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(二)
自然數の原則

乙が直ちに甲に次ぐとは,甲の後乙の先なる第三の數存在せざるを謂ふ.

第三,甲若し乙に先だゝば,甲より直ちに甲に次ぐ數に移り,此數より又直に之に次ぐ數に移り,次第に斯の如くなし行きて竟に乙に到達することを得.

第四,順序數には最初の者あり.

最初とは之に先だつ者なきの謂なり.

此四個條は順序數の原則なり.順序敷の性質は凡て此四個條の原則の論理上必至の結果に外ならず.

第四條に所謂最初の數を と名づけ,直ちに に次ぐ數を ,直ちに に次ぐ數を と名づく.斯の如くにして如何なる數に及ぶとも,第二條に定むる所によりて,其數に次ぐ數必ずあるべきにより,あらゆる順序數に一つ一つ命名せんことは語の數に限りあるべき吾人の語彙の能くすべき所にあらず.吾人の語彙の與ふる最大の數は億か,兆か,億,兆は數の終極にあらず,億,兆を超えざるは數の極小の一部分たるに過ぎざるにあらずや.然れども凡ての數に