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のみか時には却つて惡影響を及ぼす事となるなり、是れ余が我國に海外通信社を起す事を以て實に焦眉の急務なりと云ふ所以なり。

 所感第三、第三の所感として擧げむとするものは外交官制度刷新の必要にして是亦今次の講和會議が吾人に與へたる最大なる敎訓の一なり、今や時勢は急轉して秘密外交は公開外交に專門外交は國民外交へと推移せんとし隨つて一二外交家の手腕が外交の成否を左右するの力は大に减じたるの觀あり、然れども外交官を以て單なる取次用の蓄音機と心得其人物伎倆の如きは深く問ふを要せずとなすものあらば其誤れる事亦論を俟たず、即ち外交家として有能の士を得るの必要は國民外交