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(八)
デヾキンドの定義

家の所觀に悖る所なしとなさば,我が幸之に過ぎず.如何にとならば予は此の原則の果して正當なるや否やを證明すること能はず,而も是れ何人と雖,成し得べからざる事に屬すればなり」と.讀者請ふ深く此語を翫味せよ.若し或は此原則の正否を論證せんと欲する誘惑を感ぜば,先づ抑〻證明とは如何なる事なるかを想へ.證明なきは能はざるに非ず,能ふ可らざるなり.

デヾキンドの法則に準據して,一の有理區域が果して凡ての量を網羅せりや否やを批判するときは最透徹せる解答を得.

一の有理區域に屬せる凡ての量を兩分して之を甲乙の二群となし,甲の量をして盡く乙の量より小ならしめ,而も甲に最大の量なく,乙に最小の量なからしむるを得べきことは,旣に說きたる所なり.然るに凡ての量の範圍內に於ては,斯の如き兩分に伴ひて必ず甲に最大の量あるか又は乙に最小の量あるを要するが故に,一の有理區域以外に尙ほ量なきを得ず.

デヾキンドの法則に於ける第三條件と(七)の切斷の第三條件と正反對なるこ