Page:Shinshiki Sanjutsu Kogi 00.djvu/355

このページは校正済みです
339
(四)
有理數の切斷と無理數

を得べくして,是上に述べたる の定義と相容れざる所なり. の中間に必ず有理數の存在するを知るべし.是によりて,又 の中間に無限に多くの有理數の存在するを推知すべし.

有理數を甲乙の二群に分ち,甲の數をして盡く乙の數より大ならしむるとき,甲に最小の有理數なく,又乙に最大の有理數なくば,斯の如き有理數の切斷は,或一個の定まりたる無理數によりて惹き起さるべし,卽ち甲の凡ての有理數よりも小にして,乙の凡ての有理數よりも大なる唯一個の無理數あり.

甲の有理數はいづれも乙の或有理數より大なるが故に,甲に下限あり,之を と名づく,又乙の有理數はいづれも甲に屬せる或有理數より小なるが故に,乙に上限あり,之を と名づく.さて は相等しく,隨て此數は卽ち甲乙の中間に存せる有理數の缺陷を塡補すべき唯一の無理數なり.げにも先づ なることを得ず,若し ならば なる有理數存在し,此有理數は より小なるが故に甲に屬することを得ず,又 より大なるが故に乙に屬