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まつた。気違ひだと思はれちや厄介だから、何とか一つ胡麻化してやらう」

さう考へたので、彼は大声にからと笑つて、店員の一人にこんなことを云つた。

「いや、此れを札と云つたのは冗談ですがね。でもまあ念の為めに受け取つて置いて下さい。いづれ三十日になれば、此の書附と引き換へに現金で千円支払ひますから。………」

(大正七年七月作)