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が施行され、同法により優生保護法3条1項3号の規定が削除された。

平成8年9月26日、優生保護法の一部を改正する法律(同年法律第105号)が施行された。同法による優生保護法の改正(以下「平成8年改正」という。)においては、同法の題名が「母体保護法」に、同法1条中「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに」が「不妊手術及び人工妊娠中絶に関する事項を定 めること等により」に改められ、同法3条1項1号、2号、4条から13条までの各規定が削除されるなどした。

イ 厚生労働省の保管する資料によれば、昭和24年以降平成8年改正までの間に本件規定に基づいて不妊手術を受けた者の数は約2万5000人であるとされている。

(5)ア 市民的及び政治的権利に関する国際規約に基づいて設置された人権委員会(以下「自由権規約委員会」という。)は、平成10年11月、日本政府の報告についての総括所見(以下「本件総括所見」という。)を採択した。本件総括所見において、自由権規約委員会は、障害を持つ女性の強制不妊の廃止を認識する一方、法律が強制不妊の対象となった人達の補償を受ける権利を規定していないことを遺憾に思い、必要な法的措置がとられることを勧告するとした。また、日本弁護士連合会は、平成13年11月、日本政府は、自由権規約委員会から勧告を受けている優生保護法下の強制不妊手術の被害救済に取り組むべきであり、同法の下で強制的な不妊手術を受けた女性に対して、補償する措置を講ずべきである旨の意見を公表した。

しかし、日本政府は、平成18年12月に自由権規約委員会に提出した報告において、優生保護法に基づき適法に行われた手術については、過去に遡って補償することは考えていないとした。

イ 日本弁護士連合会は、平成19年12月、上記報告につき、国は、過去に発生した障害を持つ女性に対する強制不妊措置について、政府としての包括的な調査と補償を実施する計画を早急に明らかにすべきである旨の意見を公表した。また、