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向を生じつゝあるは吾人の明に看取し得る所也、思ふに愛蘭問題を中心とする英米今後の關係は國際政局の上に於ける最も興味ある見物なるべし。

 比島の獨立も亦漸く一部米人の話題に上りつゝあるが如し、然れども最近華聖頓を訪れし其獨立運動代表者に對する米國政府の取扱振に徵すれば未だ此問題が眞面目なる考慮を拂はるゝ時期に到達し居らざるを思ふ、蓋し朝鮮愛蘭の尻をつゝきて其爲には對英對日の國際的關係を犧牲に供するも敢て辭せざる程の民族自决主義の大本尊が御自身の御膝元より起り來れる此要求に對して如何の態度に出づべきかは世人の注目する處たりし也、然るに代表連の華聖頓に着するや參謀次長は之