Page:Sengo ōbei kenbunroku.pdf/246

このページは検証済みです

の發展の怖るべきを說き此儘にして推移せば太平洋岸は遂に日本の領有に歸すべしなどゝ警吿的演說をなして到る所に米國人の神經を刺戟しつゝある始末なれば、今や排日的氣運は澎湃として米國全土に蔓延しつゝありと云ふも過言に非るなり。

 かゝる排日の原因は種々あるべく人種的偏見の如きも其一ならむ、總じて白人殊にアングロサキソン人種が有色人種を嫌惡するの事實は米國に於ける黑人の待遇に就き見るも明白に看取し得らるゝ處にして余等は巴里よりも倫敦に於て一種の人種的壓迫を感じ更に紐育に來りて益其意識を高めたり、此偏見を除くは决して短時日間に成し遂げらるゝものに非ず氣長に徐々と取り掛るの外なかるべし、次に日本に對する嫉妬も亦一