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（九）

算法の意義と實際の計算

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小，卽ち ${\frac {1}{t^{k-1}}}$ より小なりと雖，$r_{k}+s_{k}$ は凡ての場合に於て，必ず $\alpha +\beta$ の展開を ${\frac {1}{t^{k-1}}}$ の位まで正しぐ與ふるを保し難きこと是なり．次の一例は此間の消息を傅へて餘あり．

${\begin{aligned}&\qquad \alpha =0.54521657\cdots \\&\qquad \beta =0.32738348\cdots \\&{\overline {\alpha +\beta =0.8726000(?)\cdots }}\end{aligned}}$

に於て，若 $\alpha$，$\beta$ の展開を小數點以下第七位まで採りて之を加ふれば $0.8725999$ を得，此數と $\alpha +\beta$ との差は ${\frac {1}{10^{6}}}$ より小なり．然れども其展開の係數の一致するは第三位に止まれり．

一般に $\alpha$，$\beta$ の近似値 $a$，$b$ の與へられたるとき和の近似値 $a+b$ の誤差の範圍は，$a$，$b$ の精確の程度によりて決定せらるべきものにして，此精確の程度につきて知られたる凡てを利用して，成るべく良好なる和の近似値を定むるこ と，卽ち其誤差の範圍を成るべく正確に定むることは，個々の場合に於ける臨