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占むるに至りし事實は人種問題が如何に米國に於て容易ならざる大問題となりつゝあるかを想像せしむるに十分なり、况んや彼等は其人口の繁殖に於て以上の如き優勢なる數字を示せるのみならず、其敎養と財力とに於ても近來著しく上進して中には白人の壘を摩せむとする者さへ生ずるに至れるが故に此問題は益重要なる意義を帶び來りたりと謂ふべき也、即ち公平に見て今日の黑人は最早野蠻人を以て目すべきに非ず、彼等は彼等の敎會を有し彼等の大中小學を有し彼等の新聞紙を有し其文學と其理想と其經濟的生活とは優に白人と對抗すべき一大勢力を築きつゝあるなり。

 黑人の如此發展に對する米國白人の態度は飽迄も壓迫なり