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(一)
最大最小なき實例

無限に多くの敷の與へられたる時,其中に最大又は最小の者あるを必すべからざるを知らんと欲せば,最大の存在せざる場合の唯一個の實例を擧ぐるを以て足れりとすべし.例へば を以て自然數を表はし 卽ち の如き數の全體を考へ,之を一括して と名づくるに は無限に多くの數より成れる,而も一定の限界を有する數の一系統なり. 等は此系統に屬す. 等は然らず.さて に最大の數あるか. の中より如何なる一つの數を採るとも, の中には尙ほ之よりも大なる數あり.例へば に屬せり,然れども も亦 に屬して,而も より大なり.是故に に最大の數あるを得ず. の凡ての數より大なれども, に屬せず なる如き自然數存在せざればなり.

が無限に多くの,定まる數の一系統なるときは, に最大又は最小の數あることあるべしと雖,最大又は最小の數なき場合も亦之あること,上の一例によりて確められたり.更に一個の例を加へん, よりなる凡ての分數を一括