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(九)
無理數の加法論法の說明

然れども, の上限と の下限との果して一致するや否や,是證明を要せずして斷定せらるべき問題にあらず.而して此上限と下限との實際一致すべきことは,前節所說の中に含蓄せられたる所なり.

は是一の なり, は是一の なり. の上限は の上限 を超えず.さて より小なる或有理數 を考ふるに の上限は卽ち なるにより, より大なる は必ず存在す.詳しく言はば の展開の桁數を充分永く採りて, よりも一層 に近接せる有限小數を得べし.是故に の上限は決して の上限 を下らず.故に の上限は に外ならざるを知る. の下限が の下限 卽ち と同一なること亦同樣にして證明せらるべし.

に屬せる凡ての有理數の中より特に特殊の有限小數 を採り,又 より特に を採る.是理論上其必要なくして,徒に問題の解釋を狹め,其美を殺ぐなり.前節に述べたる和の說明に於ては,數の觀念及加法の意義に直