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に晚に至つて予等逡巡しつつ走り出た。彭兒は柩上に酣臥しつつ朝より暮に至て啼かず言はず、亦食をも欲しない、唯だ渴する時飮を欲せば瓦片を取つて溝水を掬して口を潤せば乃ち睡り去るのであつた。仍て呼び醒まし、之を抱いて與に去つた。そこへ洪嫗も亦至つて玆に始めて吾が嫂も亦劫掠し去られたるを知つた。吾が姪〈卽ち嫂の女子〉は襁褓に在つたが竟にその所在を失ふた、嗚呼々々痛ましい哉。
廿八日予は伯兄に謂て曰く、今日は誰の死するやを知らないのであるが、吾が兄にして幸に
に晚に至つて予等逡巡しつつ走り出た。彭兒は柩上に酣臥しつつ朝より暮に至て啼かず言はず、亦食をも欲しない、唯だ渴する時飮を欲せば瓦片を取つて溝水を掬して口を潤せば乃ち睡り去るのであつた。仍て呼び醒まし、之を抱いて與に去つた。そこへ洪嫗も亦至つて玆に始めて吾が嫂も亦劫掠し去られたるを知つた。吾が姪〈卽ち嫂の女子〉は襁褓に在つたが竟にその所在を失ふた、嗚呼々々痛ましい哉。
廿八日予は伯兄に謂て曰く、今日は誰の死するやを知らないのであるが、吾が兄にして幸に