへりくだひとげられる」と(ル カ十四。十一)。

248◯貪欲どんよくとはなにであるか

貪欲どんよく金銭かねなどみだり

[下段]

をしみ、むさぼことであります。

貪欲どんよく

は、むさぼのぞむとで、貪吝だんりんとも貪婪だんらんともはれてある。

金銭かねなど

とは、金銭かねばかりでなく、財産ざいさん叉人またひとつねしがるたからである。

みだりをし

とは、金銭かね使つかはずところ使つかはず、しさのために、自分じぶんあるひ家族かぞく必要ひつえう相当さうたう食住しょくぢういて無理むりくるしめ、叉己またおのれ大事だいじ義務ぎむことである。吝嗇けちんぼう恪惜しはんぼうはれるのはそれである。

むさぼ

とは、唯欲たゞほしがるのではない、余計よけいに、無暗むやみのぞんで、こればかりを思込おもひこ其為そのためからぬことことである。

ちゅう金銭かねなどるから、これのぞむのも、其爲そのためしきりはたらくのも、おしむのも、もとより当然あたりまへである。それで「勤勉きんべん」とって、つとはげこと、「倹約けんやく」とって、一りんでも無駄むだ使つかはず、さきためめるのは、至極しごくことである。それはんして、「浪費らうひ」とって、げん種々しゅゞゝ様々さまゞゝ自他じた入用いりよう大層たいそうあるのに、無駄むだつかひ

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るのは、ほとんつみほどである。

しか金銭かねちさへすればいとわけにはかぬ、金銭かね目的もくてきもっ入用いりよう次第しだい使つかふべきものゆゑ納税なふぜい教育けういくばかりでない、施与ほどこし慈善じぜん事業じげふ国家こくか事業じげふ教会けうくわい費用ひようとうにもこゝろよ差出さしだし、これもっをはりなくむくいられるべき功績てがらはずである。

それ貪欲どんよくしゃ霊魂れいこんよりも金銭かね大事だいじがり、天主てんしゅをもかへりみずかねため御誡おんいましめそむき、聖日せいじつやぶり、肉身にくぜう利益りえきのみをはかり、叉人またひとあはれまず、施与ほどこしばかりか詐欺さぎ高利かうりがし訴訟そしょうなどし、また当然あたりまへばかりではらぬがごとくに、賄賂わいろなどり、瀆職とくしょくして、懐中ふところこや工面くめんまでするひとがあって、おほい人道じんだうやぶるのである。聖書せいしょに「偶像ぐうぞう崇拝すうはいなる貪欲どんよくころすべし」と(コロサイ三。五)あるが、かね我神わがかみとすることがあるからはれたのであって、世間せけん拝金主義はいきんしゅぎそれあたる。叉斯またかはれてある「あやまことなかれ、私通者しつうしゃも、偶像ぐうぞう崇拝者すうはいしゃも、姦淫かんいんしゃも、盗賊とうぞくも、貪欲者どんよくしゃも、かみくにざるべし」と(コリント前書六。九、十)。うか貪欲どんよくくらまされて、一とみため救霊たすかりうしなはず、

[下段]

本当ほんたうことのぞむならば、金銭等かねなど永遠えいゑん功績てがらため使用しようし、しんをはりなきとみるやうにはげまねばならぬ。

貪欲どんよくはんするとくは、心広こゝろひろくして物惜ものをしみせぬことで、生活せいくゎつ余分よぶんあるひ倹約けんやくしたものを、よろこんで貧窮人ひんきゅうにん難儀なんぎひとほどこし、教会けうくゎい国家こくか事業じげふ寄付きふする事等ことなどである。をしみなくさゝげれば百ばい天主てんしゅよりむくいられるに相違さうゐない。

249◯嫉妬しっととはなにであるか

そねみひとさいはひねたわざはひよろこことであります。

嫉妬しっと

叉嫉またそねみとも、ねたみともふ。

ひとさいはひねた

とは、うらやこゝろもっひと幸福しあはせかなしこと

わざはひよろこ

とは、うらために、ひと不幸ふしあはせ見聞みきゝして気味きみだとおもことである。

ちゅうひとさいはひかなしんでも、嫉妬しっとらぬこと度々たびゝゞある、たとへば競争けうさうするのに、ひとったことよろこばぬでもい。叉人またひと成功せいこうしたのは無理むりおもひ、あるひ天主てんしゅほまれらず、むしがいらうとおそれる時等ときなどである。嫉妬しっとるのは、其悲そのかなしみ自慢じまん

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ねたみからおこって、ひと成功せいこうもって、なんだか自分じぶん価値ねうちおとった、面目めんぼくさはるとおもふやうなときである。ひとわざはひよろこぶのも、大抵同たいていおな道理だうりで、天主てんしゅためひとためわけでなく、自然しぜんねたこゝろからときである。

嫉妬しっとよりせうずるがいは、おも不和ふわにくしみうらみ讒言ざんげんそしり喧嘩けんくわ叉人殺またひとごろし迄至までいたことがある。古代こだい義人ぎじんアベルあによりころされ、ヨゼフ兄弟けうだいからられ、イエズス、キリスト死刑しけいおこなはれたまふたのも嫉妬しっとわざである。

嫉妬しっとはんするとくあいであって、天主てんしゅ光栄くゎうえいひとがいせぬかぎりは、せいパウロが「よろこ人々ひとびとともよろこび、人々ひとびとともき」と(ロ マ 書十二。十五)おっしゃったごとく、同情どうぜうあらはことである。

250◯邪淫じゃいんとはなにであるか

邪淫じゃいんみだりいろこのことであります。

邪淫じゃいんことだい百八十六以下いかとひ説明せつめいしたが、罪源ざいげんうちれつせられるのは、非常ひぜう流行はやって個人こじん霊魂れいこん肉身にくしんがいするばかりでなく、家庭かていにも社会しゃくゎい一般いっぱんにもかぞへられぬほど害毒がいどくきたすからである。すなは邪淫じゃいんためからだけがされきずつき、花柳くゎりうべう肺労はいらうなど

[下段]

せうじ、心卑こゝろいやしくり、能力鈍のうりょくにぶり、元気抜げんきぬけ、職業しょくげうおこたり、財産ざいさんつぶし、めたいとおもっても邪欲じゃよく奴隷どれいってめられず、ひといさめ聞入きゝいれず、祈祷いのりこと秘跡ひせきさづかこといやがり、をしへとほざかり、つひ憫然あはれ生涯せうがいおくことおほいのはじつなげかはしい。ことどくなのは青年せいねんであって、元気げんきやしなひ、学業がくげふ家業かげふはげみ、おのれちてうるはしき青年せいねんり、つひ相当さうたう縁組えんぐみもっ円満ゑんまん家庭かていまうけるやうにつとめればいのに、それらず、しき朋友ともだち付合つきあひ、情欲ぜうよくほしいまゝにしてくずし、おやかなしませ、げふおこたり、つまらぬもの、きずものとるのはなによりいたましい。やうやめて子女こどもまうけたいとおもっても、かねてのきずものはきずものをせうずるほかなく、子孫しそんいたるまで害毒がいどくたねのこすのはまことおそろしい次第しだいである。

らぬやうに、わかあひだにはこゝろざしさだめ、そんことゆるされるときでないから、こゝろよりかされても、朋友ともだちからさそはれても、悪魔あくま誘惑いざなはれても、断然だんぜん固辞ことわり、婚姻こんいんするまで辛抱しんぼうして、邪欲じゃよくけぬやうに心掛こゝろがけ、祈禱いのり告白こくはく聖体拜領せいたいはいれうおこたらず、しきともあやふ便たよりけ、五くわんつゝしみ、邪欲じゃよくおさ

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ねばならぬ。これこそ本当ほんたう人物じんぶつり、価値ねうちあがり、純潔じゅんけつなる幸福しはわせおぼえ、また婚姻こんいんしてから天主てんしゅめぐみ潤沢じゅんたくいたゞみちである。

邪淫じゃいんはんするとく貞操ていそうであるが、独身者どくしんもの夫婦者ふうふもの其守そのまもり方異かたことなれど、必竟つまりみだらことふせぐにきまって、これまもみちすでだい百九十二のとひべたとほりであります。

251◯貪食どんしょくとはなにであるか

貪食どんしょくみだり飮食いんしょくたしなみ、すごことであります。

貪食どんしょく

は、しょくむさぼる、しょくすごすとの意味いみであって、こゝにとほりふたつことる。

(一)

飮食いんしょくたしな

とは、飮食のみくひく、このむとの意味いみであるが、もとより飮食いんしょくひもじさをふせぎ、ちから維持ゐぢするにえうするばかりでなく、よろこびあらはすにももちゐられるが、これたしなむのはけっしてつみでない。わるいのは

みだりたしな

ことで、余計よけいに、無理むり飮食いんしょくこのみ、たとへば嗜好及しこうおよび味覚みかく享楽けうらくのみのため飮食のみくひし、すきもの無暗むやみひたいみたいで、身代しんだい似合にあはぬかねそれため

[下段]

つひやし、片々がつゝゝ飮食のみくひすることである。

(二)叉悪またわるいのは

すご

ことで、これで十ぶんみとながら、わけもないのに余計よけい飮食いんしょくして、精神せいしん身体しんたいがいし、職務しょくむはたこと出来できなくことである。

ちゅう殊更ことさらいましめられるのは、酒等さけなどことであるがイエズス、キリストみづか葡萄ぶだうしゅ召上めしあがり、ひとにも供給けうきふたまふたのをても、ばかりはつみらぬことろんたず、またノエごとさけがいらずにったときつみにはらぬ。

禁酒きんしゅもっとことで、或人あるひとっては是非ぜひすべきことなれど、一ぱん命令めいれいとははれぬ。

つみるのは、所謂いわゆるさけまれることであって、大害たいがいことおほい。假令たとひ裁判所さいばんしょでは、本心ほんしんうしなったとき無責任むせきにん見做みなされることがあっても、天主てんしゅ御前みまへには、そんがいふせためいましめられた酩酊めいていなれば、その結果けっくゎつみはれるに相違さうゐない。それとまるべきこと合点がてんながら、んだうへ叉飮またのみ、本心ほんしんうしなひ、あるひ大事だいじ義務ぎむそむことあらば、大罪たいざいるに相違さうゐない。憫然あはれにもさけためからだがいし、酒性アルコール中毒ちうどくにもり、精神せいしんくら

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し、大切たいせつかねついやして、納税なふぜい返済へんさい、一生活せいかつ子女こども教育けういく信者しんじゃ国民こくみん義務ぎむはたしかねるものり、てられぬ状態ありさまって、ひとしきかゞみせ、つま子女こども難儀なんぎ悲哀かなしみかへりみず、せいパウロことばごとく「はらおのかみし」(フィリッピ書三。十九)霊魂れいこんさけためほろびいたるは、なによりなげかはしいことである。そんがいて、こゝろざしあるひとは、かゞみしめため禁酒きんしゅするのは、至極しごくむべきことである。

貪食どんしょくかくごとひと精神せいしんくらまし、はれぬほど不幸ふかうきたすによって、罪源ざいげんうちかぞへらる。

これはんするとくは、殊更ことさら節制せっせいって、何事なにごとほどよくひかへ、中庸ちうようまもことであって、修身しゅうしんとく中殊うちこと枢要すうえうとくばれる四のとくの一である。

252◯憤怒ふんどとはなにであるか

憤怒ふんどみだりいかことであります。

憤怒ふんど

は、いきどほいかるとで、おもいかり腹立はらだち短気たんきともふが、つねはぬひとや、物事ものごとたいして、腹立はらだちがちことである。いかり善悪よしあしかんがへるもないのに、にはかおここともあ

[下段] るが、おさらぬときつみにはるまい。叉怒またいかってもことがある、たとへば子女こども目下めしたもの行状げうぜうて、勘弁かんべんらず、あるひ其過そのあやまちさとために、立腹りっぷくするごとことである。それ聖書せいしょに「いかるともつみをかすな」と(エフェゾ書二。二六)いてあります。

つみるのは、こゝにいてあるとほり

みだりいかこと

であって、すなはち(一)あるひ相当さうたうゆゑなく、(二)あるひすごして、たとへば子供こどもわづかあやまちあらことばひ、非常ひぜう打擲うちたゝいていかるやうなときである。それにはかはらったときは、るべくおさへねばならぬ。無理むりひどいかり、あるひおほきがいおよぼすときは、大罪たいざいこともある。

ことわざに「短気たんき損気そんき」とふがごとく、憤怒ふんどからあやまちおびたゞしく、こと不和ふわ復讐あだがへし悪口あくこう侮辱ぶじょく喧嘩けんくゎ撃合うちあひ人殺ひとごろしなどである。

憤怒ふんどはんするとくは「堪忍かんにん」とて、何事なにごとこらへ、また柔和にうわ」とて、おだやかにして親切しんせつひとあらはことである。

253◯怠惰たいだとはなにであるか

怠惰たいだ勤務つとめいとってつね懈怠おこたことであります。

怠惰たいだ

おこたおこたるとで、つね

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なまけ惰等のらくらなどふ。ある地方ちほうではもと無精ぶせうってったが、幾許いくらちがふ。

勤務つとめいとって

とは、職業しょくげふ身分みぶん相当さうたうこといやがって怠勝おこたりがちことである。殊更ことさらなにかぬとふのでなく、唯身たゞみをしみ、骨折ほねをりいやがるわけである。

やすみなしにははたらかれぬから、適宜てきゞやすむのは必要ひつえうである。やすみこのむのはつみではない、安息日あんそくじつさだまったのは其爲そのためにもるが、病気べうき疲労つかれもないのに、あるひこれかこつけにて余計よけいに、無理むりやすんで、職業しょくげふおこたるのは、怠惰たいだつみる。

世間せけんでも「閑居かんきょ不善ふぜんす」とふが、なにときは、種々さまゞゝ悪事あくじもとる。はたらときは、あくいざなふに悪魔あくまえうすれど、閑居かんきょするときは、悪魔あくまえうせず、みづかつみもとめるにいたる。怠惰たいだは、霊的れいてき肉的にくてき二種ふたとほりあるが、肉的にくてき怠惰たいだは、骨折ほねをりいやがって、すきことにはひまつひやしてもおの職業しょくげふにはおこたことである。その結果けっくゎ無駄むだあそび愉快ゆくゎい元気げんき困難こんなん貧乏びんぼう卑怯ひけふ失望しつぼう零落れいらくなどである。霊的れいてき怠惰たいだは、霊魂れいこんぜうつとめいとって、をしへ研究けんきう祈禱いのりおこた[1]おのれことず、告白こくはくなどつとめ無暗むやみ

[下段]

のばし、つい冷淡れいたんり、失望しつぼうするにいたる。

怠惰たいだはんするとくは、勇気ゆうきであって、活溌くゎっぱつはたらき、おのれち、ことはげことで、なにより愉快ゆくゎいなものにる。

ちゅうだい四十三くゎをはるにあたって、注意ちういすべきことがある。つみもっとおそるべく、くべきものなるに、ひとこれしばゝゞをかすのは、ちからおよばぬわけよりも、むしをかさぬ方法はうはうもちゐぬからである。つみをかさぬ方法はうはうりゃくしてへば、

だい一につみ機会きくゎいけることつみ機会きくゎいへば、よくくらまされて、悪事あくじるから、出来できかぎつみ機会きくゎいけねばならぬ。なが機会きくゎいもとめれば、つみをかすに相違さうゐない。ゆゑ或処あるところき、或人あるひと出会であひ、ある友人ともだち付合つきあひ、或話あるはなしき、ある書物しょもつみ、或画あるがながめるとき是迄これまで経験けいけんによって、かならつみをかすなら、その機会きくゎい断然だんぜんけねばならぬ。もなければ、これ打勝うちか助力じょりょく天主てんしゅよりかうむことは、無理むり注文ちうもんる。是非ぜひけられぬ機会きくゎいならば、ふか用心ようじんし、かつ勇気ゆうきふるはし、また熱心ねっしん天主てんしゅ御助おんたすけいのことなにより肝要かんえうである。

だい二のはふ悔悛くゎいしゅん聖体せいたい秘跡ひせきさづかることであるが、てう

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ものよごれたときに、叉汚まらよごことおそれぬごとく、大罪だいざいをかして其侭そのままとゞまるならば、つみかさやする。悔悛くゎいしゅんもっこゝろきよめれば、ふたゝよごさぬやうに用心ようじんするおこるのみならず、其丈それだけちからるから、つみをかしたときはやこゝろあらためて其赦そのゆるしけ、ふたゝをかさぬやうにちからもとめるが本当ほんとうである。また殊更ことさら聖体せいたいいたゞいてイエズスと一することつとむれば、尚照なおてらされて、御心みこゝろかなはぬことけるちからるに相違さうゐない。

だい三のはふは、祈禱いのりであって、祈禱いのりさへすればかなら悪魔あくまけぬちからるが、祈禱いのりおこたらばける危険きけんさらされる。悪魔あくまひと祈禱いのりいやがらせるのは其爲そのためである。

だい四のはふは、すでだい百三十五のとひったとほり、四しうことしばゝゝおもことであって、ぬべきこと審判しんぱんくべきこと賞罰せうばつまぬがれぬことかんがへれば、つみをかことはあるまい。

脚注

  1. 普公教会カトリック宗教しゅうきょう本等ほんなど(「デンツィンガー」資料集?)を参照さんしょうなどして、自分じぶん宗教的しゅうきょうてき行為こうい思想しそう慣行かんこうをカトリックでも間違まちがいのところかえりみ確認かくにんして研究けんきゅうしてことるに間違まちがいではいことはアルミニウス主義しゅぎとも調和ちょうわして至極しごく当然とうぜんでもある。上智大じょうちだいのイエズスかいの「せせらぎ」とサイトも御言葉みことばみとめおもんじていて素晴すばらしかった。箴言、27:2「自分じぶんくちめるのではなく、他人たにんめてもらえ。自分の……異国人いこくじんに褒めてもらえ」(聖書協会共同訳)