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(五)
有理數の大小

は又上述の負數乘法の特異なる現象に基づく.前項が後項より大なる比の値が より大なりといふは是其絕對値につきて言ふなり. なる比の値は にして,こは より大ならず.ダランベルは 故に兩邊を にて除し 卽ち を得となせるなり.代數的の大小に關する事實を論ずるに當ては,最此陷穽を恐るべし.

大小の觀念を基礎として前諸章にて順次定めたる有理數も,又算法の汎通を根據として此章に說きたる有理數も,畢竟觀念の內容に於ては異なる所なし.一は綜合的にして,一は分析的なる,二樣の徑行によりて,同一の觀念に到達することを得たり.


第八章 量の連續性及無理數の起源

具體の量,抽象の量○量の原則,量の比較,加合及連續○「有理區域」,其性質,量の公約,公倍○量を計るとは何の謂ぞ○ユ—クリツドの法式,二つの場合○公約なき量の實例