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等を報告せしめるものである。

二、鑑定人がいわゆる鑑定事項の調査をなすに際して、特別な知識経験を必要とする場合、その知識経験は必ずしも鑑定人その人が自ら直接経験により体得したもののみに限定すべきいわれはなく、鑑定人は他人の著書等によるとその他如何なる方法によるとを問わず、必要な知識を会得した上、これを利用して鑑定をなすことができる。

◎主文

 本件上告を棄却する。

◎理由

 弁護人竹田藤吉の上告趣意について。
 論旨第一点及び第二点の所論はいずれも憲法違反を云々するけれども、その実質は単なる訴訟法違反の主張を出でないものであり、同第三点の所論は単なる訴訟法違反を前提として事実誤認を主張するものであり、すべて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。そして、鑑定は裁判所が裁判上必要な実験則等に関する知識経験の不足を補給する目的でその指示する事項につき第三者をして新たに調査をなさしめて法則そのもの又はこれを適用して得た具体的事実判断等を報告せしめるものである。人類の知識経験は人類の共有すべき資産である。