Page:Ruling on eugenics law osaka1.pdf/1

このページは校正済みです

令和5年(受)第1319号 国家賠償請求事件

令和6年7月3日 大法廷判決


主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。


理由

上告代理人春名茂ほかの上告受理申立て理由について

1 被上告人ら及びその被承継人ら(以下、併せて「第1審原告ら」という。)は、自ら又は配偶者が、優生保護法(昭和23年法律第156号。平成8年法律第105号による改正後の題名は母体保護法。以下、同改正の前後を通じて「優生保護法」という。)3条1項1号から3号まで、10条又は13条2項の規定(ただ し、3条1項1号、2号及び10条については、昭和23年9月11日から平成8年9月25日までの間、3条1項3号については、昭和23年9月11日から平成8年3月31日までの間、13条2項については、昭和27年5月27日から平成8年9月25日までの間において施行されていたもの。以下、併せて「本件規定」という。)に基づいて、生殖を不能にする手術(以下「不妊手術」という。)を受けたと主張する者である。

本件は、被上告人らが、上告人に対し、本件規定は憲法13条、14条1項等に違反しており、本件規定に係る国会議員の立法行為は違法であって、第1審原告らは上記不妊手術が行われたことによって精神的・肉体的苦痛を被ったなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める事案である。上記不妊手術が行 われたことを理由とする第1審原告らの上告人に対する同項に基づく損害賠償請求権(以下「本件請求権」という。)が、平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)724条後段の期間の経過により消滅したか否