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少くとも日本として主張せざる可からざる先決問題は、經濟的帝國主義の排斥と黃白人の無差別的待遇是なり。蓋し正義人道を害するものは獨り軍國主義のみに限らず、世界は獨逸の敗北によりて硝煙彈雨の間より救はれたりと雖、國民平等の生存權を脅かすもの、何ぞ一に武力のみならんや。

 吾人は黃金を以てする侵略、富力を以てする征服あるを知らざる可からず。卽ち巨大なる資本と豐富なる天然資源を獨占し、刄に衅ずして他國々民の自由なる發展を抑壓し、以て自ら利せんとする經濟的帝國主義は武力的帝國主義否認と同一の精神よりして當然否認せらるべきものなり。

 吾人は戰後大に其經濟的帝國主義の鋒鋩を露はし來るの恐ある英米帝國主義を立役者する來るべき媾和會義に於て、この經濟的帝國主義の排斥が如何なる程度迄徹底し得るや、多大の疑懼なきを得ず。しかも若し媾和會議にして此經濟的帝國主義の跋扈を抑壓し得ずとせんか、此戰爭によりて最も多くを利したる英米は一躍して經濟的世界統一者となり、國際聯盟軍備制限と言ふ如き自己に好都合なる現狀維持の旗幟を立てゝ世界に君臨すべく爾餘の諸國、如何に之