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九

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無理數

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斯の如くにして $\alpha$ より $m_{0}$ 及び $c_{1},c_{2},\ldots c_{k}\ldots$ 等，限りなき係數の引き續きを定むることを得，$r_{k}$ は $\alpha$ より小なれども，其差 ${\frac {1}{t^{k}}}$ より小なり，是故に $r_{k}$ は $\alpha$ の値を ${\frac {1}{t^{k}}}$ まで與ふるものなりとすべし．

言辭を簡約して，この結果を次の如く言ひ表はす．$\alpha$ を $t$ の冪級數に展開して，或は $t$ を基數とせる命數法にて表はし，

$\alpha =(m_{0}.c_{1}c_{2}\cdots c_{k}\cdots )$

を得．$t$ の與へられたる上は，各の無理數は唯一の展開を有せり．

上述の展開は $\alpha$ が無理數ならざるときにも亦適用し得べきこと勿論にして，$\alpha$ が有理數なるとき，其展開を得べき方法，其展開の係數が竟に一定の週期を以て循環するに至るべきこと，及び特殊の有理數は有限，無限二樣の展開を有し得べきことは旣に第六章（七），（八）に於て說きたる所なり．

若し逆に，始より $m_{0},c_{1},c_{2}\ldots$ 等限りなき係數の引續きを與ふるとき（$c$ は盡く $t$ より小なる自然數なるべきこと勿論なり）