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を便利とする國は戰爭を唱ふ。平和主義なる故に必ずしも正義人道に叶ふに非ず、軍國主義なるが故に必ずしも正義人道に反するに非ず。要は只其現狀なるものゝ如何にあり。もし戰前の現狀にして正義人道に合する最善の狀態なりしならば、此の現狀を維持せんとせし平和主義の國必ずしも正義人道の敵に非ざると同時に、此の現狀を打破したるもの必ずしも正義人道の味方として誇るの資格なし。而して歐洲戰前の現狀なるもの之を英米より見れば、或は最善の狀態なりしならんも、公平に第三者として正義人道の上より之を見れば決して最善の狀態と認むるを得ず。英國の如き佛國の如き其の殖民史の示す如く、早く已に世界の劣等文明地方を占領して之を殖民地となし、其利益を獨占して憚らざりしが故に、獨り獨逸とのみ言はず、凡ての後進國は獲得すべき土地なく膨脹發展すべき餘地を見出す能はざる狀態にありしなり。かくの如き狀態は實に人類機會均等の原則に悖り、各國民の平等生存權を脅かすものにして正義人道に背反するの甚だしきものなり。獨逸が此狀態を打破せんとしたるは誠に正當の要求と言ふべく、只彼が探りし手段の中正穩健を缺き、武力本位の軍國主義なりしが故に一世の指彈を受けたりと雖も、吾人は彼が事玆に至らざるを得ざりし境遇に對しては特に日本人として深厚の同