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四則算法の形式上不易

正にして他の一つは負なり,其正なるを 及び 絕對値といふ,負數の大小は其絕對的の大小に反す.

が同號の數なるときは,其和の絕對値は, 及び の絕對値の和に等しく, が異號の數なるときは,和の絕對値は の絕對値の差に等し.積の絕對値は常に因子の絕對値の積に等し.

所謂代數的の大小は應用上に於て便利なる場合あり又然らざるあり.其不便は多くは上に述べたる乘法の場合に於て との一般に相隨伴せざる處より生ず.

ダランベルは正數の負數より大なりといふを否認して次の如く論ぜり, なる等式を看よ,若し にして より小ならば此等式の左邊に立てる比は其前項後項より大なり,是卽ち優比(其値 より大なる比)にして,右邊に立てるは劣比(其値 より小なる比)なり.卽ち より小なりとの假定は優比が劣比に等しとの結論を誘致する者なり.斯の如き誤解の原因