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國際聯盟の干涉を許さゞるのみならず聯盟規約に本き締盟各國が活動の義務を生じたる場合にも何等の義務を負擔せずと云ふが如きは明に聯盟其物の破壞を意味すればなり、如此は純理より之を見れば實に明々白々寸分の疑を容れざる所なれど偖實際は如何に决定したりしやと云ふに道理ある人種平等案は力足らざる日本が之を提出したるが故に葬り去られ反之不道理なるモンロー主義は力ある米國が之を主張したるが故に大手を振つて聯盟規約の中に割り込むに至りしもの也。

 如此觀來る時今次の講和會議が力の原則によりて支配せられたるの事實は何人も否認するを得ざる所なりと雖之を以て直に力が萬事を决定したりとなす一派の論議に對しては吾人