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分數

整數の場合と同一の性質を具へたり.

斯の如くにして作り出せる數の系統は,特別の場合として凡ての整數を含蓄せり.而して此新系統が啻に形式の上のみならず,內容に於て,實際整數の系統よりも廣大なる一範圍を成せることは,次の二つの事實の明に示す所なり.

一,分數の分布は各處稠密なり.凡て整數には必ず直に之より大又は小なる他の整數あり.相隣接せる整數の中間に第三の整數あるを許さず.整數に異樣の命名をなせるに過ぎずして,其內容の擴張にはあらざる,彼分數班なるものの範圍內に於ても,亦同樣の事實成立せり.然れども凡ての分數班を合同して作り成せる吾輩の新系統の範圍に於ては則ち然らず.

如何なる分數を考ふとも直に之より大又は小なりと云ひ得べき分數存在することなし,相隣接せる二個の分數は不可有なり.相異なる二つの分數の中間に必ず第三の分數存在す.詳しく言はゞ が相異なる分數にして,例へば なるときは, なる如き分數 は必ず存在す.此事實は直に證明せら