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無理數

存在す.此場合には此等の 個の數を一括して之を と名づく. に最大の數あらば,そは又 の最大の數なり.斯の如くにして 個の數の中最大なる者を求むる手續きは, 個の數の場合に歸着す.さて唯二個の數の與へられたるとき,其中に最大なる數あること分明なるが故に,數學的歸納法によりて, が如何なる數なりとも,最大の存在は證明せられたり.

こゝに「 が如何なる數なりとも」といへるは,「 を組成せる數限りなく多くとも」といふことゝ同一にあらざるに注意すべし.「 が如何なる數なりとも」とは「 を組成せる數の數に限りある凡ての場合に於て」といふの義なり.

個の數より成れる場合には に最大の數あり.よりて上の論法によりて 個の數より成れる場合にも亦最大の數あるべきを知る. 個の數より成れる場合に最大の存在すべきを知らば,再び同樣の論法によりて 個の數より成れる場合に移る.然れども斯の如き徑行によりて が無限に多くの數より成れる場合には,決して到達することを得ず.