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令和5年(オ)第1341号、令和5年(受)第1682号 国家賠償請求事件

令和6年7月3日 大法廷判決


主文

原判決を破棄する。

本件を仙台高等裁判所に差し戻す。


理由

上告代理人新里宏二の上告受理申立て理由第4について

1 上告人らは、優生保護法(昭和23年法律第156号。平成8年法律第105号による改正後の題名は母体保護法。以下、同改正の前後を通じて「優生保護法」という。)3条1項1号から3号まで、10条又は13条2項の規定(ただし、3条1項1号、2号及び10条については、昭和23年9月11日から平成8年9月25日までの間、3条1項3号については、昭和23年9月11日から平成8年3月31日までの間、13条2項については、昭和27年5月27日から平成8年9月25日までの間において施行されていたもの。以下、併せて「本件規定」という。)に基づいて、生殖を不能にする手術(以下「不妊手術」という。)を受けたと主張する者である。

本件は、上告人らが、被上告人に対し、本件規定は憲法13条、14条1項等に違反しており、本件規定に係る国会議員の立法行為等は違法であって、上告人らは上記不妊手術が行われたことによって精神的・肉体的苦痛を被ったなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める事案である。上記不妊手術が行われたことを理由とする上告人らの被上告人に対する同項に基づく損害賠償請求権(以下「本件請求権」という。)が、平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)724条後段の期間の経過により消滅したか否かが争われている。

2 原審の確定した事実関係等の概要(公知の事実を含む。)は、次のとおりで