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十二、米國の排日

 余の滯在中米國政界に於て萬目注視の焦點たりしは實に山東問題なり。此問題は本年四月巴里に於て解决を吿げたりし當時より引續き喧囂を極め九月十月に至るも尙終熄せず、日刊週刊月刊の新聞雜誌等何れを擴げ見るも大見出しを附して是を論じつゝありき、然して其要旨は大部分日本に對する惡口なる事申す迄もなし、曰く日本は第二の獨逸にして支那を併呑せんとする野心を有す、曰く山東は支那の咽喉にして此地を日本に與ふるはこれ東洋の平和延いては世界の秩序を紊す所以なりと讒謗罵詈を恣にせしのみならず或上院議員の如きは日本