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(五)
有理數の大小

は共に正なりといふが故に,其和 も亦正,卽ち なり.

ならば げにも 特に 卽ち が正ならば 卽ち の負ならば と共に

が正數なるときに限り より を得, 若負數ならば却て なり.これ が正なる爲め, と同號の數なるによる.此關係が加法の場合と少しく其趣を異にせるに注意すべし.

正數負數の大小に關係せる諸々の定理枚擧に遑あらず,要するに其根據は上出の大小の定義隨て符號の法則に盡きたり.

こゝに述べたる大小の意義は一見常識に反せり,負數をば代數學の範圍に屬せりとなす舊習に因りて之を代數的の大小と言ふことあり.常識の所謂大小は絕對値の大小なり.

なる關係をなせる二數 共に ならざるときは,其中唯一つは