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を以て盜人なりと放言し又ロツヂ氏の如き老巧の長者さへも其上院に於ける演說に於て約二時間に亘り日本の野心を詳述し日本政治家の聲言は凡て信を措くに足らずと迄極論せり。

 此種の言論は一面より之を見れば共和黨が大統領攻擊の爲にする手段にして深く意に介するの要なきに似たり、某氏の如きは一上院議員が石井大使に對し「今度の日本攻擊は全く黨略上止むを得ざる次第にて他意なければ其點御諒承被下度し」と語りたる事實を擧げて樂觀的口吻を洩らし居れりとか聞く、然れども飜つて思ふに苟も或問題を提げて之を政爭の具に供せむとする以上其問題は必ず國民一般の輿論と共鳴する所なかる可からず、輿論と共鳴せざる言論を楯として政權を爭ふも到