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自由権規約委員会は、平成20年10月及び平成26年8月に採択した各総括所見において、日本政府は本件総括所見における勧告を実施すべきであるとした。さらに、女子に対する差別の撤廃に関する委員会は、平成28年3月、日本政府の報告についての最終見解において、優生保護法に基づく強制的な不妊手術を受けた全ての被害者に支援の手を差し伸べ、被害者が法的救済を受け、補償とリハビリテーションの措置の提供を受けられるようにするため、具体的な取組を行うことを勧告するとした。

しかし、平成31年4月までの間、本件規定に基づいて不妊手術を受けた者に対し、補償の措置が講じられることはなかった。

(6) 平成30年1月30日、上告人Xが本件訴えを提起し、同年5月17日、上告人Xが本件訴えを提起した。

被上告人は、本件訴訟において、本件請求権は改正前民法724条後段の期間の経過により消滅した旨を主張した。

(7) 平成31年4月24日、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」(以下「一時金支給法」という。)が成立し、一部の規定を除いて施行された。

一時金支給法は、前文において、優生保護法に基づき、あるいは同法の存在を背景として、多くの方々が、特定の疾病や障害を有すること等を理由に、平成8年に関係規定が削除されるまでの間において不妊手術等を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてきたとし、そのことに対して、我々は、それぞれの立場にお いて、真摯に反省し、心から深くおわびするなどとしている。そして、一時金支給法は、3条において、国は、本件規定に基づいて不妊手術を受けた者を含む所定の者に対し、一時金を支給する旨を定め、4条において、一時金の額は320万円とする旨を定め、5条1項において、内閣総理大臣は、一時金の支給を受けようとする者の請求に基づき、当該支給を受ける権利の認定を行い、当該認定を受けた者に対し、一時金を支給する旨を定めている。他方、同法は、一時金の法的性格を明ら