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(八)
無理數の加法

より其差如何程にても小なる一對の數 ,又 より其差如何程にても小なる一對の數 を選み得べく,隨て をして なる數よりも小ならしむべく, を採り得べければなり.

是故に は相等し.さて凡ての より小なる數は より大なるを得ず,又凡ての より大なる數は より小なるを得ざるが故に は此 に等しからざるを得ず.

此論法は又 の一方又雙方が有理數なる場合にも適用せられ得べし.卽ち一般に の和はそれぞれ より大なる有理數 の和の下限にして同時に又それぞれ より小なる有理數 の和の上限なり.

加法にして上述の第二原則に遵ふべき上は, の和は上の如く定むるを必須とす.卽ち無理數の關係せる加法の意義は,第二原則の一部のみによりて一定の意義を得たり.さて斯の如く旣に定まれる加法が,尙よく,第二原則の各條に適合すべきや否や.是容易に解決せられ得べき,然れども又解決せられざ