て得たる有限小數となすときは は卽ち一個の 又 は一個の にして, は常に兩者の中間にあり.
要するに無理數の關係せる乘法,除法の意義は斯の如くにして確定し,又其性質は有理數の乘法除法と異なる所なきなり.
(十二)
前諸節に論ぜる所謂數は卽ち正數なり.是卽ち大小の關係及加合の結果を保持して,個々の量に配合せらるべきものにして,凡ての量の數値を供給するに於て,復た間然する所なし.然れども,數の觀念の起源に固着して,數をば單に量の數値を與ふるものと認め,隨て正數のみを以て考究の範圍となすことの,極めて不便なるは,旣に有理數の場合に於て說きたる所にして,又量の數値としては意義なき「零」なる者を數の範圍內に攝取することの殆ど絕對的必須なること,前章に於ける經驗新なり.