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し事は多年强國の壓制に苦しめる民族に對し絕好の機會と口實とを與へたるものにして彼等が米國の力に縋りて其解放の目的を達せんとするに至れる亦怪しむを須ゐざる也。

 然れども是等の獨立運動は愛蘭人の運動を除くの外殆言ふに足らざる也、朝鮮人は昨年三月の暴動を機會に上海なる假政府と相呼應して費府なる自由の鐘の下に獨立の氣焰を擧げたりしが其後は杳として音沙汰なし、印度人は恰も余が華盛頓を訪れし際頻りに政府上院の重立ちたる人々を歷訪し我大使館にも來れる模樣なりしが是亦何等の反響なかりし如し。

 もし夫れ愛蘭人に至りては其米國に移住し居る者四百萬人を以て數へらる、即ち其數に於て前二者の比に非ざるのみなら