Page:Shinshiki Sanjutsu Kogi 00.djvu/298

このページは校正済みです
282
量の連續性及無理數の起源

○ユークリツドの比の定義,比と有理數との相等及大小,二つの比の相等及大小○量と直線上の點との對照,稠密なる分布は連續に非ず,連續の定義○結論,數の原則

(一)

物の長短,輕重,明暗,冷熱,時の遲速,運動の緩急,音の高低强弱等,凡そ人の感覺に大小其度を異にする印象を與へ得べきは,皆量なり.量の特徵は其大小にあり,物の長短を考ふるに當ては,卽ち唯其長短を觀る,他の性質例へば其輕重,冷熱,色彩の濃淡等擧て之を度外に置く,又冷熱を考ふるに當ては其長短,輕重,剛柔等盡く措て問はず.斯の如くにして長短,輕重等を各〻一種の量と考ふるに至る.若し更に一步を進めて,物の如何なる性質につきて其大小を考ふるかをも顧慮せずして,卽ち,長短,輕重,冷熱につきて,唯其大小を觀て,其長さの大小,質量の大小,溫度の大小なるを問はざるときは,絕對的袖象的の量の觀念に到達す.

絕對的の量の觀念の內容は,卽ち凡ての量に普遍なる特徵の全體より成る.然