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片時の間に蕩然として空しくなつた。往返の負戴者俱に焦頭爛額臂脛傷折して刀痕滿面なる、宛然燭淚の
初四日天晴れ烈日蒸燻して屍氣人を
初五日幽僻の地に避難の城民が稍々歸來し、相逢ふて各唯淚下りて一語を出すものが莫つた。予等五人は稍々甦するを得たるも、終に居宅の內に居るを敢てせず、晨起早食して卽ち出でて野畔に處り、其の粧飾は一に前日の如くであつた。蓋し往來の打糧者草賊數十輩を下らないで、戈を操らないまでも、各々杖槌もて恐嚇して人の財物を
片時の間に蕩然として空しくなつた。往返の負戴者俱に焦頭爛額臂脛傷折して刀痕滿面なる、宛然燭淚の
初四日天晴れ烈日蒸燻して屍氣人を
初五日幽僻の地に避難の城民が稍々歸來し、相逢ふて各唯淚下りて一語を出すものが莫つた。予等五人は稍々甦するを得たるも、終に居宅の內に居るを敢てせず、晨起早食して卽ち出でて野畔に處り、其の粧飾は一に前日の如くであつた。蓋し往來の打糧者草賊數十輩を下らないで、戈を操らないまでも、各々杖槌もて恐嚇して人の財物を