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むる件及び鋼鐵工罷業を仲裁々判に附する件を提議するやゲーリー氏は又々敢然として之に反對し『今日の勞働爭議はもはや經濟上の爭に非ずして主義上の爭なり、經濟上の爭は互讓の精神に依りて或は之が解决を見む、道德上主義上の爭に至りては斷じて妥協を許さず』と言へり、こゝに於て勞働者側は席を蹴つて連袂退塲しかくて鋼鐵工罷業の解决は無期限に延期せらるゝの止むなきに至れり。

 思ふに米國勞働者の中心團體たる米國勞働聯合會は一切政治問題に關係せずと云ふゴムパース氏の信條に則りて其運動方法も亦着實穩健を旨としたるものなりしが戰後勞働者の鼻息の荒くなるにつれて會內の空氣次第に過激化し老練なる